ケイケイの映画日記
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2015年11月15日(日) 「劇場版 MOZU」




評判最悪なので、恐る恐る観ました。私はドラマ版は全部観ている、この作品のコアなファンです。連ドラはあまり見ない私ですが、地上波でのシーズン1は久々に夢中になり、年一で契約するwowow(オスカー授賞式の時ね)も、この作品観たさに一か月契約したほど。ところがシーズン2でテンポが減速。もったいぶらせた謎も未解決の部分が多く、かなりがっかりしました。劇場版が出来ると聞いた時は、あぁやっぱりなと思いました。でもここまで来たら、腐れ縁の男のようなもん、意を決して観ました。結果、雑な作りですが、ドラマファンで全部観ている人なら、結構楽しめる仕上がりでした。監督はドラマ版と同じく、羽住英一郎。今回はあらすじは省きます。

完全にドラマを観た人向けの作りです。それに場面場面の繫ぎが悪く、あれ?と戸惑う場面が多々あり、登場人物の背景は全く語らずで、これでは全く初見の人の大ブーイングも無理からぬ話。劇場で大杉(香川照之)のスピンオフドラマの宣伝チラシを貰いましたが、そんな物より、簡単な相関図や背景を書いた今までの経緯を書いたチラシを渡した方が、よっぽどこの作品の動員に繋がったはずです。

映画版で新たに登場したのが、伊勢谷友介と松坂桃李とビートだけし。前者二人は初登場で、たけしはダルマ役。この三人が役割的に完全に滑っています。まず前者二人はいなくても十分にストーリーは回るし、個人的にたけしはダルマじゃないです。山崎務とか、ダメだったのかしら?桃李くんは、長谷川博己とキャラが被ってしまい、演技的に劣るのがわかるのが痛恨。結構背景には哀しいもんがあるのに、そこの見せ方も雑。彼が可哀想でした。伊勢谷友介の役は、ドラマの吉田鋼太郎のように、意外なキャスティングを持ってくれば引き立ったものを、伊勢谷友介では、無駄使いなだけです。

お馴染みキャラが総登場の中、その延長で行けばいいものを、あれもこれも詰め込み過ぎて、失敗したかなと思いました。そのお馴染みキャラも、ドラマのように時間がかけられないので、陰影が浅いです。

それでも楽しめたのは、やっぱりドラマを観ていたので、上記の雑さを大幅に補足出来たからです。倉木(西島秀俊)の妻子の死の秘密や、ダルマの正体も陳腐であっけないものの、一応納得出来て謎が解けたので、すっきり出来ました。特にメンヘラでイライラさせられっ放しだった倉木の妻の、「あの人(夫)は、私がいないと生きていけないの・・・」の言葉の真の意味が理解出来て、彼女に対する観方が、180度変わったのは、嬉しかったです。

私が一番好きだった東(長谷川博己)は、相変わらず謎めいたクレイジーさを発揮しています。ラストで倉木に彼の本当の心情を言い当てられるも、煙の巻き方も東らしさの中に、少しの哀愁も感じさせ、私には一番いいシーンでした。緊張感みなぎるドラマの中、ホッとした大杉の娘(杉咲花)や成宮(伊藤淳史)の再登場も嬉しかったし、気の置けない言い合いをする大杉と明星(真木よう子)の会話など、彼らがここまでの仲になるには、どれだけ命を張ってきたかも覚えているので、微笑ましく観られました。新谷(池松壮亮)も、ちょこっと出ます!(私はこれで彼のファンになった)。

とまぁ、ドラマファン以外には、ちんぷんかんぷん、どうでも良い作品です。
ダイジェスト版ではなく、ドラマを全回観た方は、文句言いつつも楽しめる出来でした。お約束のたった一度の、ラストの倉木の笑顔をもあります!


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