オミズの花道
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『 いつからなのか、髪を撫でながら 』
2006年06月05日(月)
真田さんがアンビエンテに社用で泊まると言うので、私も一部屋取った。
別に部屋を取らなくても俺がツインにするよ、と真田さんは言うが何だかそういうのが嫌で。
仕事を終えてホテルに帰るとき、ホテトル嬢に間違われたら嫌じゃないか〜。
(…充分にトウが立ってるのでホテトル嬢ってのも無理があるが。)
ところが前日に予約したのに、向こうの手違いで部屋が取れていなかった。
どうしようかなあ、とフロントで悩んでいたらすかさず『ジュニアスイートをご用意させて頂きます』、とのこと。
従来の料金でいい、なんて悪いような気もするがここは甘えておこう。
そういえば以前にも旅行先でこんな事があった。
今回も同じという事は、ホテル業にこういうマニュアルでもあるのかな。
とにもかくにも『アンビのジュニアスイートだったら大した事無いだろう』と思っていたら、これがそこそこ良かった。
リッツのスタンダードルームより、ベットルームはこっちの方が良い。
バスルームはリッツの方がそりゃあいいけどね。
早々とお風呂に入ってお化粧をしていたら、真田さんからメール。
『チェックインしたよ。部屋は○○○○号室。』
・・・・。
えっ。真向かいの部屋じゃん!!
私が向かいのジュニアスイートに居ると言ったら、向こうもビックリしてた。
禁煙部屋とジュニアスイートって同じ階なのね。
ちょっと入りたがってたけど、そこは制止。
今日は同伴なので遅刻は厳禁だし、何よりお化粧前だから。(笑)
着物下着姿だったし、そりゃあ駄目でしょう。
仕事を終えて帰って来て、真田さんの部屋の電話に電話をすると、何だかヘベレケな声。
向こうがこっちに来るという。
来るなりガウン姿で(ホテル備え付けの薄いの)ベットに倒れこむ。
聞けばスピリタスを飲まされてグデングデンのようだ。
何で今更そんな子供みたいな飲み方するんだろう、と思いながら、冷たいタオルを彼の首の後ろと頬に当てる。
眠っちゃ駄目だ、と本人が一番思っているのだろう、無理に話そうとする。
私は着物を脱ぎながら、ゆっくりと返事の回数を落として行く。
そうして私がお風呂から上がる頃には、彼はすっかり眠ってしまっていた。
眠っているその人の髪を撫でながら、じっと観察する。
私はいつから、この人をこんなに好きだったのだろう。
顔を見ながら『ああ、この目元を見た時からだ。』、
ごつい手を見ながら『ああ、この手を握ったときからだ。』、
そんな風に思う。
眠くなって来たので、私も隣で眠る。
何度も思うが、警戒心の強い私が横で真から眠りにつけるのはこの人が初めてだ。
まどろみの中で、向こうが私を抱きしめ、髪を撫でているのが解る。
明日の朝、雀と共に起きたらきっと彼は、眠っちゃってごめん、と照れ臭くさそうに言うだろう。
朝食が遅くなるのは仕方が無いことだ。
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