ケイケイの映画日記
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公開されてだいぶ経ちますが、昨日鑑賞です。私事で恐縮ですが、昨日は27回目の結婚記念日。平日ならちょっとごちそうを作ってお茶を濁すところですが、せっかくの日曜日なので、映画を観て外食することにしました。で、公開直後の「パブリック・エネミーズ」にしようかと提案したのですが、夫からは「銀行強盗の話なんか、観たぁない」と却下。「そら『2012』やろ!」というので、観るのを待機しておったわけ。単純な能天気夫婦のワタクシドモ、鑑賞後は「面白かったなぁ!」と、これまた単純に盛り上がったのでした。監督はローランド・エメリッヒ。
2009年、インドで地球が滅亡するかも知れない予兆が発見され、それはアメリカ政府に伝えられます。各国首脳が会議し、極秘に避難用の船が作られますが、ごく一部の金持ちと要人しか乗船出来ない手はずになっていました。果たしてその他の人類は生き残れるのか?
も〜、解りやすいでしょ?取りあえず家庭内では、大きな問題はない我が家ですが、ご多分にもれず、この大不況には被害をこうむっております。なので世知辛い年の瀬に夫婦して、辛気臭い映画なんか観てられるかい!(辛気臭い映画は私一人で観るに限る)と言う訳で、この作品をチョイスしました。エメリッヒの特徴と言うとですね〜
1、アホでもわかるストーリー展開。 2、大味感満点だが、料金に見合うほどくらいには観ている間楽しい。 3、ざるの様にツッコミ満載で脱力しつつも、愛嬌のある脚本。 4、底は浅いが、必ず人間愛が謳われる。 5、上記の事から「エメリッヒって、ええ人やん」が画面から滲み出る という感じでしょうか?
今回CGが凄いと言うので、期待しておりましたが、確かに堪能しました。次から次から大がかりな地球崩壊シーンの羅列ですが、真っ向勝負の描き方なので、変な船酔い状態にもならず、わ〜すご〜い、と感動も何にもなく、軽やかに楽しめます。見世物小屋とかアトラクションの世界観ですね。これでもかこれでもかなんですが、観ていて飽きない作りにはなっており、そこには、エメリッヒの「お客様には喜んで頂こう精神」がありました。決してやりたい放題の独りよがりじゃありません(←ここはエンタメ監督として重要なポイントだぞ)。
それが延々二時間危機また危機が続く中、合間合間に、グランドホテル形式で、それぞれの家族の事情や親子愛、夫婦愛、人間愛、ペット愛が描かれます。この辺りの小技は結構上手くてね、キウェテル・イジョフォー扮する科学者が、父親に電話する会話の内容なんか、ウルウルしました。他にも離婚した売れない小説家のジョン・キューザックが、元妻アマンダ・ピートの今の恋人と力を合わせ、愛する彼女や子供たちを守る姿なんか、変にリアリティを出す為に諍いを起こされるより、観ていてとっても気分が良かったです。
いやな奴や悪役はいますが、基本的に悪人は出てきません。オリバー・ブラット扮する政府の要人は、職務に忠実で冷徹に仕事を推し進めますが、決して悪い人ではないです。ちょっと冷たいけどね。切れ者で仕事は出来る人なんですね。しかし土壇場でイジョフォー科学者の人間の善意に訴えかける演説の前には、仕事出来るのがなんぼのもんやねん!というくらいに、地に落ちてしまいます。一言でいうと、ブラッド要人は「人徳」がないのですね。人徳とはなんぞや?愛なんですよ、愛。なのでイジョフォー科学者の発言がこの状況下で如何に不適切でも、発言に人徳を感じるので許せるし、その後のそんな訳あるかい!のトンデモな展開にも、愛を感じて許せてしまうのですね。うんうん。
最後の皆さん方の拍手喝采の様子など、あんたのためにこんな状況になったんやぞ、などど誰も言わず、何てみんないい人なんだ、人間はこれくらい器が大きいのが理想だと思いませんか?と、エメリッヒに囁かれている気がしますよ。
エメリッヒは多分、一生このスタンスで仕事するんでしょうね。彼を嫌う人の感想も解ります。そういう人は、もうエメリッヒ作品は観ない方がよろしいですね。一般大衆には支持されている模様で、公開後だいぶ経つのに、劇場は結構満員でした。これはこれで、立派な娯楽作だと思います。
気分よく劇場を後にして、その後は夫婦でウィンドーショッピング、そしてお寿司を食べて喫茶店でお茶して、息子にお土産を買って帰宅。我が家の財政の厳しさにぜいぜい言いつつ、雨風しのげる家があり、夫と息子二人は正社員、私もパートながら有職の身、三男は学校へはクラブ活動だけしに行っているようなもんですが、非行に走らず不登校にもならず、いじめもせずされず、天真爛漫(過ぎるのが困りもんだが)に学校に通っていて、何より家族全員心身ともに健康です。そして夫婦で映画を観て外食するくらいの、ちょっぴりの余裕もあるじゃないですか。今年ほど、ああ幸せだなと感じた結婚記念日はありません。お父さん(夫)、これからもよろしくね。あぁ、エメリッヒにして良かった。
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