ケイケイの映画日記
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2018年11月04日(日) |
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これも素晴らしく面白い!画面のほとんどがパソコンのモニターの中に映る出来事で終始する斬新なスタイルの作品で、それが今日性を見事に映し出しています。主演は韓国系アメリカ人、監督・脚本はインド系のアニーシュ・チャガンティですが、正真正銘のハリウッド作で、ここも大変珍しい作品です。
長い闘病生活の末、最愛の妻を見送ったデヴィッド(ジョン・チョー)。今は高校生の一人娘マーゴット(ミシェル・ラー)との二人暮らし。難しい年頃の娘を心配するあまり、ついつい口煩くなる父ですが、良好な関係を築いていると、娘を信頼しています。ある日、マーゴットが無断で外泊し、心配したデヴィッドは、警察に捜索願を届けます。自分でも娘の学校、SNSを通じての交友関係を当たりますが、そこには自分の知らない娘の姿が浮き彫りになり、デヴィッドは愕然となります。
配偶者やパートナーが失踪し、自分の知らない相手が浮き彫りになるのは、映画やドラマのプロットで、よく使われる手法です。この作品は、幾重にも張り巡らした展開、最後のどんでん返し等々、あらゆる捻りが功を奏して、古典的なプロットに新鮮味を出す事に成功しています。
そして映像。カチャカチャ素早く切り替わるパソコン上のウィンドに、時々クラクラしますが、何をしているかは、だいたいわかる(但し、アタクシはこんなに使いこなせておりません)。私が感嘆したのは、この狭いパソコンのモニター上がほぼ全てなのに、閉塞感をまるで感じなかった事です。検索やSNS、画像だけではなく、動画やSkypeも盛り沢山に駆使し、飽きさせる事がありません。
特に家族の幸せな日々から、夫婦が力を合わせての闘病の日々、亡くなるまでを保存したビデオは、観客はデヴィッドと共に妻が映し出された日々を見ることになり、彼の心に去来する寂寥感を共有する事となり、上手い手法だと感心しました。
スマホやパソコンが発達し、子供の交友関係が掴めないのは、デヴィッドだけの問題ではないでしょう。娘の心の底の心情に気付いてやれなかった事を悔やむデヴィッド。全く他人事ではありません。自分の親としての至らなさに愕然とする彼に、とても共感します。
この作品のもう一つのポイントは、親の子供への愛情が試される構図です。至らなさを後悔しても、娘への信頼と愛情が揺らがなかったデヴィッドに対して、本当の意味では、子供を信頼出来なかった親が登場。後者の親が発したある台詞に、私は親としての意見の相違に、違和感を覚えましたが、デヴィッドはジョークと受け取ったのですね。
私は正直言うと、父の知らないマーゴットの日常が浮かび上がっても、それ程違和感はなかったです。自分がネットを使う機会が多いからか、これくらいの「秘密」は、親子ともお互いあるのは、想定済みです。だからこそ、お互いの信頼が大切なのではないでしょうか?マーゴットが容易に犯罪に巻き込まれる姿は、親も苦手だと弱腰にならず、ある程度はスマホやパソコンを使いこなせねばなと、それも痛感しました。今の親御さんは大丈夫だと思いますが。
二転三転する展開には、随所に伏線が張り巡らされているので、カチャカチャする画面に惑わされず、頑張って観て下さい。斬新な映像から繰り広げられる、普遍的な親の子供への愛情が貫かれる秀逸なミステリーです。面白いのは太鼓判!
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