無責任賛歌
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2001年04月24日(火) |
ギャグマンガの地平に/『相原コージのなにがオモロイの?』ほか |
……今はいつ? 夜中なんだか明け方なんだかわからない。 夢を見ているのか、現実なのかもわからない。 でも、口の中になにか違和感だけがあるの。 ああ、冷たくて気持ちいい……。 でももうダメ。 意識はそのまままどろみの中に消えていく……。
……どれくらい経ったのかしら、また口の中に何かが……。 でも、これ、前のと全然違う。 ああっ、何なの? この口の中いっぱいに広がる刺激は……。 ああっそんなに何度も押しこんできちゃいやっ……。
……気持ち悪いからやめよう。下手に偶然この日記を読んだ人が、本気でその手の暴露日記と勘違いしたら敵わん。……どうもいきなりこんなスタイルで書き出しちゃったの、拾った『秘本』の悪影響かもしれんな。 ……要するに、寝ている私の口の中に、女房がアイスモナカとジャンバラヤを詰めこんで来たのである。 朝っぱらからそんな「どうぞ胃をコワしてください」みたいなもん、食わせるんじゃねーや。
あー、火曜日かあ。火曜日って何があったんだっけえ……。 って何か書けるほどのことがあるわきゃないのだ。 何しろ、帰宅して疲れ果てて、ぶっ倒れて爆睡して夜中に起きたんだから、仕事のこと書かなきゃ大して書くこたないのである。 とりあえず窓の外は雨。 ああ、今日もタクシーで通勤せねばならんのか。 税金も今月落ちるってのにイタイなあ。
病気休業中の同僚の仕事の代理、今日で終わる予定が明日まで延長。 臨時雇いの方が(うら若き女性が二人も助っ人)、本当なら明日から来る予定だったのだが、「すみませーん、健康診断があってえ、木曜日からしか来れないんですけどお」の一言で延期になっちゃったのだ。 いやまあ、健康診断はいいんだけどさ、こう体力の限界に挑戦するような仕事続けてりゃ、こっちのほうが健康診断はおろか、死亡診断がおりたって仕方ない状態になってきてんスけど。 マジでシャレにならんのに、私の口から出たセリフは「あ、いいですよ。木曜日からで。来ていただけるだけでありがたいです」 ……別に相手が若いねーちゃんだからってわけでは決してない。 ただの痩せ我慢だ。 ああ、中年パワー、もうひとふんばりってか? しくしく(T_T)。
『キネマ旬報』5月上旬号、ティム・バートン監督の新作、『猿の惑星』のスチールが紹介。 以前の作品はそのテーマの重さに比して映像自体は明るく「白い」印象が強かったが、今回のリメイク版は監督が監督だけにやけに「黒い」。 何となく、『砂の惑星』に印象が近いが、大丈夫かなあ? 猿の軍団(笑)のメイクを見ると、これがまたなんだか『キングコング』リメイク版みたいでまたまた心配になる……。 まあ、見てみないことには何とも言えないんだけどさ。 新作情報はといえば、海外では『三バカ大将』だの、こちらでは『化粧師』や『悪名』など、またまたリメイクばかりだ。『化粧師』なんか時代を大正に移すだと? なら石ノ森さんの原作使う意味ないじゃないか。 こういうバカ企画からでも、たまにとんでもない傑作が生まれることもあるから油断はできないんだが、それにしてもなんだか期待薄なものばかりで、気が滅入るのである。 「日本映画紹介」の欄で、なぜか今ごろ『サイナラ』『ちんちろまい』『独立少年合唱団』を紹介している。どれももう半年前の映画じゃないか。 さては記載するの忘れてたな、『キネ旬』。映画雑誌の老舗を謳ってるワリに、こういう情報漏れが多いのである。ほかにめぼしいのがないから買ってるだけなんで、もっときちんとした情報雑誌があればとっくにそっちに移ってるんだがなあ。文化映画や単館系まで、一応フォローしてるのはここだけだから仕方なく買ってる客もいるってこと、知っててほしいんだけどな。
夕方には雨が上がるが、帰りもやっぱりタクシーにせざるを得ない。 バスを乗り継いでちゃ、帰宅が9時過ぎになっちまうし。疲れて帰って来るが、やっぱりメシの用意はできてない。 女房が「ピザ、たのもうか?」ともちかけてくるが、そんなしつこいものばかり食べたくはないのだ。 そうすると、女房、外に出たはいいが、買い物をするでもなくほか弁を買ってくる。しかもさっき「しつこいのはいらない」と言ったばかりなのにキムチ丼なんかを買って来やがる。 あるものは食わねばならぬので食ったが、どうしてこうカンの外れたことばかりしてくれるかな、女房は。
風呂にも入らず10時に寝て起きたら、午前2時。ああ、4時間しか眠れないって、どういうわけだ。確実に体のリズムが狂ってきてるんだなあ。
マンガ『相原コージのなにがオモロイの?』読む。 相原コージという人、決して頭のいい人ではない。マンガ家にも天才型と努力型がいるとすれば、明らかに相原さんは「努力型」なので、言っちゃなんだが、その「努力」の過程が見える分、ギャグマンガ家としては弱いのである。 相原マンガを毛嫌いする人は多いが(ウチの女房もそうだ)、その批判のし方はたいていが「絵が汚い」「アイデアが陳腐」「説教臭い」というものである。 特にその「説教臭い」ところが反発を食らってるのだろうと思う。何しろ大上段に「ギャグマンガとはなにか?」と問い掛けてくるものだから、「えらそうにすんじゃねえ」と言いたくなる気持ちが読者の側に起こることも確かに当たり前ではあるのだ。 相原さんもそのあたりの読者の批判を常々肌身に感じていたのだろう、今回はそれを逆手にとって、客イジリならぬ客イジラセ、というとんでもない手段に出た。 インターネットに自分のマンガを載せ、読者の批判を仰いでギャグマンガを改訂していく。その過程そのものを発表していくという、言わば「メタマンガ」を目指したのだ。……『朝のガスパール』とか『笑い宇宙の旅芸人』のパクリとか言うなよ、小説とマンガとでは手法は似てても完成作はおのずと違うものになってるものだ。 匿名性の高いネットにおいては、批判を越えて、罵詈雑言が相原さんを襲うことは予測していたはずだ。相原さんは、その予測に従って、あえて「切れて」いく(予測してたからと言って、冷静でいちゃマンガにならんものな)。 でもそういった「メタマンガ」の試み自体が「陳腐なアイデア」とする読者もいて、「やっぱり相原コージはつまんない」と断じてしまったりするのだ。女房などは多分それで相原コージが嫌いなのである。 でもねえ。私はそれほど相原さんを嫌いになれないのよ。 なんたって自分のマンガを「つまんない」と貶した高千穂遙の本を、本屋に行って全部、後ろむきに入れ直したという人だ。バカな子ほどかわいいというが、「努力の過程が見える」というのも、それはそれで楽しめるでないの。 実は日本では、ギャグマンガは未だに差別されているのだ。はっきり言って相原さんがここまで罵倒されているのは、相原さん個人だけでなく、ギャグマンガが、ひいては全てのマンガ家自体が低く見られていることの表れにほかならない。 確かに相原さんのマンガはつまらないが、相原さん個人を罵倒するようなやつにマンガを愛する資格はない。日本が未だ読者の知的レベルにおいてマンガ後進国であることを証明した点で、本書は今世紀初の傑作マンガとなったと言えるのである。
マンガ、椎名高志『MISTER ジパング』4巻。 表紙は濃姫だけど、あまり出て来ない。信長の父、信秀の死と、その後の織田一族内の新たな権力闘争、平手政秀の死が今巻のメイン。……男のドラマだなあ。でも、椎名さんに求められてるものはそれと違うものだろうから、『GS美神』以来のファンは戸惑ってるかもしれないけど。 私はベタなギャグが減った分、以前よりずいぶん読みやすくなってるんだが。作家はやはり以前と同工異曲のものは書きたがらぬものだから、この変化もあたたかく見守っていけばいいと思うんだがなあ。
マンガ、高橋留美子『うる星やつら・所持品検査だ!』。 声優の日高のり子さんのインタビューで、京田尚子さん(『犬夜叉』の楓役だな)のエピソードが面白い。 お年を召した方であるから、『犬夜叉』の情念の世界を捉えるにしても、実にリアルな具体例を挙げられているそうなのである。 「昔の話でね、お妾さんと本妻が仲良くしてるんだけど、夜になると髪の毛同士が絡み合って戦ってたってね」 ……『犬夜叉』って、そんな話だったのか(^^)。桔梗が本妻でかごめが妾か? ……かごめが聞いたら怒りそうだなあ。
ああ、今日も『陰陽師』見逃した。 でもまあアレはたまに偶然見る程度でいいや。
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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