無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年11月14日(水) 『千と千尋』新記録!/アニメ『ヒカルの碁」第6局/ドラマ『死者の木霊』

オタアミ当日まであと10日! 10日しかないのだ!

 今朝の新聞各紙の囲み記事。
 『千と千尋の神隠し』がついに『タイタニック』を抜いて、日本興行記録の新記録、261億円の興行収入をうち立てた。
 てゆーことは配収は半分の130億。ジブリに入るのは更に半額の70億ほどか。税金でごっそり持ってかれるとしても、まあ、3、4年はスポンサー付かなくて収入が入らなくても新作を作ってられる計算になるな。
 予想通り、宮崎監督、今回もまた引退宣言を撤回したそうで、めでたいめでたい。『千と千尋』作ったときに、「『もののけ姫』で引退するんじゃなかったの!? ウソつき!!」と憤ってた人は多かったようだが、あの人の「引退する!」はデビュー映画の『ルパン三世 カリオストロの城』以来の口癖なんで、こちらは今更オドロキもしない。押井守からも「またほざいてるけど、どうせジジイになるまで作りつづけるに決まってる」と揶揄されてたくらいなのだ。そんなことくらい、昔からのファンなら誰でも当然知ってることなんで、世間の一喜一憂を見るにつけ何を躍らされてるんだかと思っちゃうのだが、つまりは「宮崎」ブランドが浸透したの、本当にここ数年なんだってことなわけで、つくづくオタクな野郎はまだまだ少ないんだなあと感じてしまう。
 ……だって、若い人の中には『ルパン』も『コナン』も知らないってやつゴマンといるんだから。

 そんな中で、「宮崎の原典はやっぱり『長猫』のオッカケだよな」とか、「いやいや、やっぱり『ガリバー』のあのロボットがパックリ開いて中から美少女が」とか、「何を言う、『わんわん忠臣蔵』のころからあった反手塚治虫のスピリットが」などと言い出したりした日にゃよ、かえって「なにワケわかんないこと言ってんの? このオッサン」とか言われるようになってしまうのである。
 ああ、この程度の知識、我々の世代なら、別に知ったかぶりでもヒケラカシでも何でもなく、ただの常識だったのに(T∇T)。
 けれど本気で宮崎駿を語ろうと思うなら、『ナウシカ』以前、『太陽の王子ホルスの大冒険』と『長靴をはいた猫』の2本くらいは少なくとも見ておかないといけないと思うんだが。あの共産主義的共同体幻想と、男尊女卑的エンタテインメントの2本の間の振幅が、その後の宮崎作品のベースになってることは疑いようもない事実だからだ。
 つーか、日本のアニメーションを語る上でこの2本見てないってのはいくらなんでも不勉強過ぎるってもんだろう。リアルタイムで見てない世代だって、ちょっとでもアニメに興味があったなら、どこかでその名声は聞きかじってるはずだぞ。
 もし「え〜、そんなの知らな〜い」とか、「そんなん絶対見ないといけないなんて決めつけイヤ〜」とか言い出すドアホウがいたら、逆さ吊りにしてムチ打ってドテっぱらに風穴開けてカツブシ詰めこんで猫けしかけて簀巻きにして御笠川にたたっこんでやる。凸(-_-メ)

 それにしても朝日新聞の見出しには笑ったねえ。
 「『千と千尋』、『タイタニック』を沈める」だもの(^_^;)。
 『タイタニック』が1年あまりで立てた記録を四ヶ月で更新、それは確かに事実だろうが、『もののけ』が『タイタニック』に抜かれてたことがそんなに悔しかったのかね。朝日、根は国粋主義なんだな。
 既に日本人の五人に一人が見ている計算になる『千と千尋』、多分、上映終了時には三人に一人が見ているくらいになってるんじゃないかと思われるが、ここまでヒットちゃうとオタク的には少しは反発したことも言いたくなってしまう。
 前記の「『ホルス』が」云々もそんな気持ちの表れの一つなんだが、それで新しいファンに嫌われたりでもしたら、オタク新世紀を担う新しい世代はいつまで経っても育たない。オタクなウンチクを披露したくなったり、「キミキミ、それは違うね」なんて指を立ててちっちっちとやってやりたくなるのをグッとこらえて、メルヘンでファンタジーなやりとりもしてみせねばならぬのである。
 だから「『千と千尋』のキャラの中で何が一番好きですかぁ?」なんてこと聞かれて、内心、アホかおどれらと思いながらも、「うーん、カオナシかな♪」「え? やっぱりそうですかぁ♪ 私もぉ♪」なんて、媚びに媚びたヤリトリもせねばならないのだ。
 マジで(←イントネーション尻上がり)。
 ほんなこつ、しろしかっちゃんねえ(´o`;)。

 話はちょっと変わるが、しげから聞いた話。
 ウチの劇団の某女性(特に名を秘す)の新恋人君が、どうもそういう「ちっちっち、違うね」君というか、典型的な「サロンのバカ」君らしいのだ。
 先日の練習に久しぶりに顔を見せた某嬢、彼氏を連れてきていたのだが、なんだか演劇にもいろいろ一家言を持っていたらしく、そのあたりのことを喋ったあと、「どこの劇団が好きなの?」としげに聞いたそうな。
 しげが「シティボーイズかな」と答えると、彼氏君、「シティボーイズは劇団じゃないよ」と言い返したとか。
 確かにしげの返答はピント外れで、シティボーイズは劇団ではなくてユニットと言うべきであろう。シティボーイズ単独のプロダクション、つまり「組織経営」が存在していない以上、彼らがラジカルガジベリビンバシステムだったころからそれは変わらない事実だ。しげを見てると私だってしょっちゅう「それは違うぞオイ」と言いたくなるので、その彼氏君がツッコミ入れたくなった気持ちも解らなくはない。
 しかしである。
 通常、「あなたはどこの劇団が好きか?」という質問の趣旨は「劇団」というカタチにあるのではなく、「どのような傾向の芝居が好きか」という内容の方にある。だから必ずしも適切な答え方でなくたって、相手の好みがわかるものであったからには、それにツッコミを入れるってのは野暮というものだ。つーか子供だがね。
 よしひと嬢がその某嬢とプライベートで会ってたときにも、その彼氏君はいきなりやってきて、何やらいろいろ口角泡を飛ばして喋ってったらしい。
 その彼氏君、某嬢の大学のセンパイだということだが、「あのキョージュとならオレ言い負かせるぜ」とかいうような意味のことを自慢げに言ってたとか。論争を勝ち負けで判断するやつにロクなやつはいないが、その彼氏、話を聞くかぎりではどうも「ハズレ」っぽい。
 某嬢の前の彼氏がとてもいいヒトだったので、反作用的にみんなから評判が悪くなってるのかなあ、とも思うが、某嬢の性格というか、オトコを見る目のなさを考えると、そういう「ハズレ」に引っかかっちゃった可能性も否定は出来ない。

 なんだか某嬢、私にも会いたがってたという話だが、もしかしたら、その彼氏君と私とを「対決」でもさせたかったのだろうか。
 そりゃ私も若い時はよ、青くせえSF論争だのミステリ論争だの散々やったがねえ、勝ち負けに拘るようなやつはもう高校のころを最後に卒業してるんだけどなあ。「それは違う」君に会ったら、もう論争にならないって解ってるし。
 相手との論争が、他人に見てもらって面白くなるという目算があるなら、不毛に見える言い合いも実は不毛ではない。それは一つのショーなんで、バカ話の応酬なんかはそういう性格のものだ。けれど、「相手を言い負かす」とか「自分の意見の正しさを証明しよう」なんてことしか考えてないやつが相手だと、論争を受けて立つ方も。それを見てる方もつまらないこと、この上ないのだ。
 仮にその彼氏君に会うことがあったとしても、私ゃ受け流すと思うがな。

 誤解が多分あろうから、ちょっと付け加えておくが、この日記でも映画やマンガや小説をいちいち俎上に上げては誉めたり貶したりしてるが、実は私は自分の意見に全く固執していない。当たり前の話だが、意見とか批評なんていうのはその作品の持っている情報をどう選択するかによっていくらでも変わる。更に言えば、「この作品はこう評価するのが正しい」と思いこんでる人間の気持ちを変えさせることはかなり難しいし、変えさせなきゃならない必然性もないのだ。
 だから、私がいくら「『ヒカ碁』はいいよ!」と力説しようとも、「ヒカルのメッシュがイヤ」という意見の持ち主に対しては何一つ言える言葉がないのだ。
 また逆に、「『ワンピース』は第一話で終わっている」という私の意見に対して、「『ワンピース』の真骨頂はアラバスタ編だ!」と反駁してくるヒトがいたとしたら、「それは違う」なんて言い返すつもりもない。
 ただ、相手がちゃんと「他人が見て楽しい論争をしよう」と考えていることが見えた場合は、「バロックワークスのキャラクター造型は確かに画期的だよねえ」とか言って論争に乗ったっていいのだ。
 要するに語り合うも争うも、結局ヒト次第ってことなのである。私が某巨大掲示板に一切書きこみをしないのもそういう理由であります(^^)。


 今日も残業、仕事は6時半過ぎまでかかる。
 おかげで迎えに来たしげ、「『テニプリ』が見れんやん」とブー垂れる。
 そんなに面白いかなあ、『テニプリ』。確かに笑えるところはあるけれど、キャラ造型もストーリー展開もなんかムリがあって、そんなに魅力感じないんだけどなあ。
 というか、最初から主人公が滅法強くて、他人をコバカにして相手の足元掬うようなパターンを作っちゃってるので、ドラマ的にはイジクリようがないのだ。これじゃ強い敵を出せないし、出してもキャラが崩れるからつまんなくなるのは眼に見えてる。「弱さ」のないキャラって、魅力が出ないのよ。
 「今から帰れば後半だけでも見られるじゃん」
 と言うと、「後半だけなんて、ははん」と鼻で笑われる。なんだよその「ははん」ってのは。
 『ヒカ碁』はしっかり録画予約してあるし、私は『テニプリ』は見れる時だけ見られればいいのだ。


 買い置きのトンとろを焼いて丼飯。塩胡椒が付いていたが、以前それで炒めたら辛過ぎたので、今日はただ炒めるだけ。
 以前から「うまいぞ」と言っても信用しなかったしげ、二、三切れ食って、やっと「コリコリしてうまい」と言う。
 けれど「でも油がちょっと多い」とやっぱり文句を言う。超偏食のクセして注文付けるんじゃないよ。


 TVQでアニメ『ヒカルの碁』第六局「美しい一局」。
 演出的に関心したのは、このままではトーナメントに勝ち進めないと感じたヒカルが「佐為、おまえが打て」と呟いた時、わざと口パクとアテレコをずらしたこと。その口パクがちゃんとそのセリフ通りに動いたと解るキメの細かい作画。
 ああ、こういう演出が頻繁に出てくればアニメの方も面白くなるのになあ。オーソドックスな演出と陳腐な演出は紙一重で、あまりに定番という印象が続くと、どんなに好きな原作のアニメ化でも、次の回を見たいという意欲が失せるものである。今のとこ、どうもヒカルと佐為の声に馴染めないので、ちょっと見ててもイマイチ高揚感がないのだが、そこいらを脚本と演出がカバーしてくれりゃあな、と思う。


 RKB毎日放送『オフレコ!』、ネットストーカーの特集。
 「迷惑メール」ってやたら騒いでるから一体どんなのかと思ったら、たいていはエロサイトの紹介メールが勝手に送りつけられてるのを言うみたいである。
 ウチにもそういうのがたまに来るが、「メイワク」とは感じなかったな。いや、利用させてもらったってわけじゃないけど(^.^)。
 「迷惑」とまで言ってるんだったら、何らかの「被害」がなくてはならないわけだけれど、さて、これが警察に訴えて取り締まれる程度のものなのかどうか。受信するだけで受信料がかかっちゃうんだったっけ。たいていは無料配送が多いんじゃな伊かと思うけれど、だとしたら物理的な被害がないから、「無視しなさい」ってコメントだけで終わっちゃうんじゃないかな。
 しかし驚いたのは、いったいどこから迷惑メールの送り手は個人のメールアドレスを探り出すのかと思ったら、コンピュータソフトが無作為に英語を並べ替えて勝手に配信してるだけなんだね。実在するアルファベットに偶然ぶち当たれば続々とメールを送れるわけで、だったらアドレス自体、個人情報を保護する方法としては基本的になんの効果もないってことになる。やっぱり無視して削除するしか対処法はないんじゃないか。
 そんなのより厄介なのはやっぱり「出会い系サイト」を通じて知り合った相手からストーカーされてしまうとかいう被害じゃないかな。しかし若いムスメがいとも簡単に出会い系サイトを利用するってのはいったいどういうわけなんだか。利用しなけりゃ被害にあうことだってそもそもないわけで、わざわざそんなとこを覗いてみるってのは、そうでもしなけりゃオトコと出会えないくらい飢えてるってことなのか。だったら被害に逢うのも自業自得ってもんである。

 私もネットで知り合った方々とのメールのやりとりが最近何件か重なったが、それが女性相手だったりすると、確かにどんな人かな、ということを想像したりはする(男ならせんのか)。
 でも実際に会ってみたいとは基本的に思わない。それを期待してやりとりしてるわけでもないし、ペンフレンドの昔から顔の見えない相手に対する想像というのは概ね実物よりもはるかに美化されているものだから、現実の私に会えば幻滅されるに決まっているのだ。
 まあ、夢は夢のままでいさせておいた方がいいかな程度の虚栄心は私にもあるので、ネット上でトシの2、3歳程度は若く誤魔化してもいいんじゃないかと思っている。実際にはしてないけど(^_^;)。


 TVQ『女と愛とミステリー 内田康夫サスペンス 死者の木霊』。
 内田康夫のミステリーは浅見光彦ものを10冊読んで飽きちゃったので、この“信濃のコロンボ”竹村警部シリーズはまだ一冊も読んだことがない。たしか以前は堺正章がこの竹村警部に扮してたはずだが、今回は中村梅雀にキャストを変えての新シリーズ開幕。さて、原作とのイメージはどちらがより近いのか。
 ミステリーとしての出来はたいしたことないので、もっぱらキャストの演技に注意がいくが、中村梅雀、声だけだと中村梅之助に驚くほど似てきた。翫右衛門・梅之助・梅雀と、よくもまあ、血が薄まりもせず受け継がれて来てるものだ。
 けれど芝居はどうも梅雀さん、今一ついただけない。気負いがあるのか、臭くて軽いので、人情味を出したいのかユーモラスにやりたいのか、どうも中途半端なのである。上司がまた里見浩太郎ときてるから、現代劇だってのにセリフに妙に「タメ」があって、自然な感じがしない。
 まあ、売れセンの役者使ってないし、一応スタッフはマジメにキャスティングしたんだろうけれど、ちょっとハズしてるかも感は拭えないのであった。

2000年11月14日(火) 年7回は風邪引いてるな、私/『まどろみ消去』(森博嗣)ほか



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