ケイケイの映画日記
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2018年01月13日(土) 「キングスマン ゴールデンサークル」




面白い!前作が高評価だったようで、まさかの続編。だったらハリー(コリン・ファース)は殺さなきゃ良かったよなぁ、と思っていたら、まさかの復活(笑)。この辺の件だけ結構まともで、他は前作以上に荒唐無稽、なのに心に染み入る描写が随所にあり、監督のマシュー・ヴォーンに心弄ばれる140分です。

亡きハリーの後を次ぎ、立派にキングスメンのメンバーとなったエグジー(タロン・エガートン)。しかし、サイコパスの女ボス・ポピー(ジュリアン・ムーア)率いる巨大麻薬組織ゴールデンサークルによって、壊滅の危機に瀕します。生き残ったエグジーとマーリン(マーク・ストロング)は、アメリカの同盟組織ステイツマンに助けを求めます。しかしそこで何と、死んだはずのハリーと再会しますが、ハリーは記憶喪失でした。ステイツマンのボス・シャンパン(ジェフ・ブリッジス)から、配下のテキーラ(チャニング・テイタム)、ウィスキー(ペドロ・パスカル)、ジンジャー(ハル・ベリー)を紹介し、キングスマン復活の協力を約束してくれます。果たして、エグジーとマーリンは、ゴールデンサークルを倒し、キングスマンをふっかつさせられるのか?

冒頭から、往年の007シリーズを彷彿させる、改良した車を使ったカーアクションが見られます。スピード感がすごいのに、ちゃんと今何しているか、アクションがわかって、カメラさんすごい!(撮影はジョージ・リッチモンド)。私は007の改良車と言えば、水陸両用が一番記憶に残っているのですが、おぉ〜、こういう危機には、こうするのかと、パロディが楽しい。きちんとオマージュになっているのも、いいです。

あっ、「ターミネーター」もパロっています。他にも「ファーゴ」を想起させたり、雪山のアクションで、またまた007など、随所に既視感バリバリのシーンの連続ながら、とっても楽しめます。映し方が、監督、これらの作品が大好きなんだろうなぁと、元作への気配りを感じるので、楽しめたのだと思います。

気配りと言えば、前作でスウェーデン王女といい仲になったエグジー、今作ではきちんとお付き合いしている脚本に感心。そりゃ架空の国じゃないものね。あのままやり捨てなら、本物の王女様に傷が作ってものです。とても愛らしい女性に描いていて、バンバン殺戮場面があるのに、所詮映画だからね〜と、鷹揚に構えられるのも、監督のこの気配りあってかも?

あの手この手で、ハリーの記憶を取り戻そうとする、エグジーとマーリン。同僚と言うだけではなく、彼が好きなのですね。記憶喪失時とを記憶が戻った時とを、同じ衣装、同じ部屋なのに、瞬時に観客に解らせるコリン。オスカー受賞時の第一声が、「これで僕のキャリアもジリ貧だ」と言う超皮肉から始まったコリン。これ以上なく、由緒正しき英国紳士だと世界に知らしめた彼ですが、キャリアはジリ貧どころか、まだまだ上り坂みたい。

危機また危機のアクションの間に挿入される、登場人物のキャラの掘り下げ加減もいいです。ポピーの作った砂糖菓子みたいな島は、最初私も気に入ったのですが、彼女が精神疾患を抱えているとわかると、この優秀な頭脳を正しく導く人はいなかったんだなと、島自体も毒々しい人口甘味料なんだと感じ、彼女の孤独も忍ばれます。

ジンジャーや、アメリカ大統領の補佐官(エミリー・ワトソン)の、男社会で生きる、エリート女性の悲哀も見え隠れ。大統領(ブルース・グリーンウッド)は、ポピー並みのめちゃくちゃな政策を打ち出し、姑息な手で一人勝ちしようとするゲスですが、ラストに誰から鉄槌を下されるか、お楽しみに。

しかし、何だかんだ言っても、近作のハイライトは、マーリンが「カントリー・ロード」を歌う場面だよ。場をさらうと言うのは、これなんだなと思いました。「ローガン・ラッキー」でもこの曲で泣いたし、最近この曲で泣かせるのがブームなのかしら?

と、荒唐無稽に見せて、あれこれ繊細に配慮して、最後に正義は勝つ!を、とても面白く見せてくれる作品です。本物のエルトン・ジョンも、超楽しそうに出演しています!続編も作る気満々みたいなので、このクオリティでよろしく〜。


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