ケイケイの映画日記
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2016年08月11日(木) 「ターザン:REBORN」




大昔、クリストファー・ランバート主演のターザン映画で、「グレイストーク」と言うのがありまして、ターザン=グレイストーク卿と言う貴族で、こちらが原作に忠実と知りました。それでもターザンと言えば、「ア〜アァ〜」の雄叫びと共に、密林の王者として君臨するのが、今でもオーソドックスな認識のようです。この作品は、ちょうど中間かな?美形のアレキサンダーが主役なので、楽しみにしていました。普通に楽しめる娯楽作として、上々の出来だったと思います。監督はデヴィッド・イエーツ。

19世紀末のロンドン。現在は貴族のグレイストーク卿として暮らしているジョン・クレイトン(アレキサンダー・スカルスガルド)。かつて彼はターザンと呼ばれ、コンゴのジャングルで、猿に育てられた過去を持ちます。政府の要請で、妻のジェーン(マーゴット・ロビー)と共に故郷のコンゴに帰郷することになったジョン。しかしそこには、ベルギーの特使ロム(クリストフ・ヴァルツ)の仕掛けた罠が待ち受けており、ジェーンはロムに浚われてしまいます。

CGを駆使して繰り広げるアクションはダイナミックで、全く違和感がありません。動物たちも本物と見まがう出来です。ターザン物なんですから、ここの出来が良ければ、勝ったも同然(笑)。付随する内容も、文明批判、領地略奪、人種差別、奴隷性など、今も影を落とす問題に触れています。この触れ方が軽くもなく重くもなく、絶妙な塩梅。これがあるので、「見世物」的な印象を払拭しています。

見所はズバリ、ターザンのたくましさと、ジェーンとの深い夫婦愛です。アレキサンダーって、こんなに肉体美だったっけ?と思う程体は作り込んであり、これは絶対鑑賞ポイントです(笑)。ゴリラに育てられた記憶は、今は忌まわしいはずなのに、懐かしさを禁じ得ない。その様子が切ない。CGをふんだんに使っていますが、彼も傷だらけになったはず。頑張ってこなしていました。そう言えば、幼い頃の古傷が体にいくつもあって、芸が細かいなと思いました。

コンゴの密林で初めて出会った若き日のターザンとジェーン。二人をCGで若くしていたので、10代かな?ターザンに取ってジェーンは、妻で母で恋人で親友なのでしょう。何としても取り戻したいとの、溢れんばかりの妻への愛情が伝わってきます。ジェーンも一途に夫を信頼し、自ら状況を打破しようとする姿は、現代的。時折挿入される二人の情景が、とてもロマンチックなのもいいです。

ヴァルツの食えない悪役っぷりと、ターザンの相棒となるサミュエル・L・ジャクソンの愛嬌たっぷりの貫録は、安定の存在感です。ジャクソンは70近いのですが、この人、本当に一向に老けない。一緒に観た夫は、50才くらいだと思ったとか。年齢相応の「ヘイトフル・エイト」は、メイクだったんじゃなかろうか?と思う程。このまま頑張って老けないで下さい。

マーゴット・ロビーは、勝気で母性的なヒロインを好演。可憐な感じはガラじゃないと思うので、この人なりの情熱的なジェーンで良かったです。でも私は、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の、レオのトロフィーワイフ役の時のような、輝くばかりのゴージャスでセクシーな彼女を、また観たいな。30前の女優さんで、こんなにセクシーな人はあまり見かけないもん。あれはスコセッシが上手く撮ったのだろうか?

繊細で品のあるハンサムなのに、ちょい大味な感じのアレキサンダーが、私は好きです。ちょい大味のさじ加減がいいのだなぁ(笑)。マッチョな俳優をキャスティングしなかったのは、やっぱり「愛に生きる」ターザンを表現したかったんだと、個人的に思っています。全然似てないと思っていたけど、ふとした拍子に、お父さんのステランそっくりだったので、びっくり。それでステランの若い頃の画像を探したら、今のアレキサンダーそっくりでした。

DNAって、すごいね(笑)。お父さんくらいの名優になって欲しいですね。但し、容姿は今のまま(笑)。アレキサンダーファンならすごーく、それ以外の方も、楽しめる作品です。


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