無責任賛歌
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2002年04月27日(土) |
東京再訪①/三鷹の森ジブリ美術館/アニメ『くじらとり』ほか……“NEW”! |
東京1日目。
出発準備に追われて、昨晩は結局、風呂の中で寝る。 カラダに悪いことこの上ないが、そうしないと寝過ごしかねないからだ。 こうしておけば、湯が冷えれば自然に寒くなって数時間で目が覚める。 もちろんその前に死ぬ危険性もあるので、余りやるもんじゃないんだけれど、まあ、緩やかな自殺願望の充足だと思って頂ければ(^o^)。 ……ってこーゆーこと書くから、知り合いから叱られるんだなあ。 いや、もうしません。ほんと。多分。おそらく。とりあえず(^o^)。
目覚めると5時半。 しげ、出発まで間がないというのに、まだ起きてこない。 自分でちゃんと起きると言っていたのに、いつも旅行の前になると、不安になるのだよなあ。 旅行準備がもう少しというところでまだ出来ていないので、慌てて持っていく土産物などを紙袋に詰め込む。三十分ほどでようやく完成、もう6時を回っていたので、しげを叩き起こす。 案の定、「アンタ一人で行ってきぃ」とベソをかくしげ。 「寝惚けるな、ぼけぇ!」と一喝したが、考えてみたら寝惚けているからボケているのであった。 けれど、昔に比べたら駄々をこねる時間が短くはなってきたかな。
タクシーを拾って福岡空港へ。 飛行機のチケットその他の手続き、全てしげにまかせていたので、どの航空会社の便に乗るのかも知らないかった。 JAS? そんなんあったんか(^_^;)。 こういうところも私に世間知のない証拠だな。 6時40分、空港到着、登場手続きはあっという間にすむ。カバンがブザーに引っかかったんで、一瞬ギョッとしたが、こうたろう君への土産に用意してた『名探偵コナン』の懐中時計が反応したのだった。 ……で、ハッと気づいたんだけど、コナンのメガネだの時計だのシューズだの、あれ全部、空港じゃ危険物に引っかかっちまうんじゃないのか? コナン、何度も飛行機に乗ってたような気がするが、阿笠博士が何か特殊な加工でもしてて、機会に引っかからないようにでもしてるんだろうか。だったら、それって立派な犯罪……。コナンにミステリーのルール求めてもし方ないんだけど。
搭乗口までの移動、一分とかからない。 延々と歩かされた去年とは大違い(スカイマーク、冷遇されてるよな)。 売店で軽い朝食。梅お握り1個だけ。今朝の体重が83.6キロだったので。控え目にしておく。 しげは、サンドイッチに唐揚げ。 朝っぱらから濃いものばかり食うよなあ。やっぱり、私よりしげの方が健啖家だと思うんだが。 土産を適当に物色して、いよいよ飛行機に乗りこむ。
飛行機の中も、去年よりずっと雰囲気がいい。 スチュワーデスさんの制服、やっぱり紺色がベースってのがいいよな(いや、別にフェチじゃないぞ)。 前の座席の背もたれに、ビデオ画面があって、映画の予告編だの観光案内だのが見られるようになっている。昔はオーディオで落語を聞くくらいしか出来なかったのに、時代は進歩したなあ。 7時10分に離陸。 しげ、フライトの瞬間、画面を指差して目を輝かせている。 ちょうど高度が上がって、福岡の街並みがだんだんと遠ざかって行くところだ。こういうので有頂天になれるようなコドモ心って、ホントに失っちゃったなあ。いつまでもお子サマなしげが、こういうときは羨ましくなる。 機内サービスはジュースだけ。二人でアップルジュースを頼む。 今はどこの会社でもコスト削減を図っているらしいから、サービスの低下は仕方がないか。
羽田空港到着は8時30分。 予定より早く着いたらしいが、しげがイキナリ腹を壊してトイレに駆けこんだので、モノレールに一本乗り遅れる。慌てる旅でなし、その間にこうたろう君と連絡を取って、浜松町で待ち合わせることにする。 去年の旅行もそうだったが、宿から交通手段から、全面的にこうたろう君ご一家に厄介になっている。しげはそのことをひどく気にしていて、気にし過ぎてご家族に嫌われるんではないのかとか心配しているのだが、それは私も同じ気分なのだ。 どんなに「遠慮しなくていいよ」とか「気を遣わなくてもいいよ」と言われても、自分もまた逆の立場なら気を遣ってもらいたくなくても、どうも全ておんぶに抱っこ、では心が落ちつかないのである。 しげに「気にしないで甘えればいんだよ」と言ってる自分が、だいたい、奥さんやお子さんに嫌われるんじゃないかとか、気にしてしまうのだ。 しげ曰く、「嫌いな人に何を言われても平気だけれど、好きな人から嫌われたら悲しい」。誰から嫌われようが、別にどうということもない、という境地に至るには、我々夫婦の心は弱すぎるようである。
浜松町の改札を降りるなり、こうたろう君のお迎えに会う。 奥さんとお子さんたちは、外で待っている由。 「どうする? 神田を回るなら、ジブリで待ち合わせでもいいけど」 「いいよ、一緒に同行してもらったほうが助かるよ」 こうたろう君、わざわざワゴン車を弟さんから借りてこられたのこと。全く、何もかも手間をかけさせてしまって申し訳ない。 路上で奥さんと息子さん、娘さんにご挨拶。息子さんは、小学校二年生にして、既に立派な怪獣オタクだそうで、私たちが来るのを楽しみにしてたそうである。うーむ、期待に答えられるかどうか(^_^;)。 「んじゃ、東京タワーに行ってみる?」 「……? いいけど?」 ウカツなことに、その時点では、「東京タワー見物」の意味が、私にはわかっていなかったのだった。
こうたろう君の意図に気づいたのは、エレベーターに乗りこんだ時だった。 「ほら、この階段だよ」 エレベーターの窓から覗くと見える、赤い、ちょっとさびついた、何の変哲もない階段。息子さんにこうたろう君がにこにこ笑いながら説明する。 「しんちゃん、ここを駆け上ったんだよねえ」
……そうか! これ、『オトナ帝国』ツアーだったのか!
ウカツと言えば、こんなウカツなことはない。 「東京タワー」と言われた時点で、「20世紀博」を思い浮かべてもよかっただろうに。 「昔は、ここを登れてたら、記念品がもらえたんだ」 とこうたろう君の説明。階段の幅は映画よりもずっと狭く、怖い印象。これをしんちゃん登ったんだ、エライよなあ、ホントに。 「文学散歩」という名目で名所旧跡を回ることはよくあるが、ブンガクブ出でありながら私が旅行先で回るのは、たいてい映画やアニメの舞台になったところだったりする。……今回の旅行の最終日には、「岡本太郎記念館」に行くことも予定している。どうやら今年は完璧な「クレしんツアー」になりそうな気配だ(^o^)。 東京タワーに来たのも、もう20年ぶりくらい。偶然にも今日が展望台のリニューアルグランドオープンの日。……のわりに、展望台にはあまり客が入っていない。「大丈夫かこれで」とこうたろう君、笑っているが、東京都民として心配しているのか嗤っているのか。 エレガのねーちゃんも、スタイルはいいけどちょっと愛想がない。 高いところにいるとやはり地上の人々に対して「ふっ、愚民どもめ」という気分になるものなのかどうか。しげはなるみたいだが。 しげ、土産物売り場で、東京タワーを縁取った写真スタンドを見つける。……言っちゃなんですけど、超ダサダサ(^_^;)。なのに、しげ、またまた目をキラキラと輝かせて「これ買って!」。……(・・;)。 ああ、小道具に使うのか。 ようやく事情を察して、購入。ほかにもまあいかにもな東京タワーグッズがあったがそこまでは手を出さず。「根性」ロゴ入りの置物なんか置くスペース、ウチにはねーよ。 一階のマクドナルドで、みんなで食料を買い込む。 私は飲みものだけをしげに頼むが、寄りによってLLサイズを買ってくる。 「……こんなに飲めるかよ」 「いつも飲んでるじゃん」 「(小声)……そりゃ、いつもはオマエと二人で飲んでるからだろ(・・;)」 ……こんなところで、普段の生活をノロケるハメになるとは思わなかった(-_-;)。 こうたろう君の娘さん、東京タワーのマスコットキャラらしい、「ノッポン」とかいうのに熱心に見入っている。細長いピンクのウンコかコ○○○ムにしか見えない妙ちきりんなキャラだってのに、コドモはこういうの好きだよなあ。しげは「エイリアンがいた!」とか言って(土産グッズ屋にいたらしい)、私の後ろに隠れているが、なんでこのトシになっても着ぐるみ怖がるかな。
次の目的地は、三鷹の森ジブリ美術館。 2時からのチケットを買ってもらっているのだが、渋滞を考えて、早めに到着。1時間ほど、太宰治の心中現場である玉川上水などを散策する。 「……こんなとこで太宰死んだの? 狭いじゃん」 「ほかに死ねるとこいくらでもありそうだよな」 「やっぱ太宰、自分だけは助かる気でいたんだぜ」 「女にしがみつかれて、助かりそこなったんだよ」 こうたろう君と私の全く不謹慎極まりない会話だけれど、多分、これは当たっていると思う。 茶店のようなところで、昼の軽い食事と乾杯。 みんなで焼きそば、カレーなど。しげは「サクラアイス」を頼んで、「さくら餅の味がする!」と喜んでいる。……って、さくらんぼの味じゃないのか。
「ほら、お姉ちゃんにバスを教えてあげな」 こうたろう君が息子さんに向かって呼びかける。駅から美術館までのトトロバスが通っていたのだ。 お姉ちゃんというのはしげのことだが、必然的に私はお兄ちゃんと言うことになる。しげは「それは間違ってるよな」と言うが、しげももうすぐ「おばさん」のトシになるのだ。自分だけを棚に上げてはいけない。
ようやく2時になって、美術館の中へ。 入口に「撮影禁止」の説明書き。 「開館したときは撮影は平気だったんだがなあ」 と、こうたろう君、首を捻る。こうたろう君一家は、もう以前に一度、ここに来たことがあるのだ。 こんな措置が取られたのは、多分、マナーの悪い客が増えたせいなんだろう。実際、「禁止」されてる今でさえ、中で写真撮りまくってる客が多いことと言ったら。これで子供に「マナーを守れ」と教える気なら、そりゃ筋違いってもんでしょ。 私は素直にロッカーにカメラ入れちゃったけど、それが正しいからとか、自分だけは善を貫くとか、そんな大層なこっちゃない。フツーのことです。 映画や土産物屋は満杯だったので、まずは展示物を見て歩こうと思ったのだが、こうたろう君の息子さん、まずは「アレ」を私に見せたかったらしい。 「こっち来て!」と言って、螺旋階段をとっとこ上っていく。 ……年寄りにはちょっとキツイぞ。一気登りは(-_-;)。
『天空の城ラピュタ』のロボット兵(『さらば愛しきルパン』のラムダと言うべきか)、パンフには「守り神」とあるが、これがこの美術館のテーマのシンボルであるだろう。 屋上に吹き曝しの、誰でも触ることのできる、鉄製の、5メートル近い巨大なロボット。そのつなぎ目の隙間からは草が生えている。 この像は、決して「保存」を目的としてはいない。 人が触れ、風雨に晒され続けて、この像はどんどん古び、壊れていくだろう。それが目的なのだ。 人目に触れず、保存と見栄と財テクだけを目的とした美術品の死蔵とは、全く逆のコンセプトでこの像はここにあるのだ。 私もこのとき、この像に触った。冷たいのに、なぜか温かい気がする。 叩くと、コンコン、と鈍い音がした。 もし、数年して再びここに来ることがあるとしたら、またこの像はほんの少し、姿を変えているだろう。 どこかが壊れ、どこかが傷つき。 時の流れと人の営みと、それをともに見守り続ける、字義通りの「目守り(まもり)神」。確かにこの像にもう一度「会いに」来たい。 そう思わせる何かがあった。
アニメの部屋の展示物の殆どが、各種のゾーエトロープ(驚き盤)、ないしはパノラマ、というのは、アニメが本来「見世物」であったころの記憶の再現だ。 うーむ、腐っても宮崎駿(^o^)、アニメの美術館が何を見せるべきかってのがわかってるんだなあ。 中でも立体ゾーエトロープ、縄跳びするサツキたち、跳び撥ねるトトロ、ネコバス、コウモリたちの造型はス素晴らしいの一語に尽きる。……これを見るだけでも、ここに来た甲斐はあったというものだ。 オタクには、むしろアニメ工房を再現した部屋の数々が、何時間でもいたい場所だろう。アニメの制作過程が、ハリガミで解るという凝ったツクリ。
中川李枝子原作、宮崎駿脚本・監督の新作アニメ、『くじらとり』、満席で階段に座って見る。 この原作読んだの、何十年前だろうね。現実と幻想の境界線を軽々と飛び越えて見せたこの児童文学の傑作だけれど、今はかえって「現実と空想の区別がつかない子供を育てる」と批判されやしないだろうか。 その境界線がないからこそ面白いんだけどね、これは。 保育園の子供たちが積み木で作った船が、本物の海に出かけて、くじらと一緒に帰ってくる。それだけの話だけれど、実に緻密に作られている。長編よりもこういう小品の方が宮崎駿のいいところが凝縮されてる気がするなあ、くじらの表情とかね。
ひと通り回って、カフェでこうたろう君オススメのホットドッグを食べる。 パリパリしたパン生地で私は美味しかったのだが、しげには歯応えがありすぎたようだ。 土産物は特に買わず、図録とパンフレットのみ。しかし、この図録自体、実に読みごたえがある。
帰り道、上野の山城屋という玩具屋に寄る。6階建てが全部玩具屋というのも豪勢だけれど、欲しかった食玩なんかか山とあるので、誘惑に堪えるのにひと苦労。明日以降も散財する予定があるので、何とか理性を保って、何も買わずに店を出たのであった。 しげはこうたろう君の息子さんも娘さんにこっそり土産物を買ったらしい。 こうたろう君が「去年みたいに、お土産買ったりしなくていいからね」とそっと言ってきたのだが、時既に遅しだったのである(^o^)。
こうたろう君の家に帰りついた時にはもう8時を回っていた。 ご近所から天麩羅そばを取ってくれたのをありがたく頂く。 土産に持ってきたアニメ『カウボーイビバップ』のテレビ版、幻の最終回を一緒に見ながら、「よくこんなテレビ局批判アニメを作ったよなあ」と談笑。 ……明日も早い。今日はこれまで。
2001年04月27日(金) 祝、2000ヒット/映画『チキンラン』
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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