カゴの中でころがる 小さくて 冗談みたいな ひとつひとつ
「自分でつくるより ずっとマシ」
なんども言い聞かせ それでも足りず だってだって と 言い訳をつぶやく
こんなときにかぎって レジの進むのが遅い
2004年02月12日(木) |
わたしはそんなの無理だけど |
「昨夜とつぜん作りたくなっちゃって…」
休み時間 キヨちゃんが手作りチョコをくれた
「誰かにあげないの?」
「えっ! そんなっ、そんな人は…」
赤くなって手を振るキヨちゃん
つられてわたしも赤くなる
あげたらいいのに。
こんなに可愛くって美味しいんだから
自転車 ふらりと倒れた
買物袋から色んなものが散らばった ころがってく缶詰
「あら! まぁ…!」 しらないおばさんが駆けてきた
両ひじの荷物を揺らしながら 缶詰を追いかけるおばさん
あれも それも ぜんぶ拾うと 買物袋に詰めてくれた
度のつよい眼鏡 二重あご
「気をつけてね、 だいじょうぶ?」 心配そうに のぞきこんで
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夢で泳ぐように なにがなんだかわからないまま家に着いた
鍵をあけ 靴をぬぎ 買物袋を降ろしたら
部屋がぼやけて 見えなくなった
息が詰まるくらい しゃくりあげて
頭も 肩も 足も みんな
からだの形は消えて 温かい水と 小さな種に なった気がした
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