ケイケイの映画日記
目次過去未来


2005年05月10日(火) 「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」(吹き替え版)

画像はこれでもかこれでもかの不幸を体験するも、知恵と勇気と兄弟愛で乗り切るボードレール家の姉と弟と妹。左からクラウス(リーアム・エイケン)、サニー(カラ&シェルビー・ホフマン)、ヴァイオレット(エミリー・ブラウニング)です。コメディ仕立てのこの不幸、人によっては笑ってOKなのでしょうが、大人気なく私はマジでむかつく所があったので、作品としては微妙です。しかしこの子達は可愛く賢く本当に素晴らしかった!よって合格作品ではあります。

突然の火事で両親が亡くなり、残された発明が得意のヴァイオレット、読書家のクラウス、噛みつきが得意のサニーの姉弟は、遠縁のオラフ伯爵(ジム・キャリー)に預けられます。ところがオラフは彼らが相続した財産が目当てだったのです。命からがら逃げ出した子供たちは、次々親戚の家をたらい回しになるのですが、どこまでも追いかけるクラウス。行く先々で世にも不幸な事柄が、子供たちを待ち受けていました。

美術がいいです。ちょっとダークでゴシックな建物や衣装、調度品などしっかり作りこんであり、子供向け作品でありながら手抜きがありません。ストーリーは単純で、次々子供たちを襲う不幸な出来事を、自分の得意分野の能力を発揮して一致団結して敵を撃退します。その様は三人寄れば文殊の知恵に兄弟愛が+されます。親のいない寂しさや哀しさがドーンと前面に出たり、ずっとその辛さがそこはかとなく漂いますので、親さえ生きていればと痛々しくて(実際クラウスが「死んでしまったパパたちが一番悪い!」という場面で私はウルウル)。上二人は大人になったもののまだ末っ子が中1で、私が死んだらあの子も似たようになるのだと、子育て真っ盛りだった頃の記憶が蘇り、子育てが2/3終わり緩んだ神経に思わず喝が入りました。

不幸な出来事も一点だけを除けば、そんなに目くじらを立てるほどのこともありません。それこそ手に汗握って子供たちを応援すれば済むようなエピソードです。しかし両親が死んで悲しむ子供たちに追い討ちをかけるような、彼女たちが慕う人が死んでしまうのは、私には猛烈に×でした。それも殺人で死ぬなんて。私は子供向け作品で殺人が出てくるのは認めたくないです。原作はわかりませんが、ここは監督のシルバーリングの采配で脚色出来なかったのでしょうか?「キャスパー」では父子家庭、「ムーンライト・マイル」では、一人娘を事故で亡くした両親の喪失を描いた彼がと、私はちょっとがっかりしました。

キャストは豪華で、子供たちの親戚役でメリル・ストリープも出演しています。キャリーともども、子供たちにはやっかいな人なので、こういう間の抜けた敵役は憎めないチャーミングさが必要かと思いますが、私には二人ともそれには欠けました。脚本のせいか演技のせいか?キャリーはこんなメイクで出てきますが、「エターナル・サンシャイン」の渋い彼を観た直後なので、どうも往年のくどい感じが私は少々鼻につきました。

それとエンドロール。とても秀逸な切り絵風アニメでワクワクしながら観ましたが、長い!10分以上はありました。私は大人ですから最後まで観ましたが、子供は飽きてしまいます。これは子供向けで大人も楽しめる作品だと思っている方も多いはずです。子供をだしにして大人も楽しむのは大いに結構ですが(むしろ奨励)、子供の存在を忘れてはいけないんじゃないでしょうか?この長さなら、エンドではなくオープニングで使うべきです。

しかしよくもここまで大バカが集まったもんだと思える大人たち(役柄です)に対し、子供たちは本当に頑張っています。上の二人は賢く健気、何より良いのは堂々ハリウッド大作のこの作品をしょって立つ、格と気品があることです。末っ子サニーは可愛さだけでも文句なしでした。色々と謎も解明されていないので続編を作るのかと思いきや、シルバーリングの元にはまだお話は来ていないとか。ハリポタみたいに何作もは無理でも、次があるなら、是非この子達にやって欲しいです。原作者役とナレーションはシルエットだけでの出演でジュード・ロー、ダスティン・ホフマンのノンクレジットのカメオ出演あり。サニー役のカラ&シェルビーちゃんの苗字はホフマンですが、もしかして孫なんですかねぇ?ご存知の方はご一報下さいませ。


ケイケイ |MAILHomePage