2003年03月19日(水) |
歌舞伎ぢゃないっ!! |
話題の市川新之助『源氏物語』である。
瀬戸内寂聴の脚本下手すぎ! 小説では良いかもしれんが、口に出した時のクサさといったら全くの赤面モノ!! 「万民に理解しやすく」を目指したのは分かるけれど、大納言に「会議の結果」なんてセリフしゃべらせちゃあ、せっかくの芝居が台無しでしょう。 この人は小説家であって脚本家でないことを再認識。
そんでもって演出が変! そもそも、平安時代は男と女が顔あわせへんやんとか(天皇の前とはいえ、奥さんと二人壇上で舞ったりしちゃダメっす)、いくら源氏が気さくやったとはいえ下々の人とは口きかんやろとか、曲がりなりにも国文を修めた者としては違和感感じまくりで、集中できず。苦笑いを堪えるので精一杯。
最初に、「びょおおおお」て効果音付きで(歌舞伎で見られる太鼓の音ではない)源氏が風が吹かれていたときもどうしたものかと思ったが、クライマックスの明石の君と明石の姫君が別れる場面といったら…。 最初小降りだった雪がどんどん舞台を覆う中、明石の姫君を抱き抱えた源氏が上手の明石の君に背を向け(ついでに客席にも背を向け)下手にゆっくりと踏みしめながら去ってゆく。それを見送る明石の君は花道のほうに向かって(源氏のほうではなく正面を向いているのがポイント)涙ながらに手を差し伸べるが、激しくおののき地に蹲る。 この間の演技、すべてがスローモーション!!(赤面) マンガを舞台化しようとするとこうなちゃうのね〜というか、舞台に感動するんじゃなくってスタッフの苦労に涙してしまった私。 音楽は東儀秀樹やし、とりあえずこれは「歌舞伎じゃない!!」
悪いけど、市川一門も尾上一門も勢ぞろいしてたわりに、ロクな人材おらんし。
まぁ、『源氏物語』という王朝絵巻に期待するビジュアル面の華麗さに関しては、そこそこ満足かな?(むしろコレだけのような気も…) 菊之助の芯の強さと愛らしさは結構見れるし、新之助との二人舞いはかなりの美しさ。 新之助源氏は、なんか気が抜けたみたいで凛々しさが全く感じられず、個人的には全く好みじゃなかったけど、伏せ目がちの横顔の美しさは絶品。 おっさんまで一緒になって「ほぅっ」て溜息漏らしたの、初めて見たわ。
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