ケイケイの映画日記
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2016年07月31日(日) 「ロスト・バケーション」

すっかり人気女優の仲間入りを果たした、ブレイク・ライヴリー主演作。サメに襲われた若い女性が、どうやって生還するか?と言う、いわばワンアイディアの作品。体を張った場面も出てくるはずで、何故出世した今、こんな作品に?と観る前は不思議でした。でも見れば納得。この作品、「127時間」の、海洋女性版を狙っていたんだと、私的には感じました。「127時間」には及ばないけど、ブレイクの頑張りもあり、充分及第点の作品です。監督はジャウマ・コレット=セラ。

医大生のナンシー(ブレイク・ライブリー)は、メキシコに来ています。目的は母との思い出の、地元民しか知らないビーチでサーフィンする事。もう一本ライディングをしてから帰ろうとする彼女は、何物かに襲われます。正体はサメ。命からがら近くの岩場に辿り着いたものの、太ももに大きな傷を負います。サメが旋回を続ける中、果たして彼女は200m先の岸に、辿り着けるのか?

ぱっくり割れた太ももからの大量出血を、何とか止血するナンシー。アクセサリーやラッシュガードを駆使して、何とかサバイバルする姿は、ナンシーが医大生だと言う設定が効いています。

あの場面この場面、次々彼女を襲う禍で、体は傷だらけ。その様子が、すごく痛々しい。結構グロくて、気の弱い人は見られないかも。ブレイクの演技も迫真に迫っています。日焼けも凄かったでしょうし、これは撮影大変だったなと思いました。

ナンシーは失意の底にあり、医大を辞めたがっています。その理由や背景も無理がありません。ナンシーがこの状況から生を切望し、ギブアップしない気持ちとも上手くリンクし、脚本に淀みがないです。映画はほぼブレイクとサメの対決で、下手に引っ張るより90分弱にまとめたので、ずっと緊張感が持続したのも良かったです。潮の満ち引きに駆け引きがあるのですが、それが時間的にちょっとおかしいかな?と思いましたが、まぁいいでしょう。

ノーブルで愛らしいブレイクは、私の好みの女優さんです。今頃この手の作品に出なくても、と鑑賞前は思いましたが、演じるのに根性のいる場面ばっかりで、すっかり惚れ直しました。自分との対峙になって、主人公が生まれ変わる「127時間」に対して、こちらはサメと言うスリル満点の相手がいるので、どうしても演出は、ナンシーの内面の変化はおざなりになりがちでしたが、それも演技力で、ある程度カバー出来ています。ターニングポイント的作品にはならないでしょうが、演技の幅は確実に広がったと思います。

羽を痛めたカモメが、ナンシーの相棒になっていて、ホッと息を抜けるポイントになっています。前半は健康的なブレイクの水着姿も見どころの一つ。映画は暇つぶし派さんも、真剣に観る派さんも、それぞれの視点で楽しめる作品でした。


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