ケイケイの映画日記
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2006年10月01日(日) 「レディ・イン・ザ・ウォーター」

「シックス・センス」は何かの間違いだったのだと、世界中の映画ファンから多分思われている、マイケル・ナイト・シャマランの作品。でもご覧下さい、このセンス抜群の美しいポスター。私がシャマランの前作「ヴィレッジ」を好ましく思ったのは、今回も妖精役で主役を張る、ブライス・ダラス・ハワードの存在があったから。なので、脱力承知で初日に観て来ました。まぁね、こんなもんですよ。予想より遥かに下回る出来ですが、彼女とジアマッティが心優しかったので、文句は言うまい。


クリーブランド(ポール・ジアマッティ)は大きなアパートの管理人。単調な管理作業をこなし、静かな生活を送る彼の前に、アパートのプールの中から神秘的な美女(ブライス・ダラス・ハワード)が現れます。その美女はストーリーと名乗り、訳ありのよう。クリーブランドは住人の一人から聞いたお伽話から、ストーリーは韓国で言い伝えられている、「水の妖精」ではないかと思い初めます。お話の内容を聞くうち、それは確信となり、アパートの住人に協力を求め、ストーリーを元の「青の世界」に帰してあげようと頑張ります。

私はこの作品を決して嫌いではありません。しかし文句は言いませんが、正直に感じたことは書かないと。だって、だってね。ありがたいことに、こんな素人の駄文を参考に、少ない時間を都合して映画館に足を運んで下さる方がいらっしゃるのです。正直に書かないと、私の細々と築いてきた「感想文書き」のキャリアが、ガラガラ音を立てて崩れてしまうというものです。

この作品と他の作品で迷われている方、どうぞそちらをご覧下さい。

この作品は、私のようなどうしも観たい人、ブライスちゃんが大好きな人、暇つぶしの人以外は、相当きついです。シャマランが自分の二人の娘に、寝物語に自ら作ったお話を元に脚本を書いたそうですが、元というか、多分そのまんまなんでしょうね。映画の脚本になっていません。

出だしは全然悪くありません。アパートの住人たちの紹介の仕方は、短いですが程よくまとまって、キャラが解りやすいです。何となくみんな意味やいわくありげです。しかしあの持って行き方は、伏線とかどんでん返しなんかじゃなく、ただの得手勝手というもの。びっくりして、開いた口がふさがりません。

それにストーリーが妖精だなんて、何故信じる?「ET」のような外見ならまだしも、尻尾もなく羽もなく、外見はとても美しい女性なのです。その彼女が完璧に会話できるは、字は読めるは、何故妖精だと思い込むのか、全く不思議。韓国系女性のお話から紐解いていくのですが、何故に韓国?同時通訳みたいなのも、全然面白くない。あげくちょっと変わり者の住人が、単に映画関係の物書きだというだけで、彼のヒントをまるごと信じるし、白羽の矢がたった住人たちがストーリーを見て、全員が協力を承諾します。

だから、何故信じる!

ストーリーを助けようと決行するパーティも、何の意味が?多分シャマランの中では筋は完成しているんでしょう。トランシーバーがつながらなければ、走って言ってこい!目と鼻の先だろうが!ストーリーが「青の世界」に戻るのを阻む魔物も、何故なのか理由があったけど、理由のための理由なんで、もう内容は忘れました。ラストにややいつものどんでん返しの雰囲気はあるものの、今回はあまりにしょぼ過ぎて、またそんなアホな!と言う感じ。意味のない人の紹介が全て伏線だなんて、観たことがありません。てか、あの紹介に意味があったのか?私がアホやったんでしょうか?

出たがりシャマランは、今回チョイ役ではなく、重要な役柄(と、彼は思っているはず。でも実は無駄な人)で出ていますが、少し未来が予言出来るストーリーに語らせる未来は、あれ自分の願望なのかしらん?もう他にもはっ?へっ?何故?&脱力のシーンが満載です。いわゆるトンデモ系になるのかとは思いますが、それにしては、未来に語り継がれるパンチ力が薄いと感じました。

見どころが全くないかと言えば、そうではありません。上に書いたようにブライスは透明感抜群で美しく、長く綺麗な足は惜しみなく出すも、バスト・ヒップの露出はなく、清純派としての自分を守りながら存在感は際立ち、とても良かったです。それと父性愛のような愛情をストーリーに注ぐジアマッティが良かったです。彼は冴えない善良な人の役がとても似合うので、こんな美女に手も出さず、紳士的な無償の愛を捧げる男性を、好感の持てる演技で見せていました。他にも撮影はあのクリストファー・ドイル。さすがに青みを帯びた画面は美しく、これは楽しめます。

シャマラン作品に付き物の、胡散臭さ・いかがわしさはなりを潜め、今回は善人ばかりのファンタジーでした。作りこんだら、妖精版「ET」がみられれたのにと、ちと残念です。でも観たかったから、文句は言うまい。


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