ケイケイの映画日記
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2005年07月13日(水) 「ダニー・ザ・ドッグ」


今週は「フライ、ダディ、フライ」を観る予定が、嘘ばっかり、針千本じゃないかのこの作品。実は昨日三男の三者懇談があって、軽く目眩がするような通知表を見せられた私。テストの点より悪い評価がついてある。って、ことは!「未提出物、忘れ物、授業中のおしゃべりが目立ちます。可愛いくていい子なのは、どの先生も知ってるんですよ。もっとM君は怒らないといけないのに、あの笑顔に騙されるなぁって、他の先生ともよく言い合っているんですが。」先生、それやったら、通知表も騙されて下さい。いや、そんなことを言ってはいかん!これ全て年の離れた三番目なので可愛さもひとしお、「可愛いだけじゃ、ダメかしら?」で育てた母の責任だ。それで笑えて突っ込めて、後に感動など残りそうにないこの作品で頭をクールダウンして、VS三男の傾向と対策を練ろうと思った次第。

5歳の時誘拐されたダニー(ジェット・リー)。人間らしい感情を持たない殺人マシーンとして犬のように育てられた彼は、高利貸しのバート(ボブ・ホスキンス)の元、彼の番犬として脅迫的な取立ての片棒をかつがされていました。取り立てた顧客から仕返しされたバートの一味は車の事故に合い、命からがら逃げ出したダニーは、偶然の出会いから心惹かれた盲目の黒人ピアノ調律師サム(モーガン・フリーマン)の元へ逃げます。そこには彼の亡くなった妻の連れ子ヴィクトリア(ケリー・ゴンドン)がいました。二人の暖かく手厚いもてなしに、段々と人間らしい感情が芽生えるダニー。しかしバートは彼を執拗に追いかけてくるのでした。

製作・脚本リュック・ベッソンの、ジェット・リーがわんこになったり、恋するティーンエイジャーになったり、殺人マシーンになったりする七変化映画。ジェット・リーとくりゃアクション映画に決まっているのですが、アクション場面が悪いというのではないのに、何故か暖かく和む要素の方が印象深い作品です。

ちょっと感激したのは、リーが表情で演技していること。首輪をつながれた拾われた捨て犬の時は、ぼぉっとした心も感情もない様子ですし、首輪を取られてバートから「殺せ!」の命令が出ると、目つき顔つき凶暴ながら精悍になり、サム家で愛に包まれた暮らしをするようになると、少年というより幼い子供のようにおどおどしていたのが、サムやヴィクトリアの計らいで段々と色々な人間らしい経験を積むと、正しく青春を謳歌するような少年に見えてしまいます。四十をまわった不惑の年齢の男性と思えば、あっぱれな若々しさです。

こんなどこの馬の骨とも分からない男を、手厚く家族として受け入れるなんて普通では考えられませんが、血の繋がらない父と娘として、黒人と白人、盲目である継父などの葛藤を超えたサムとヴィクトリアなら、東洋の得体の知れない若者に手を差し伸べたとしても、違和感はありませんでした。むしろ暖かい二人の思いやりと、ダニーの人としての成長が垣間見られる部分に時間を割いた演出だったからこそ、破綻しまくるストーリーも大目に観られたと思います。

だいたいサムが盲目である必要は全くないし、ダニーの母親の過去や死の原因も謎のまま、もっとサムとヴィクトリアが追い詰められて、命からがらダニーが助けてこそ盛り上がるはずですが、拍子抜けするほどあっさり。ラストは絶対あり得ないシーンで終わりますが、突っ込めど突っ込めど、何故か笑って許してしまえます。善と悪、くっきり分かれて二方好演だったのが一番の勝因かな?ホスキンスは私はいつもダニー・デビートとかぶってしまうのですが、彼の憎々しくない役作りも、影の功労者に感じます。アクションは、せっかくのジェット・リーなんですから、返ってCGを使う方が時代遅れの気がします。

かる〜く楽しむには、なんら問題ない作品。感動なんてありませんが、ほんわか良い気持ちにしてくれます。私はサムの「キスは心の栄養」というセリフが気に入りました。皆さん、毎日良いチュウをしましょう。


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