日報ファイル
saki



 


「私」は決して1人ではないが、
限りなく孤独でもある。

「私」という自我の境界を、
なにものも超えることはできない。

その境界を鎧にしていても、「私」は
孤独に怯え続ける。
他者を怖れ続ける。

…限りなく近付くことを羨みながら、
少しでも触れることを拒んでいる。

「私」という自我の領域を、
無遠慮に踏み荒らすものを避けることはできない。

その領域を差し出すことでしか、「私」は
孤独を忘れられないから。
他者を量れないから。

…全てを晒すことを望みながら、
少しでも見せることができずにいる。

孤独になるのが怖いから。
他者に傷付けられるのが怖いから。

「私」という自我の輪郭を、
容れ物の外見だけで計ることはできない。

その輪郭で語ることでしか、「私」は
「私」を表現できないけれど。
それもまた「私」なのだけれど。

それだけが「私」ではない。

「私」に見えているものだけが「アナタ」ではないはず。
「アナタ」に見えているものだけが「私」の全てではない。

見えているものでしか、判断できないのは分かっているけれど。
それだけが全てではないと。
それで良いのだと。

今ここにある「私」だけが「私」の全てではないことと。
だからこそ「私」はいつも1人ではないと思えるのだということを。



2002年02月21日(木)
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