公園の芝生 『 はいらないでください 』の立て札
色付けのすんだ絵に 石の重し
隣りで寝ころがるアサキ かるい髪 風にあそぶ
わたしは草をちぎり 青いにおい たしかめる
すぅ アサキの寝息
すぅ 草の青い
すぅ
すぅ
わたしたち いま
青になる
草になる
はいらないで
誰も はいらないでください
おとうさん。
帰ってきた それだけでいいのに
あそこ行こう それ見よう じゃああれは? って
わたしたちとのお盆休みを セッセと消化しようとしてる
まるで 宿題みたいに
日焼けした先生が みんなにあの花火事件の話をした
「犯人はまだわかっていないということで…」
ショウタは 家族旅行とかで来てなかった
ナカヤンは 腕の皮をむいていた
ぼくは 消しゴムのかすを鉛筆のおしりでこねていた
「……事故のないように…、みなさんも…」
みんなが下敷きであおぐペコペコいう音と セミの鳴き声にさえぎられて 先生の声、小さくなる 遠くなる
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