アサキの誘いもことわって 午後からずっと聴いている
どうしちゃったんだろう わたし
この音に出逢ってからの そんな疑問と恐ろしさ
でも それも
この音に砕かれて はるか後方へ遠ざかってく
書けば書くほど離れてく
それでも
残さずにいられないよ
午前3時 ファミレス すみっこの席
隣りのテーブル いちゃついてたカップルは 帰った 本を読む女の人も 帰った いまは誰もいない
窓の外を通る車もなくなった
ほとんど喋らない 眠くもならない
♪ こえが きこえたのは……
ときおり タカシ君が歌をくちずさみ わたしもつられて小さく歌う
♪ すばらしい あなたとの……
「 朝 は、まだですよぉ 」
ツッコミを入れるわたしに
ちっ。 タカシ君は 舌打ちとも 投げキスともつかない音で応えてから
「 来るんだよ。」
「 もうすぐな。 ……来るんだよ 」
おしまいの半分は じぶんに言い聞かせるみたいに つぶやくみたいに
『 …… 来るんだよ 』
のどの奥 その言葉が脈を打った
胸から熱い何かがこみあげてきて あふれて そうして この体を包んだ
じぶんが つよく光るのを感じた
そして タカシ君もまた
いま 世界の端っこのような この席で
まぶしいくらい まぶしいくらいに
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