2001年02月22日(木)
目の前の鏡の映る風景を見てゐた。窓の外には、遠く見える緑色の山と雲の流れる碧い空。
僕は空を見てゐる。遠い瞳で、鏡に映る空を見てゐる。
平面だけの鏡に、遠くを見る。
僕は鏡を見てゐるのではない。
ただの鏡に、遠くの風景を見てゐる。
僕はさう思ってゐる。
だが、其処に映ってゐるのはほんたうに僕の背後に在る風景なのだらうか。
僕は風景を見てゐるのではない。
ただの鏡を見てゐる。
鏡に見えるのは、ほんたうの風景ではないかもしれない。
振り返ったら其処には、無機質な建物と灰色の空があるかもしれない。
あゝ、僕は風景を見てゐるのではない、鏡を見てゐるのだ。