ケイケイの映画日記
目次過去未来


2017年10月28日(土) 「アトミック・ブロンド」





いや〜、全然面白くないのに、すごく良かった(笑)。ひとえにシャーリーズ・セロンのお陰です。彼女のアイドル映画。監督はデヴィッド・リーチ。

東西冷戦さなかの1989年。イギリスの諜報部員ロレーン(シャーリーズ・セロン)は、何物かに奪われた極秘リストの奪還と、二重スパイとされている、サッチェルなる人物を暴く任務を帯び、ベルリンに出発します。当地では先に潜入調査しているパーシヴァル(ジェームズ・マカヴォイ)と組むように言われますが、ロレーンは信頼できません。誰が敵か味方かわからない攻防戦に火蓋が、切って落とされます。

展開が、特に前半重たいです。ロレーンに事情聴取しているプロットに、それを回想として再現する趣向なのですが、これが結構わかりづらい。ガスコインだとか、プレモヴィッチだとか名前が覚えづらく、誰だっけ?と、思い出している隙に、台詞に置いて行かれそうになります。予告編で「キラー・クィーン」が思い切り流れ、それだけで予習せず、ワクワク見に来たことを反省。

でも、それを払拭して余りあるのが、セロンの豪快な魅力です。優秀なスパイ役なので、とにかく凄腕。セクシーだけど、色仕掛けなんて甘っちょろい真似はせず、銃を持たせりゃ一発で仕留め、一匹狼で殴る蹴る走る!ただ強いだけではなく、自分も血だらけ傷だらけ。腕力に長けている女性を描くと、どうしても添え物か、アメコミのヒーロー、または男勝りになり勝ちです。それがセクシーでゴージャスな女盛りの美女が、生身を使って危機また危機を潜り抜ける男前さに、もう惚れ惚れ。

それをその辺のアクション女優がやるのではなく、当代イチの美貌と演技力を誇る、シャーリーズ・セロンが、壮絶なアクションの数々を演じ、ヌードも濡れ場も有りってなんですから、一層惚れるじゃございませんか。ジェニファー・ローレンスも、エマ・ストーンも大好きなんですが、セロン姐さんのこの貫禄の前じゃ、まだまだ太刀打ち出来ませんて。

私の好きなマカヴォイ君も、怪しさ満点のやさぐれスパイを演じて、好演。裸のシーンも多かったですが、あんなにいいガタイしてたっけ?段々怪優っぽくなるのが、少々心配ですが、昨晩3Pした娼婦を起こすのに、蹴っ飛ばすんじゃなくて、キスして起こしてあげるなんて、やっぱりマカヴォイ君だわ〜と、筋に全然関係ないところで、こちらも惚れ惚れ。ソフィア・ブテガも、結構重要な役で登場。異形じゃない彼女は初めてですが、今回初仕事の諜報部員役で、初々しい感じが良かったです。異形ばかりだと、色がついちゃうからね。でも異形の方がチャーミングです。

他には80年代の音楽も、すんげぇ良かった!スマッシュヒットの「ベイビー・ドライバー」も観ましたが、確かに面白かったんですが、音楽がイマイチ私には合わなくて、クィーンの「ブライトン・ロック」以外心弾まず。気分が上がらず終わってしまったので、この作品も期待値低めに設定してましたが、クラッシュやネーナの80年代のロックポップは、私の波長にあって、楽しさ倍増でした。「キラー・クィーン」は流れなかったけど、「アンダー・プレッシャー」が最後に流れたので、良しとしよう。

後半やっと展開が速くなり、スパイ映画らしい、二重三重のどんでん返しもあります。でもその頃には、相関図が頭に入らないのも、展開の退屈さも忘我の如く。セロン姐さんに、身も心も釘付けになっているので、無問題。面白くないのに、もう一度観たいです(笑)。


ケイケイ |MAILHomePage