ケイケイの映画日記
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2016年09月17日(土) 「だれかの木琴」




う〜ん・・・。多分ね、井上荒野の原作は、私は好きなんじゃないかなぁ。そう思わせるストーリーでした。でも映画はヒロインが好きになれなくて、最後まで乗れませんでした。監督は東陽一。

念願の一戸建てに引っ越してきた専業主婦の小夜子(常盤貴子)。優しいサラリーマンの夫(勝村政信)と素直な中学生の一人娘(木村美言)との三人暮らしで、何不自由ない生活です。ふらりと入った美容院で、担当になったの海斗(池松壮亮)。海斗の営業メールを丁寧に返す小夜子に、珍しいと感じた海斗ですが、以降小夜子は頻繁に美容院を訪れる以外にも、ストーカーまがいの行動に出て、常軌を逸していきます。

まぁこの奥さん、箱入り主婦なんですね。夫の会社の商品であるセキュリティー完璧の家に住み、ハイレベルな主婦雑誌のような出で立ち。素敵なインテリアはそこそこ生活感もあり、家事もしっかりしているようです。年齢は40過ぎくらいの美人です。夫婦仲も円満そうです。

多分今まで夫の言う事は正しいと思って、夫唱婦随で来たんでしょう。この夫も、妻を大事にしていたのでしょう。では何でこんな真似をするのか?自我の萌芽だと思う。大人になり切る前に結婚した女には、子育てが一段落した時、必ず襲ってくる嵐。

そこまで理解していながら、私は何故ヒロインが嫌なのか?幼稚だからです。この時期を乗り越えるため、女は焦り、あれこれ自分を追い込んでいくもんですが、それがストーカー?お金には不自由していないのなら、何か勉強したら?パートに出てもいい。どんな短時間、職種でも、仕事は必ず自分を育ててくれるものです。男が好きなら、あっさり出会い系やホストクラブで男漁りすればいいものを、海斗の彼女(佐津川愛美)の店まで追いかけるほど、気持ち悪い行動に出ながら、セックスは迫らない。自覚があるのかないのか、言い訳は用意してある。あぁイライラ!

髪は皮膚です。あまり意識しないでしょうが、体の一部。その一部を男性に触れられた事が、事の始まりだったと思えます。海斗に好感を持ったからでしょうが、多分嫌いじゃない相手だったら、海斗に対してと同じことをしたのだと思います。

しかしだね、娘に告げる台詞が、私は許せん。「お母さんは、あなたのお母さんだけだと思わないでね」。この子が何をした?まだ中学生ですよ。母親だけが女の人生ではないけど、女は子供を生んだら、最低限中学を卒業するまでは、子供を最優先させるべきだと言う価値観は、私は絶対譲れない。それは時間的な事じゃなく、心を占める割合の事です。子供は敏感にその事がわかるものだと思うから。

この夫も、妻子命に見えながら、ちゃっかり浮気しちゃって(笑)。部下の女性にも下心見え見えだしね。妻がその事を解っている上の行動なら、私の減点も差っ引いていいんですが、あまりに妻がバカっぽくて、気付いている風には見えません。そして未だに妻子を愛し家庭を大事にしているからと、浮気に罪悪感のない男性を肯定的に描くのは、古臭い気がしました。

それに引き替え、直情型の海斗の彼女はすごく解り易い。私もあの立場なら「クソババア」と言ってやるわ(笑)。フリフリロリロリ、一見異形の出で立ちながら、その衣装以上の存在感を見せた佐津川愛美は、出色の演技。すっかり惚れました。少しの出演ですが、松島ナミみたいな出で立ちで、現実か幻かと言う不思議な人を演じた河合青葉も良かったです。

でも一番は何と言っても池松君。何を演じてもぼそぼそ喋り、いつもの彼なんですが、どんなキャラも変幻自在に操っています。今回の海斗の背景も複雑そうですが、彼の好演で色々想像出来ました。小夜子や彼女の行動に説得力を持たせたのは、彼の持つオムファタール風の雰囲気も功を奏したと思います。レスリー・チャンになれると言ったら、言い過ぎかな?でも今一番期待している俳優さんです。

ラスト近くの小夜子の行動は、これコメディだったんですか?と言う感じ(笑)。旦那さん、しっかりしてね。私はバカな女は好きですが、バカな主婦は嫌いです。池松君と愛美ちゃんで元は取れただけが救いでした。


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