ケイケイの映画日記
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2020年06月01日(月) |
「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」 |
これも親愛なる映画友達の方の推薦作。日記でタイトルと文章の序盤を拝読して、良さそうな作品だなと記憶していました。TOHOシネマズが29日から再開して、昨日は是非TOHOシネマズで観たいと、スケジュールをうろうろしていたら、この作品に出合いました。81分の中に、ヒロインの雄々しさと純粋さに、心洗われ勇気を貰った作品。監督はレミ・シャイエ。アニメーションです。
19世紀のロシア、サンクトペテルブルク。14歳の貴族の少女サーシャは、北極航路の回路から戻らない、船長の祖父を案じていました。父は自分の出世のために、皇帝の息子とサーシャの結婚を画策しますが、逆にサーシャの一族に恨みを持つ皇帝の息子の策略にはまり、サーシャは父親から叱責を受けます。打ちひしがれる彼女は祖父の部屋から、航路の案内図を発見。自ら航海に出るため、家を飛び出します。
まず色使いがとても素敵!カラーの明度や彩度を落とした画面は、時代の空気感を映しながら、アート的な格調高さを醸しだしています。画の一つ一つが、どれもこれもポスターにしたくなるような美しさに溢れています。
自由闊達で物言う事に恐れを知らないサーシャ。しかしそこは貴族のお嬢様。祖父を探す道行に、お金が必要とは頭が回らない。着の身着のまま同然で飛び出し、有金も巻き上げられた彼女を救ったのは、食堂の女将。ここで働いてお金を貯めろと言います。
当初は役立たずで有ったサーシャが、負けん気と祖父を想う心から、見る見る逞しく成長する姿は、眩しいほどです。そう、この物語の中で、サーシャは徹頭徹尾様々な困難が来ても、表情豊かに輝きまくっているのです。貴族と言う属性からは想像し難い、生命力や勝気さも加わり、すっかり彼女に魅せられました。
何とか偏屈で有名な船長の元、やっと祖父探しに出る事に。女性が船に乗ると不吉だと言うのは、万国共通だったのかしら?この作品は少女がヒロインなので、性的な描写はなかったですが、その側面以外の迷信かしら?
荒くれ男たちとの旅の様子は、苦難の連続。これがアニメとは思えぬ一大スペクタクル場面も出てきて、本当に見応えがあります。そして成長したのはサーシャだけではあらず。船長の弟はろくでなしですが、彼も決死のピンチの中、変貌していくのです。他の船員がこの無茶な航路を提案したサーシャを責める中、「船長たち」は、一度もサーシャを責めませんでした。航路の最中遭ったことは、全て船長の責任だと認識しているからでしょう。
貴族のお嬢様の命がけの大冒険は、きっと祖父譲りの高潔な精神から来ているのでしょう。5年前の作品ですが、男女の垣根が低くなった今、たくさんの女の子たちに観て欲しいです。やる気があれば、属性も性別も関係ないんだよ。 もちろん男の子にもエールを送りたい。エンディングの後日談が心温まるので、是非お見逃しなく!
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