MIKI.PRUNEの方丈日記
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2004年11月05日(金) 森の中の海(下巻)

 先日から読んでいた宮本輝「森の中の海」が終わる。

 奥飛騨の山荘に移り住んだ仙田希美子と息子達は、
 神戸の震災で家族を失った隣人の三姉妹を引き取り
 生活を始める。やがて、そこへ姉妹を頼って七人もの
 少女がやってきて、希美子は少女達も引き受け、
 大所帯で暮らすこととなる。
 そして、炊き込みご飯の店を開店させたり、子供達との
 格闘のような生活が始まる。

 山荘の森の中にある巨木をある少女は大海(ターハイ)と
 名づけ、希美子はその根元から不思議な水差しを見つける。
 山荘の持ち主であった毛利カナ江の生涯を追い求めるうちに、
 以前カナ江が生み落した彼女の息子と出会ったり、数奇な人生を
 過ごしてきたカナ江の息子との交流で、希美子は人生とは何か、
 人との結びつきとは何かを教わる。

 ターハイは楠と欅と翌檜と栃の木などが何百年の間に互いが
 絡み合い、成長し、大きな巨木となったものです。
 物語のなかで作者は登場人物にこの巨木と通して

  「すべてを受け入れて動じず」

  「すべてを包んで動じず」

 と言わせている。

 これは、人生・そのものだと言っているように感じる。
 希美子や息子や少女達の人生、毛利カナ江の人生、
 カナ江の息子の人生はいろいろな波瀾に満ちたもので
 それらを受け入れて、いろいろな人生を包み込んで
 人間は成長して行くのだと作者は言いたいのだと思う。

 自分のことだけを優先して生きている現代人に
 警鐘を鳴らす作品であり、重い物語だが、読んで
 良かったと思う1冊となった。

  今日の一首

  複雑に 入り組み合った 人生で 
              出会った人達と 末永くと思う  
 
 


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