ケイケイの映画日記
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2005年05月18日(水) 「交渉人・真下正義」

ただいま大ヒット中のこの作品、今日観てきました。その理由がわかるなかなかのスリリングさで、そこそこ面白かったのですが、うーん、と首を捻る部分もちらほら。最近多いですね、こーゆーの。何で私は素直に楽しめないのか・・・。

日本初の交渉人となった真下正義(ユースケ・サンタマリア)は、警視庁交渉課準備室課長となって、仕事を進めていました。クリスマス・イブに雪乃とデートの約束をしていた真下に、室井管理官から電話がかかり、地下鉄の最新実験車両が乗っ取られ、東京の地下鉄網を暴走していると連絡が入ります。犯人は交渉相手に真下を指名してきたと言うのです。

まずはちょっと違うかなぁと思ったシーン。冒頭不正アクセス出来ないはずの警視庁のHPに、爆弾予告が送られてきます。その一つが子供たちが遊んでいる公園爆破。しかし爆破処理班が到着直前に、仕掛けられた爆弾が爆破されます。これっておかしくない?確か4時何分って送られて来ていたので、まずは近所の警察署へ連絡、すぐ公園にいる人は避難させるでしょう?
爆弾処理班が遅れたのは仕方ないとしても、予告があった場所に人がいっぱいいるなんて不自然です。これでまず作品から乗り遅れてしまうのでした。

真下たちが送り込まれたTTR(東京トランスポーテーション・レールウェイ)の総合指令長、片山(国村隼)は最初剣もほろろな態度を真下たちに取りますが、それも疑問。まぁ50前後のオヤジには、こんな若造たちに何が出来るってもんでしょうが、それでも警視庁から事件を解決に来た人間に対して、摩訶不思議な態度です。

TTR司令室に宅急便の配達員やケーキ屋のパティシエなどが品物を届けるのですが、それが私には鬱陶しくて。だってありえないでしょ?目隠しして連れてこられる人もいる場所って言ってるんですよ。「踊る〜」ファンには、宅急便のマークなどたまらない味付けらしいのですが、テレビで斜め観していただけの私は、これらのシーンが出てくるとイライラしてしまいました。

後半からは、テレビでは観られない迫力ある画像で、爆破パニックものの、映画ならではの醍醐味を見せてくれ、そこそこ手に汗握り楽しませてくれます。映画初主演のユースケは私は好きなのですが、まだまだテレビの人。スクリーンで魅力溢れるとは言い難く、無難なだけでした。交渉人ぶりの演出もイマイチ盛り上がらず、ちょっと期待はずれでしたが今後に期待。いい味を出していたのは、TTR広報課の石井正則。ドラマでも真面目なのに何だかおかしいという芸風ですが、この作品でも楽しいコメディリリーフでした。その他金田龍之介、八千草薫の存在が、さすがに光っていました。爆発物処理班とSAT部隊は、それぞれ中々のカッコ良さでした。

8月公開の「容疑者・室井慎次」に続くためか、犯人が何故犯罪を起こしたのか、真下に挑戦状を叩きつけたのか、一切不明。だいぶ消化不良が残ります。この犯人は鉄道と映画のオタクと描かれていて、「オデッサ・ファイル」「ジャガー・ノート」などの70年代の作品をヒントに罠をしかけるのですが、プロファイリングで20〜30代と推測されていますので、かなりの映画好き。「『ミッション・インポッシブル」に出ているジョン・ボイト』の作品だね。」とは、真下の「オデッサ・ファイル」に対する答えですが、この犯人なら「真夜中のカウボーイ」も「チャンプ」も「コンラック先生」だって知っているかも。もし私がお友達に選ぶなら当然犯人の方です。

私は自分のことをただの映画好きと思っていますが、はたから観れば仕事を持つ兼業主婦が年に100本劇場鑑賞するなど、立派なオタクのはず。今だって今日は「バタフライ・エフェクト」を観る予定が、土曜日に流れた「真下〜」を今日持ってきたので、「バタフライ・エフェクト」はどこに入れよと、映画館の上映時間と首っ引きです。そんな変なおばさんである私には、犯人の動機や内面の掘り下げがないので、何故自分もオタクだという真下が、「お前とは違う!」と言い切るほどの、犯罪を犯す側、取り締まる側になったのかの違いを感じません。映画オタクは犯人でも、もっと共感出来る肉付けにして欲しかったかなと思いました。寺島進の警視が語る、「これからこんな訳のわからん犯罪が増えるぞ。」って、何も演出せずに観るものに丸投げで、それで終わっていいんかい?

色々難癖つけましたが、ヒットしているのは、わかり易さと手軽さ(褒めてます)があるからでしょう。私みたいに観る方が間違っているというか、多分損なのだと思います。エンドロールの、出演者が次々と和気藹々、笑いながら写真で出てくる様子を見て、素直にそう感じています。


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