ケイケイの映画日記
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2004年09月09日(木) |
「プリンス&プリンセス」 |
夏に観た「キリクと魔女」が思いの外出来が良く感激した私は、監督のミッシェル・オスロの名前が強烈に頭に残り、(寄る年波で人の名前は最近覚えづらい)テアトル・梅田のHPに、彼の名を見て飛びついた作品です。「キリクと魔女」の原色の目にも眩しい色彩とは異なる、影絵風アニメーションの、ユーモアとエスプリの効いた6話のお話です。
古代、中世、未来、魔女、日本、そしてプリンス&プリンセスをテーマに、少年・少女が老映写技師に導かれ、自分たちで様々なストーリーを創作していきます。お話は御伽噺風で、短い時間に起承転結がきちんとしており、ひとひねりしたオチがニヤリとさせられます。
一番気にいったのは、最後のお話。婚約中のプリンスとプリンセスがキスを交わすと、何と王子様はカエルに!これって有名な「カエルの王子」の逆パターンだと思っていたら、次に二人がキスすると今度はプリンセスがなめくじに。二人は何度もキスを交わす度、象やキリン、ノミや蝶など次々に変身していくのですが、ラストは本当にとんでもないことに。でもこれって愛しい人を理解する究極の方法かも?と、少々ブラックな味付けが気に入りました。
吹替え版でしたが、穂積隆信の達者なアフレコには大満足、キッチュこと松尾貴文の語り口もなめらかで、意外に健闘していました。宣伝では一番プッシュされていた原田知世は、悪くはないのですが、少し幼く淡々とし過ぎていた感じがしました。作り込んだ日本編の老婆が一番良かったです。
輝くダイヤのきらめき、北斎の絵、古代の壁画など、挿入される影絵以外の部分も美しく、ぬくもりのある手作り感がCGとは一味違う良さを醸し出していました。
ただしこの好意的な感想は、只今テアトル梅田は格安に観られることと、親しい友人たちと楽しく会うついでに映画を観る、と言う条件が加味されてはいます。元々はテレビ用の作品でもあり、ビデオやDVDでも、クオリティーの高さや楽しさは、感じていただけるのではないでしょうか?特別影絵アニメーションファンでなければ、正規の1800円ではちと物足らぬかも。
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