ケイケイの映画日記
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2004年11月22日(月) 「ハウルの動く城」

テレビでも大盛況のニュースが流れていましたので、ちょうどラインシネマのポイントが貯まっていたので、平日ならましだろうと、今日12時20分の回を観てきました。宮崎作品には、私は特別思い入れがあるわけではありません。「もののけ姫」は壮大に説教されてイヤ、「千と千尋」は積極的に好き、初期の頃の作品は結構好きという程度です。

散々公開前に叩かれていた木村拓哉のハウルの吹替えですが、私は充分に合格だと思います。少なくとも「シュレック」で浜ちゃんの吹替えに脱力したようにはなりません。「笑の大学」でも、稲垣吾郎が演じるというだけで嫌悪感を持つ方もいらっしゃるようですが、とてももったいないことだと思います。先入観を持たずに観ることをお薦めしたです。倍賞千恵子はさすがにとても上手でした。確かに少女期の声には、多少違和感がありますが、物語が進むに連れて、演技力で気にならなくなります。他の吹替え陣も好演でした。

ただ私はアニメの吹替えは、プロの声優にお願いするのが良いと思っています。俳優や歌手など使うと、どうしてもイメージが先行してしまいます。「東京ゴッドファーザース」の梅垣義明のようにピッタリはまる例は少なく、(というより、あれは当てこんでいたのか?)この作品でもキムタクよりむしろ倍賞千恵子のイメージが、ソフィーより強く私には感じました。

前向きで利発なソフィー、ハンサムだけど弱虫でナルシストなハウル、俗っぽさの権化のような荒地の魔女、悪魔なのに愛嬌のある火のカルシファー、可愛い弟子のマルクル、謎の呪いをかけられた案山子・カブ、そして一番の黒幕・サリマンまで、キャラクターがきちんと描かれていていました。

男所帯だった「ハウルの城」に、たとえお婆さんだとしても女性のソフィーが住み着くことによって、みるみる潤いのある居心地の良い空間になり、その明るさと勇気と女性らしい愛情は、マルクルやハウルの心を捉えます。対照的に国を動かす力をも持つ存在として魔女のサリマンは堂々と描かれ、女性の柔らかさと強さ、ヒステリックではない怖さを表現していると思いました。映像は文句なし。玄関の回転盤を回すと、瞬時に別の場所に行ける城の趣向などとても楽しく、相変わらずに美しさと映像美でした。

しかしストーリーに説明不足と強引さが目立つのです。何故ソフィーは老い若さを行ったり来たりするのか、ハウルとカルシファーとの謎など、観るものの想像力に委ねられています。映画に想像力は不可欠ですが、宮崎映画はいまや国民的に注目を集める存在です。小さなお子さんも観られる中、もう少し説明が欲しかったです。強引さでは、自分に呪いをかけた荒地の魔女の面倒を苦もなくソフィーが看たり、ハウルがソフィーを守りたいと思うまでの心模様が描きこみ不足、案山子のカブの呪いの理由と、解かれた後のあまりにもあっさりした様子に拍子抜けしました。展開にコクが不足しているので、無理無理大円団に持っていった感じがし、ハッピーエンドにあるはずの、解き放たれた開放感が希薄です。

個人的にはまぁまぁというところ。宮崎駿に何を期待するかで観方が変わる作品ではないかと思います。私は大人から子供まで楽しめる、良質の家族ムービーです。今日も平日お昼の回に、ラインシネマの一番大きいスクリーンがほぼ満席でした。当分大ヒットが続くと思います。


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