友人に誘われて、ロックの会というところへ行く。
入学式の人をたくさん見かけた。
嵐は去った。
風が荒れ狂っている。 こんな日にでかけるのはばかだ、 何かあったら自己責任だ、 と言われるのが怖く、約束を反故にして家にいるが、 子どもの頃は、風の強い日には、妹とびしょびしょになりながら散歩に出かけたなあと思い出す。
私は、孤独が好きだ。 アトリエで机に向かっているときか、 ベランダの椅子に座っているときに、 「私、生きている!」 という感じがする。 人と一緒に過ごしているときは、 相手に合わせて自分を変化させているというか、 自分のふりをした何かになっている。 でも、これは私が求めている姿ではないと思う。 私は、コミットしたい! 社会に、「組織」に! 生きている感じじゃなくなってもいい、 死んでいる雰囲気になってもいいから、「組織」の一員になりたい! そう思う瞬間がある。 これが……、 人間、ということ?
私は、ここ数年、「組織」って言葉が口ぐせになっていて、 作家友だちにも、 編集者さんにも、 「それ、良くないよ」って、 注意してもらってきたのだけど、 よく考えたらきっと、 「組織」が好きなんだろうな、と思う。 「個人」ってことを振りかざしたい人間は、 普段の生活で「個人」が自然なことと感じられてはいなくて、 本当は「組織」に属するのが自然と感じているのに、実際は「個人」として生きている、って場合が、多いのではないだろうか。 まさに私だ。 基本欲求に、「組織」に属したい、という気持ちがあるのだと思う。 でも、好きすぎるから反感もあって、「組織は……」「長いものに巻かれて……」と言ってしまう。 このことをもっと突き詰めて考えてみよう! いずれ、「組織」の小説を書いてみたいな。
朝から強い風が吹いていて、外を歩いたら傘が裏返った。 傘が裏返るとどうして恥ずかしいのだろうか。 午後には雨も風も止んで、美しい晴れ間が見えた。 夕焼けもきれいだった。 夜は静かだ。
今年の桜はとても早く咲きましたね。 私は、上野の雨の中、井の頭公園の夜、にぎやかな友人の家、 三回お花見をしました。 それぞれ、サンドウィッチと、おにぎりと、鶏の照り焼きを作って、 料理も面白かったです。 来週は京都へ行く予定にしていて、それもものすごく楽しみです。 この日記面白くないですね。 誰が私の花見なんて興味あんだろ。 「今年の桜は早いですね」などと挨拶している自分が本当に気持ち悪い。 いつからこんなつまらない大人になったんだ! 思い出せ、反骨精神を! 季節の話題なんて、ひとことも喋るな! そう思いながら、今日もにこにこと、「桜は散るところもいいですね」なんて、大人ぶって穏やかに過ごしている。
【3月に見た美術】 「チェルフィッチュ個展」@クリエーションギャラリーG8 「あっぱれ北斎!光の王国展」@フェルメールセンター銀座 「白隠展」@Bunkamuraミュージアム 「中ザワヒデキ展脳で視るアート」@吉祥寺美術館 「エル・グレコ展」@東京都美術館 「書聖 王義乗之」@東京国立博物館平成館 「かわいい江戸絵画」@府中市美術館 「ラファエロ」@国立西洋美術館 「全部見せます北斎富嶽三十六景」@江戸東京博物館 「フランシス・ベーコン展」@東京国立近代美術館 「マリオ・ジャコメッリ写真展」@東京都写真美術館 「タマがわ、たった火」@ナディフアパート 「JR」@ワタリウム美術館
○文庫『お父さん大好き』(文藝春秋) 3月8日発売 単行本『手』を改題しました。 ポップな小説です。 表題作はしみじみした味わいかもしれません。 装画は益田ミリさん、 解説は川村湊さんです。
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