ケイケイの映画日記
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2023年10月10日(火) 「イコライザー THE FINAL」




あ〜、面白かった!シリーズも三作目となる今作、ずっと観ている人には、サスペンスなのに、安心感が先に立つ内容です。今時目珍しくなった、正々堂々の勧善懲悪がこんなに似合う人は、デンゼル以外にいませんて。監督はこのシリーズを全て担当している、アントワン・フークワ。

シチリアで例の如く、悪漢と死闘を繰り広げた元CIAのマッコール(デンゼル・ワシントン)。しかし、不意を突かれ、負傷してしまいます。瀕死のところを担ぎ込まれた医師の元、順調に回復するマッコール。アマルフィ沿いの、のどかで穏やかな善き人ばかりが住む街を、気に入るマッコール。余生をこの街で過ごしたいと思い始めた頃、マフィアの兄弟が、街の人々に残虐の限りを尽くすのを見たマッコールは、人々を助けるため立ち上がります。

もうほとんど「暴れん坊将軍」や「水戸黄門」の世界ですよ。冒頭二人の男に銃口を突き付けられたマッコールですが、ハラハラなんか全然しません。だって勝つんだもん絶対(笑)。だから、さぁやるぞやるぞと、ドキドキワクワクする訳です。R15なのは、血みどろで人がたくさん殺されるからですね。でもね、相手が救いようのないワルなんでね、人殺しが善行に見えちゃう。これもこのシリーズの特徴です。

私が今回すごーく楽しみにしていたのは、ダコタ・ファニングの共演。「マイ・ボディーガード」でデンゼルの「相手役」として共演したのは、もう19年も前なんですね。すっかり大人になって〜。今回の役はCIAの職員エマ・コリンズ。直接相対するシーンもたくさんあって、堪能しました。妹のエルも素敵なんですが、私はダコタが好き。私的にジョディ・フォスターの後継者は彼女だと思っていますが、エルに比べて地味な立ち位置は、何故なんだろう?美貌を売りにしない、キリッとしたCIAの職員ぶりは颯爽としており、甘さのないクレバーな雰囲気もとても良かった。もし「羊たちの沈黙」がリメイクされるなら、私はクラリス・スターリングはダコタで観たいです。

アクションは御年68歳のデンゼルを慮ってか、動きが少ないが特徴です。クレバーな作戦の立て方、一発で仕留める殺し方など、見せ方の工夫がマッコールの殺人美学のように感じて、銃撃戦やカーアクションにも、私は引けを取らないと思います。

もう一つ、このシリーズの特徴は、セリフが知的で気が利いている事。オジサマを超えて、オジイサマのマッコールと医師の二人の食事の風景なんて、地味そのものですよ、普通は。しかし年輪を重ねた人格者同士の会話は余裕を感じさせ、芳醇な香りがしました。年齢を経ると、華やかさが段々失われ、寂しくなっていきますが、そうか、年齢を味方につけて、芳醇になればいいんだと、何だか嬉しくなりました。修行よね。

マフィアの極悪非道ぶりと、善良な街の人々との対比が、きっちり善悪の区別をつける中、風光明媚な街並みと、マッコールと街の人々との暖かな交流がくっきり浮かぶ展開が、本当に素敵です。

上記全部、デンゼルだから説得力があるわけで。演技力も大切ですが、このシリーズは、デンゼルの人格が大いに作品に貢献していると思います。大味なアクションばかりで食傷気味な方にこそ観て欲しい、品格ある引き締まったアクション映画です。


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