ささやかな独り言。...琴代 諒

 

 

桜の頃、妾は。 - 2003年04月30日(水)

妾の皮膚は、掌を着けた処から 境目を無くし
妾はずぶずぶと 溶け込んで仕舞ったのです。
妾の血管が、筋と成ります。
妾の足が、根と成ります。
妾が妾では無い物と、そうしてすっかり混じって仕舞った後
妾の筋の中を
妾の赤い血液が巡り
妾の指先の爪は
妾の血液に依って薄紅に色付き
妾の手元から、はらはらと舞い落ちます。
妾の其の様を見て、人は喜ぶのです。
妾は其れが嬉しくて
妾は毎年、春を心待ちにするのです。

妾はもう、桜ですから。


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