オミズの花道
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『 子鹿の目をした鬼畜な男と午後のお茶会 』
2004年06月13日(日)


土曜日の午後、赤丸急上昇中のHさん(ここ)から電話。
『今から会社に行って書類整理をするんだけど、
 一時間くらいで終わるから・・・・なおちゃんお茶でも飲まない?』とのお誘い。

土曜日は大抵電源を落としているのだけれど、うっかりしていた。
さして理由も無いし断りにくいから『夕方までしか時間がありませんが、それでも良ければ・・・・。』とお受けすることにした。営業、営業。
(いつまでも「Hさん」と書くのもおかしいので、ここからは林さんと書くことにします。)


さて、林さんが車で天王寺まで来てくれる事になったので、お化粧をして向かう。気乗りしておらず、またさほど気合いが入ってない私は、髪の毛を余りいじらずに行った。
だが喫茶店に入ると、その髪の毛をいじらなかった事を非常に後悔する。

周りの女性も男性も林さんを見ている。
ああそうか、この人もオトコマエだもんねえ・・・・。
やだなあ、髪の毛くらいキッチリ結ってくれば良かった。


オトコマエにも色々あって、真田さんのように男らしい逞しさのオトコマエも居れば、この林さんのように繊細そうで線の細いオトコマエも居る。

私は夜にスーツを着ている彼しか見たことが無かった。
185センチの身長に小顔、広い肩幅の彼は、スーツを着ると線が細いという印象は薄い。
だが今日の林さんは『書類整理だけだから会社は休みだし、スーツじゃなくていいから。』と言って、Gパンに白いTシャツ、帽子を後ろ手に被ったラフなスタイル。
スーツに守られていないその体は、やはり少年のように線が細い。


『林さん、そういう格好してると凄く若く見える。
 私、何だか横に居るのが恥ずかしいんですけど。
 やり手ババアと若いツバメって感じで。』

そう言いながらふと、横に座ってる女の子の会話が耳に入ってくる。
彼を見ながら窪塚に・・・・、窪塚に・・・・、とヒソ盛り上がり。
ああそうそれだ。以前から誰かに似ていると思ったら、この人は例のジャンパーに激似だ。

それを告げると、『ちょっと前まではそれを言われても少し嬉しかったんだけど、最近は余り嬉しくない。』との御発言。そりゃあまあ贅沢なことだね。


『いいじゃないの、綺麗な顔って事なんだから。』と言い、その言葉を言いながらふと、自分のその口調がお姉さんモードに入っているのに気付く。
イカンイカン、林さんは確か年上だし・・・・それ以前にお客様だ。

だけど今日のようにラフな格好をしていると彼はとても子供っぽく見える。
声も少し高めだし、10歳は若く見えるんじゃないかな。
とても何千人の中のトップ10に入る有能営業マンには見えない。


水『・・・・林さんってさ、詐欺師になれば大成してるよね。』
林『はあ?なにそれ?』

水『結婚詐欺師とか。あと、ホストだとナンバーワンになれるよね。』
林『・・・・う。ホストになれば儲かるとは、今でも言われたりする。』

水『本当に綺麗な顔してるよね〜。シミも無いし〜、肌も綺麗〜。』
林『・・・・でも、なおちゃんは男として興味ないんだよね、俺のこと。』


うん。

と言いかけて、これは仕事絡みのお茶会なのだと思い出し、そんな事は無いですと慌てて告げた。油断しすぎです水上。すると彼は笑って『いいよ、無理しなくて。』と爽やかに答えた。


やはりそういう事は解るのだろうか。
不思議に思って聞くと、彼は笑って答える。

『だって、俺に恋をしてくれてる目じゃないもん。
 俺ね、まだ関東に住んでたとき(彼は東京人)同時に8人彼女が居て。
 だから何となく女の子の事は解るよ。』

は、8人ってアナタ。そんな繊細そうな外見で何と鬼畜なセリフを・・・・。
子鹿のような目でイキイキと、8人の彼女のデートパターンやサイクルを話されても。
いやはや、人間ってのは解らないもんですねえ・・・・。


『そ、そういうのってどうなのよ?罪悪感とかは無いんですか?』
『そりゃああるけど。でもそれぞれが本当にいい子だったもの。選べなくてさ。
 あの頃は人生で最大のモテモテ時期だったね〜。
 健全な男の子としちゃ、あの時期にはキバらんといかんでしょう。』

『そんなもんですか。』
『そんなもんですよ。』


まったりとお茶を飲みながら、続いて尋ねる。

『つまり、林さんは御自分の顔の良い事は自覚されてるんですね?』
『・・・・う〜ん?どうなんだろ?・・・・ただ免罪符的な物はあるかもね〜。
 アイツだからしょ〜がねえかみたいな。軽そうっていうのかな。
 自分では顔がイイとまでは思わないよ。』

『や、やな性格ですね?』
『うん。俺わりと性格悪いんじゃないかな。色事に関しては。
 それ以外はごく平凡かもしれない。でも8股ってそんなに悪いことかな?』

そ、そんな事を素で聞かれてもなあ。しかもそんな子鹿のような目で。いや、8股でもバレなきゃ無いことと一緒かな?どうなんだろ。そんな高度なワザには関わった事が無いし解らないな。でも自分で性格が悪いって言っちゃうところは可愛げがあるかな。

うん、この人は思った以上に面白い人かも知れない。
GTO時代のジャンパーに顔がそっくりで、線が細そうで子鹿のように純粋そうな眼差しをしているのに、とんでもなく鬼畜な行動と発言。
う〜ん、面白い。


心の中でそう呟きながらお茶を飲んでいると、林さんが私の顔を覗き込む。
『良かった。』そう言いながら。

『え?何ですか?』私がそう尋ねると、子鹿のような目を輝かせながらニコっと笑い、長くて綺麗な指で珈琲カップを弄びながら彼は言う。

『なおちゃん、やっと俺のこと男として興味を持ってくれたねぇ。』
『・・・・。』
『これから「は」、よろしくね。』


いや、恐れ多いんで。
カンベンして下さい。






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