ケイケイの映画日記
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2007年06月11日(月) 「プレステージ」


画像大きくてすみませんね。ヒュー・ジャックマンのかっこいい画像しかなくて、これにしました。ジャックマンもいいんですが、俳優としても男としても、私の好みはクリスチャン・ベールの方なのねん。もっと派手派手なイリュージョン対決かと想像していたんですが、意外やサスペンスフルな作品で、題材の割に渋かったです。オチで怒る人もいるでしょうが、私はノープロブレム。面白かったです。

19世紀末のロンドン。駆け出しマジシャンのアンジャー(ヒュー・ジャックマン)とボーデン(クリスチャン・ベール)。マジックのタネを考案するのを生業としてるカッター(マイケル・ケイン)の元、二人は修行中でした。しかし大仕掛けのマジックが失敗し、アンジャーの妻ジュリア(パイパー・ペラーポ)は死亡。ボーデンのミスだと疑うアンジャー。この時から二人が、終生のライバルとなる火ぶたは切って落とされたのです。

と、まぁこれくらいしか書けません。何にも知らないで観た方が絶対面白いです。最初「イリュージョンVS」というタイトルになると思われたこの作品。それこそプリンセス・テンコーみたいな大掛かりなマジックばっかり観られると思っていたら、最初はゼンジー北京並みなので、はれ???と思いました。でも、時代が時代ですから、これは当たり前かも。

監督は「メメント」で世界中をあっと言わせたクリストファー・ノーランだけあって、少々お話はわかりづらいです。アンジャーがボーデンの、ボーデンがアンジャーの日記を読みながらの回想という形なので、その辺を頭に入れて観ると、わかりやすいと思います。

アンジャーの妻の死から始まり、復讐や嫉妬の応酬が繰り返される二人。それにしたがって、マジックもパワーアップしていきます。しかし不毛な戦いに観えないのは、それぞれマジシャンとして成長していくからです。お互い憎しがバネになっているのがわかります。しかしバネが憎しみというのは始末が悪い。そのためやっきになって、相手のタネ証しばかり探そうとします。これが憎しみが元じゃなかったら、相手よりもっとすごいマジックを生み出して勝とうとしたんじゃないでしょうか?

マジックに全てを賭ける男たちの常軌を逸した熱意が、やがて狂気に変わっていく様子は手に取るようにわかります。ジャックマンとベールが好演していることもあって、この辺は手に汗握る感じでとってもグー。

ただ芯はしっかりしているけど、枝葉が少々弱いです。マジックは種明かしが中途半端で物足らないし、周到に伏線をはっているボーデンの種明かしですが、これもセリフや様子で途中でわかってしまい、もう少し後半まで引っ張っても良かったかも。アンジャーの伏線の張り方も、あっと驚くには今一歩。これも途中でわかってしまいました。

一見「ザ・フライ」の転送装置にも似た物が出てきて、二人の種明かしにはご不満の方もおられましょうが、「マジックは手を汚すものだ」というカッターの言葉は、彼らの飼っていた鳩や小鳥の運命を語っているものです。そういう意味では、二人とも骨の髄までマジシャンだったんだなぁと、観た後深いため息にも似た感情が湧いたので、私は気にならず、最後まで面白く観ました。原作がちょっと気になります。

ただこの二人にスカーレット・ヨハンソンが絡むのですが、全然魅力が薄いです。どうして段々普通になっちゃうの?どうした、スカジョ!二人の男を行ったり来たりの感情は、上手く描けてはいませんが、そこは艶技で男たちも観客も翻弄しなくちゃ。出番は少なかったけどアンジャーの妻役のパイパー・ペラーポの方がよっぽどチャーミングでした。オヤジ食いで有名だった彼女ですが、最近は同年代のBFばっかりみたいなので、ここはひとつ、もう一度チョイ悪オヤジに手を出して、芸の肥やしにしてほしいもんです。

とまぁ、これくらいに。冒頭「決してラストは話さないでで下さい」とわざわざ断るほどのもんじゃないですが、それでも面白いのは確か。枝ぶりより幹を観てね。




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