無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年03月06日(水) 夢のビル・ゲイツ/『金田一耕助の新冒険』(横溝正史)

 今朝見た夢。
 例によって例のごとく、私は入院している。場所はどうやら一番きれーな看護婦さんがいたときの病院らしい。
 正直だなあ、夢って(^o^)。
 糖尿病は、治療しながら授業も受けなきゃならんのだけれど、その講義をどこでやってるか、よく分からない。
 廊下にいる看護婦さんに聞こうとするが、あいにく患者さんに点滴打ちながら移動している最中で、ちょっと声がかけにくい(どうして廊下で点滴打ってやがるんだ)。
 諦めて病室に帰ってもいいのだが、既に退路は断たれている(どういう意味だ)。
 もはや私には講義を聞くしか道は残されていないのだ。
 時間は既に過ぎている。焦って廊下をウロチョロしていると、それらしい講義室がようやく見つかる。
 ……なんだか大学の講堂みたいだな、と思いつつ中に入ると、ありがたいことに基調報告が終わっただけで講義には入っていなかった。
 糖尿病の基調報告というのも意味不明だが、夢だから仕方ないな、とか思っている。
 ちょうど降壇しようとしていた講師は、ビル・ゲイツだった。
 紛れもなくビル・ゲイツなのだが、彼が糖尿病の講義などするはずない、と冷静な判断を下した私は、彼を「ニセモノ」と決めつけた。
 降りて来て私とすれ違ったビル・ゲイツをよく見ると、ニセモノである証拠が確かにあったのだが、それが何なのかはヒミツなのである。

 ……いつにもましてよく分らない夢である。
 夢語りが本人に狂気を呼ぶというのも一種の都市伝説じゃないかと思うんだが、どういう脈絡でそんな夢を見たのか、自分でも説明しきれないからなあ。
 単純に「もう入院はいやだ」と思ってるだけかもしれないけど、かといってどうして講師がビル・ゲイツでなけりゃならんのかって説明にはならんし。
 夢分析を今一つ信用する気になれないのは、それが一応のココロの分析はできても、必ずしも正解とは限らない、という不透明性があるせいだろう。
 結局、「人の心は闇」というところに落ちついてしまう。
 なのに、テレビとかに出ている精神分析学者がたいてい自信たっぷりに「この夢はこういう意味」と断定している。その明瞭さがかえって胡散臭い。
 あれも一種の宗教ではないのか?
 

 今日こそは本屋で『マニア蔵』を見つけようと思っていたのに、しげ、また迎えに来ていない。電話を入れると、「気分悪いから、一人で帰ってきて」と言う。
 「そうなるから、昨日、一昨日のうちに行きたいって言ったんじゃないか。もう二日も待ってやったんだから来い」。
 怒って迎えに来させるが、やっぱりしげは、謝らない。

 博多駅の紀伊國屋と、福家書店を回る。
 紀伊國屋にはナビがあるので、『唐沢商会』で検索してみたが、もう入荷はしていたらしい。
 けれど、既に「品切れ」のマークが。
 何冊入れたかは分らないけど、ともかくもう売り切れちゃったのだ。
 キャナルシティの福家書店も、オタク系のコーナーはフタ棚もあるのに、1冊もない。ちょうど平積みのあたりが何ヶ所か空いているので、ついさっきまでそこに置いてあった可能性は大。
 えいくそ、昨日のうちに来れていれば、としげへの怒りがフツフツと湧き上がってくるが、腹を立ててまた拗ねられるのも面倒臭いのでグッと我慢する。
 ああ、胃に悪い。


 夕食はマクドナルドでてりタマバーガーセット。
 なんだかもう、食事作る気ないんだよなあ。
 『ヒカ碁』録画仕掛けただけで見ず。なんか疲れているのだ。

 
 横溝正史『金田一耕助の新冒険』(光文社文庫・700円)。
 三十年、ファンであり続けた金田一耕助シリーズ、読めるのはこれがもう最後になっちゃうのか……。
 タイトルに「新」なんて付けるなよう。これで終わりなんだから(エラリー・クイーンの顰に倣ったってのはわかるんだけど)。
 長編化される前の原型作品ではあるけれど、『帰還』と同様、荒削りではあっても、横溝正史のエッセンスはギッシリと詰まっている。作品によっては、長編よりもはっきりと金田一耕助の個性が描かれていると言っていいかもしれない。
 『百唇譜』の中で、作者が「金田一耕助は滅多に汗をかかない。そういう意味では冷血的なのかもしれぬ」と語っているのは珍妙な論理だ。しかし、本来、金田一は優しい人間などではない。人間は観察するだけのものとしか思っていない。事件もエログロ味の濃いものが多いし、金田一自身、自分のことを「猟奇の徒」と呼んでいる。まさしく初期の明智小五郎に近い存在なのだ。
 『魔女の暦』では、事件に関わるためとは言え、浅草六区のストリップ劇場に出入りしている。しかも結構楽しんでるぞ金田一。
 「目玉を奪われた魔女がめくらめっぽうまごまごしながら、いちまいいちまい脱がされていって、ストリップになるというだんどりもおもしろかった」
 ……仕事で来てるんだろ、おもしろがるなよ、金田一。
 それにしてもこの事件の舞台になった「壽楽館」っての、どこがモデルなのかな。フランス座しか名前知らないし。

 これらの短編、『獄門島』や『女王蜂』のような、ロマンチシズム溢れる作品だけを読んで、金田一を「優しく暖かい人柄の人間」と勘違いしている読者には認識を改めてもらうきっかけになるかもしれない。

 これで、金田一と言うか、横溝正史について書くこともしばらくなかろうから、この際勝手に、私のベスト・オブ・横溝正史をあげとこう。
 本当なら一作一作レビューしたいところだがそこまでの体力はない(^_^;)。

 <長編>
 1 獄門島
 2 本陣殺人事件
 3 蝶々殺人事件
 4 悪魔の手毬唄
 5 真珠郎
 6 犬神家の一族
 7 悪霊島
 8 八つ墓村
 9 迷路荘の惨劇
 10 悪魔が来りて笛を吹く
 11 びっくり箱殺人事件
 12 白と黒
 13 病院坂の首縊りの家
 14 仮面舞踏会
 15 女王蜂
 16 髑髏検校
 17 夜歩く
 18 不死蝶
 19 迷宮の扉
 20 三つ首塔
 次点 悪魔の降誕祭

 <短編>
 1 蔵の中
 2 鬼火
 3 面影草紙
 4 探偵小説
 5 百日紅の下にて
 6 車井戸はなぜ軋る 
 7 蜃気楼島の情熱
 8 首
 9 鴉
 10 黒猫亭事件
 11 蝙蝠と蛞蝓
 12 湖泥
 13 かいやぐら物語
 14 あ・てる・てえる・ふいるむ
 15 上海氏の蒐集品
 16 女怪
 17 幽霊座
 18 人面瘡
 19 暗闇の中にひそむ猫
 20 山名耕作の奇妙な生活
 次点 金田一耕助の冒険(短編集)

 番外(エッセイ)
   真説・金田一耕助
   探偵小説五十年

2001年03月06日(火) 優しい夫ごっこ/『真・無責任艦長タイラー2 奮闘編』(吉岡平)ほか



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