「どーしても牛乳が要るのよ、お願い!」
というわけで ぼくは三つ目のコンビニに来てる (どこも売り切れでやんの)
めでたくゲットして外に出ると むこうの橋の上 見たことあるような人物…
「何たそがれてんの?」
びくっと振り向いたタカシは ほんの数秒間 ぼくがほんとうにぼくなのか確かめるような目をして
それから 返事もしないで ふたたび運河を 暗い水面を見つめだした
おみくじを引くときも 願い事をするあいだも 頭の中はそのことばかり
気を抜くと うっかり口から出ちゃいそう
いつになく無口なわたしに 眠いのか? とアサキ
ううん、と首をふって おみくじを小さく小さく折る
お蕎麦をつくったら かぎつけて弟が起きた 三人で四人前をたいらげる
弟はふたたび眠ってしまった
タカシ君は帰るという
CDを渡して がさがさの手のひらに うちの電話番号を太マジックで書いた
11日だからねっ
わたしが念を押すと タカシ君は
さぁ〜?
というふうに首をひねってみせた
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