無責任賛歌
日記の表紙へ昨日の日記明日の日記




ホームページプロフィール掲示板「トーキング・ヘッド」メール
藤原敬之(ふじわら・けいし)

↑エンピツ投票ボタン(押すとコメントが変わります)
My追加


2001年11月06日(火) 10年ぶりのスプラッタ/『西原理恵子の人生一年生』(西原理恵子)ほか

オタアミ当日まであと18日! 18日しかないのだ!

 オタクアミーゴス九州公演開催までもう日がない。
 なのに、私んとこに「え? オタアミのチケット、まだ残ってるんですか? 買います買いますう!」と目をウルウルさせてやってくる美少女が一人もいない(来るかドアホ)。
 まあ、美少女が来ないのは仕方がないにしても、せっかく公開日記登録してるのに、もうちょっとオタク度高い人いないのかなあ。ウチの劇団メンバーにもちょこちょこと声をかけちゃいるんだが、しげの宣伝の仕方がもう噴飯もので、まるでなっちゃいないのだ。
 「楽しいよ〜、客がもうみんな濃くって濃くって、汗臭くて、太ってて、ウンチク垂れの、小うるさいの、もう3時間そこにいるだけでムンムンして息ができなくなるわ、馬鹿笑いされてアタマはガンガンしてくるわ、トリップできること間違いなし!」
 キサマは日本のオタクを全て敵に回すつもりか。
 ~凸(-~~- )
 いやもう、みんな引く引く。それでもよしひと嬢だけは「行きますよ〜」と言ってくれているので、やはりウチの劇団一のツワモノだなあ、とはつくづく思うのだ。

 確かに、しげがハンパなオタクを鬱陶しいって言いたくなる気持ちはわからなくはない。
 私も、昔、広島アニメーションフェスティバルに行った時、座席の後ろでゲストの対談中もずっと、まさしく「サロンのバカ」的なウンチク垂れまくってたオタク連中に「うるさい、黙れ」と文句つけたことはある。
 けど、それをはオタクであるかないか以前に、マナーを守れているかどうかって点を問題にしただけだ。私だってハンチク野郎には違いないんで、自分だけがモノ知ってるような態度は取れないし、ネットのあちこちで明らかにオタクそのものを敵視するような「ウザい」と吐き捨てるような言い方をすることはやっぱりできない。
 なんだかんだ言っても、彼らは仲間なんである。

 しげはどんなにおかしい映画や公演でも、声を出して笑わずに見るやつなので(単にステゴザウルス並に反応速度が遅いだけかもしれんが)、せっかくのギャグが周囲の笑い声で聞こえないと言うのは、腹立たしいことでしかないのだろう。けど笑いたい時に笑うなというのは無理な話だし、オタクが汗臭いのは宿命だ(^^)。それに目くじら立てるのは女に向かって「ちんちんついてないくせに威張るな」と言うようなものである。
 広い心で見守っていただきたいものである。

 で、当日でもいいから、オタアミにご興味あるヒト、ぜひ来てね。
  

 今日は比較的早めに帰宅できたので、『FFU』を見ようかと思っていたのだが、しげが「腹減った腹減った」とうるさいので、諦めて外出。
 「『浜勝』と『ロイヤルホスト』どっちにする?」
 「どっちでもいいよ、どうせ『ロイヤル』はデザート食いたいだけなんだろ?」
 「実はそうなんよ」
 「で、しかも食いたいのはデザートの上のクリームだけだろう」
 「……うん、そう」
 「なら行く意味ないじゃん」
 「だから『浜勝』でいいんだけどさ、あとで『ロイヤル』でデザートだけ食べようかって思っても、腹いっぱいになってて、いつも食べられんとよ。悔しい」
 悔しいって、自分が食い過ぎなきゃいいだけではないか。いつまで経っても自制心のかけらも育たんやつだ。こいつ、婆さんなってもこんなかなあ。

 「ブックセンターほんだ」で、何冊か本を物色。
 「浜勝」では新発売とかいう松茸のホワイトソースかけカツ定食を食う。松茸ったって、薄く薄く切ったのが数切れ入ってるだけ、しかもホワイトソースで味も風味もまるで消されている。食感すら殆どない。……こんなんシメジでいいじゃん。
 だったら頼むなとも言われそうだけど、なんか「新発売」とか「フェア」ってやつに弱いんですよ。ささやかなゼイタクをつい望んじゃうのは庶民の心理ってもんなんである。
 しげは思った通り、メシを際限なくオカワリし続けている。ただ飯はいくらでも入るってことか。でもこれだけ食っても、1時間もすれば「小腹がすいたね」と言い出すのだから、全くどんな消化吸収能力を有しているのか。いつもいつも言ってることだが、しげの胃はブラックホールがバイストン・ウェルに通じているに違いない。
 しげの働いてるリンガーハットの系列の店なので、社員割引が利いて六百円の得。「リンガーで食べて割引されるより、浜勝で割引してもらう方がおトクな気がせん?」としげ。
 そりゃ、おまえが肉好きだからだろう。どこで何をどれだけ食おうが、割引率が同じなら、お得な率も同じなんだが、結局人間の損得勘定なんて、欲望の度合に比例するものなのだ。

 コンビニに寄って、今週の「ジャンプ」を立ち読み。
 『ヒカルの碁』、ついにヒカルが囲碁の世界に戻ってくる。佐為がどんな形で復活するのかと思っていたら、碁そのものに佐為が宿っている、という結末。
 こう文章で書いてしまうと、あまりにも当たり前で意外性のない結果のようだが、なかなかほったさんのシナリオ、小畑さんの作画で、キチンと感動的に見せているのはさすがである。
 「こんなところにいたんだ、佐為」という、ヒカルのつぶやきと涙、ダシに使われた伊角には悪いけれど、たとえ佐為の姿が消えても、この物語はこれからもやはりヒカルと佐為の二人三脚でいくのだ、という道をハッキリと示して、言ってみれば「第一部」の締めくくりとしては、妥当な終わり方と言えるのだろう。
 ……それにしても、ヒカル、細くなって背が伸びたよなあ。
 アニメでまだ小学生のころの丸っこくてチビなヒカルを見ているから、そのギャップがえらく激しい。形ばかりの「成長ドラマ」は多いけど、ヒカルくん、ホントに心身ともに成長してるよ。
 逆を言えば、問題点はまさしくそこにあるのであって、紛れもなく「人間」を描いているこのマンガ、このまま続ければ終わりようのない物語に突入していくことにもなってしまう。人間の成長に「結末」をつけることなんておよそ不可能なことだからだ。
 これまでの「成長もの」(特に梶原一騎の影響を受けた青春マンガ)は、たいてい主人公のまだ見ぬ未来への雄飛を暗示して終わるか、あるいは突然の死亡、崩壊、破滅で終わるかのどちらかのパターンでしか終わらせられなかった。『ヒカ碁』はおそらく前者のパターンで終わらせるしかないとは思うのだが、ここまで盛り上げてくれると、更にこちらの予想を思いっきり裏切るような終わり方をしてほしいとも思ってしまうのである。
 無理な注文かもしれないが、そう期待したい。おそらくヒカルを追撃する新世代のキャラクターも今後は登場してくるだろうことを考えれば、まだまだ、このマンガから目は離せないのだから。


 『西原理恵子の人生一年生』(小学館・1050円)。
 「100%サイバラ雑誌」と銘打ってはいるが、第2号が出るかどうかは1号の売れ行き次第ってトコロがいかにもサイバラさんらしくって正直。
 でもツマンナサの極地で誰が買うんだって思ってたさくらももこの『富士山』だって4号出したんだから、西原さんにはぜひともキリよく「3号雑誌」で昇天してほしいものである。サイバラさんに大ブレイクは似合わないよん。
 ああ、でもホントに『富士山』の四億五千三百八十万倍は面白いぞ、『人生一年生』。
 語りだしたらキリがないが、まずビックラこいたのが西原理恵子オリジナル本格焼酎の通販。西原さん自身がちゃんと試飲したってんだから、これはもう、絶対の信頼に値しよう(^o^)。
 しかし凄いぜ、銘柄が「俺の武器」に「どこへ行く」だもの。ホントに飲んだらどこへ行っちゃうやら解らんぞ。ヽ(^。^)丿
 ああ、でも他に上がった名前の候補で、「ぜってー売れねー」と言いたくなる「目がしばしば」とか「チルチルメチル」とかも捨て難いぞ。戦後すぐのころ、アルコール類が払底していたころ、メチルアルコールの混じった酒を飲んで、目をやられたヤツがしこたま出たって話(ホントかどうか知らんが)、知ってる人も少なくなったろうなあ。

 新作マンガの『ぽぺぱにゃ』、相原コージの『なにがオモロイの?』と同じコンセプトで、『コロコロコミック』に持ちこんだり、街頭アンケートを取ったりと、実にイタイ企画をやってるんだが、相原さんの場合、本人がマジだけにギャグになりきれてないのに対して、西原さんは才能の格の違いを見せつけている。
 嘲笑われること、無視されることを承知の上でやってる余裕がちゃんとギャグになってるのだ。……そうなんだよなあ、相原さんのマンガが笑えないのは、本人の「一生懸命さ」が裏目に出ちゃってるからなんだよなあ。
 多分この企画、西原さんから相原さんへのエールだ。確かにマンガ家だって芸人、体を張ってナンボなんだけれど、客を構えさせちゃいけないんである。やっぱり「どうしたら面白いギャグが書けるか?」というコンセプトを提示した時点で相原さんはギャグマンガ家として死んじゃってるのだ。もちろん、その「死んじゃってる」状況を楽しむという意地悪い楽しみ方はできるんだけれども。

 しげと二人で「サイバラ黒キャラ占い」をやる。
 一応、卯月田麻裕って占いの先生に監修してもらってるようだけれど、多分中味は相当デタラメ(^_^;)。
 「ゲッツ板谷タイプ」なんて、「俺が正義、俺が法。竜巻のように人を振り回すが、よいほうに働けばどこかのシマを束ねられる。意外とセクシーだが同性しか寄ってこない」。
 ……そんなタイプ、日本中どこ探したってゲッツ板谷一人だ(* ̄∇ ̄*)。
 しげは「コータリンタイプ」。
 「一見腰が低い人、内心では高みから人を見下ろす、こっそり唯我独尊キャラ。究極の見栄っ張りで友達少ない」
 おお、当たっている! これは意外と人間の奥底まで見ぬいているのかも!
 で、私はというと、「花田編集長タイプ」。
 「熱しやすく冷めやすい、スーパーお天気屋キャラ。」……そうかあ? 趣味とか結構持続する方だけどな。でなきゃ40年近くも怪獣ファンやってねーよ。
 「出世は早いものの、職場を転々としたりします」
 出世もしてねーしする見込みもないが転職もしてないぞ。
 「一度逆境にあうとそのまま挫折しやすいので道を外れないように注意しましょう」
 このへんは当たってるか外れてるか判別はしにくいな。今までの人生、順風満帆と見るか逆境だらけと見るかは解釈次第だしな。しげとの結婚はどっちなんだよ。
 つーか、私ゃ仕事がらみで花田さんと話したことあるんだけどな。ちょうど「マルコポーロ」廃刊の直後だったんだけど、『UNO』創刊したせいか、全然元気だったんで、意気消沈してる姿を期待した私は拍子抜け。
 で、会ってみて感じたことだけど、どう考えても私とあのヒトとじゃ、タイプはまるで違うがね。
 そのとき「花田さん、私の職業についてどう思いますか?」と訊いたんだけれど、「お人よしのバカばっかりですねえ。人の話、すぐ素直に信じちゃうし。少しは『疑う』という世間知を持つべきだと思いますよ。だからすぐコトナカレ主義に走るんですよ」と思いっきりこき下ろされてしまった。でもまあ、当たってるので私は全然怒らない(^^)。……考えてみたら、言う方も言う方だが、笑って聞いてる方も聞いてる方だからやっぱり似てるのか?(・・;)
 さて、これだけで私の職業が判った方はメール下さい。先着1名の正解者の方に、花田さんのサイン“なし”本を贈呈します♪

 他にも青木雄二との「脱税」対談やら、いいかげんにしろサイバラ編集者座談会やら、まあちょっと、中味を紹介しにくい企画がてんこもり。
 「絵がかわいいんだか汚いんだかわからない」と、食わず嫌いのヒトもいるかもしれないが、西原理恵子は多分21世紀を代表するマンガ家の筆頭に挙げていい実力と才能を持っている。表層的な社会現象と流行だけでしか文化を語れぬ有象無象が多すぎるせいで、いまいちブレイクはしていないのが残念だけれど。
 少なくとも、西原さんのマンガを読んで、「このヒト嫌い」というヒトは「人生負け組」に入ってることは間違いないので、他人を判別するのにすごく役立ちます。ご一読を乞うものである。


 帰宅して、CSちゃんねるNECOで『うる星やつら・オンリーユー』と『うる星やつら2・ビューティフルドリーマー』を見る。
 この2本も何度見たかわかんないけど、間を置いてみるとホントに飽きが来ないなあ。
 劇場版第一作は監督本人は「つまんない」のヒトコトで切り捨ててるけれど、それはこれが実に映画の「教科書」的作り方をしているからだろう。
 導入、展開、クライマックス、オチ、ドラマツルギーもパターン通りだし、このカットのあとには切り返してこのカット、音楽はここで入れて、といった細かい演出も、実に的確。……でも逆に言えば、映画学校の優等生が作った映画って言われてもしかたがないくらい定番すぎるキライはある。つまり「破」がないし「個性」がないのだね。
 映画のリズムが崩れることを承知の上で、劇場公開時にカットしたシーンを「完全版」として挿入したのも、その「破」をあえて作るためだったのだろう。その証拠に、完成度の高い第2作にもあたるが未来社会をさ迷う場面などがカットされているにもかかわらず、そちらの方は未だに復活していない。
 ……でも、ホントに『ビューティフルドリーマー』は傑作だよなあ。
 大学生のころ、最初に見たときには「ラムの世界の中にどうしてもう一人のラムがいるのか」ということの意味がよくわかんなかったんだけど、あれ、ラムの自己欺瞞なんだな。
 つまり、マドンナとしてのラムはあくまで美しく、でもホンネの「責任取ってね」のラムは自分と切り離して見ないフリしているのだ、あの女は。……ああ、女性経験が増えるってことは、こんなわかんなくていいことまで見えちゃうようになるってことなんだなあ。大学時代の私って、なんて純でナーバスだったんだろう(^_^;)。
 もちろんそれは社会的弱者たる「女」の自己防衛の手段でもあるのだけれど、映画はつまるところそういう「女」を描くものなのであるという、究極の映画論をあの世界の「演出家」たる「夢邪鬼」に語らせちゃったがために、『うる星2』は究極の映画にもなりえたのだ。
 おかげで、それ以降に作られた『うる星』はテレビも映画も、全てラムと夢邪鬼の手のひらの上で動く作品に塗り替えられてしまった。『2』ほどの密度を持った世界観を持って作品を構築しえたのは、やまざきかずお監督他の人々にバトンタッチされてからあとは、わずかに『うる星やつら4・ラム・ザ・フォーエバー』1本を数えるのみである。


 しげが仕事に行ったあと、肉野菜炒めを作ろうと思って包丁でタマネギを切りかけたら、見事にすべって左の人差し指をザックリ切ってしまった。抑えても抑えても血が吹き出るのが止まらない。
 以前も「あんたの血、薄いね」とケロリと医者に言われたことがあったけど、なんかまたそうなってるのかなあ。
 だいたい、結婚して以来、十年、指切ったのなんて、数えるほどしかない。もしかしたら初めてかも。
 しょっちゅう切ってるしげとは雲泥の差なので、結構慌てる。バンドエイドを何枚張り替えて押さえても、間からジュクジュクと血が滲み出して来る。水で流したり押さえたりを繰り返して、10分ほど悪戦苦闘して、やっと血が止まるが、ジンジンした痛みはおさまらない。相当深く切ったらしいけど、治るかなあ。糖尿もあるし、新陳代謝だって衰えてるだろうから、ずいぶん時間がかかるんじゃないかなあ。
 なんだかこんな小さなことですらビクつくようになっちゃった自分がちょっと情けないなあ。

2000年11月06日(月) 別に国際化したいわけでもなし/『大人の国イギリスと子どもの国日本』(マークス寿子)



↑エンピツ投票ボタン
日記の表紙へ昨日の日記明日の日記

☆劇団メンバー日記リンク☆


藤原敬之(ふじわら・けいし)