紫
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自慢ですが、私は勉強が好きでした。
今は、好きだけじゃ、足りないみたいね。
おやすみ。
なんでこんなに疲れるの?!
おやすみ。
「スソトッテカタツメ」
こおろぎの鳴きかた。
母が教えてくれました。
大事にしよう。
この鳴きかた。
おやすみ。
怖れていた筋肉痛は、いつもよりはゆるやかでした。
それでも痛いのは痛い。
初めて湿布薬を貼りました。
それの効果か?
今日はすっかり疲れました。
なぜ疲れたかは、知っている人は知っている。
なんか日記もツカレギミなので、こんなところで。
おやすみでごじゃる〜。
あぁ、疲れている……。
「山は逃げません」
こういうセリフをよく聞きます。
実際に私も言ったことがあるし、自分にも思いこませています。
あせって登らないように。
点だけしか目指さないピークハンターにならないように。
でも、今回の槍ヶ岳登山で少し考えが変わりました。
槍の道中で何度かいっしょになった男性二人組み。
おそらく60代でしょう。
帰り道で彼らを追い越したときに尋ねました。
「山頂へは、行きましたか」
なんとふたりは、行っていないと言います。
以前、登ったことがあるからとか。
「僕らは、もう無理はしないんだ。君たちの歳では、まだまだ山は逃げない。でも、僕らの歳になると、山は逃げていくものなんだよ」
そう。
山は物理的にも動くわけではありません。
でも、体力的に山頂は少しずつ遠くなっていくのです。
「山は逃げません」
軽々しく使ってはいけない言葉。
山に逃げられないように、体力作りをしっかりしていこうと決意した槍ヶ岳からの帰り道でした。
おやすみ。
2008年08月28日(木) |
槍ヶ岳、二度目の山頂 |
朝4時に起きました。
起きた、というより、周囲の登山客がどんどん起きていく音に、目が覚めたというほうがしっくりきます。
朝食は、朝5時から。
そのまえに、決めないといけません。
もう一度、登るか、それとも、下りるか。
外はガスで真っ白。
どう考えても、山頂からの絶景は期待できません。
体はけっして元気とはいえず、一晩の眠りで疲れが抜けたわけではありません。
言い出しっぺさんは「大丈夫」と言うけれど、おそらく疲労はかなり激しいと思われます。
ほかのみんなはどうなんだろう。
昨日、登ってもう満足しているのだろうか。
言い出しっぺさんは、おそらくみんなに遠慮していたのでしょう。
はっきりと自分の希望を言いません。
私も自分の体力に自信がなく、どうも口ごもってしまいます。
でも、ふと思い出しました。
今回の槍ヶ岳登山の意味を……。
「登りましょう」
5人そろって到着した山頂は、昨日にも増してガスで周囲はまったく見えなかったけれど、そんなことは問題ではありません。
まるで空に向かっているかのようにそびえたつ鋭い頂きから叫んだ名前は、きっときっと「彼」に聴こえているはず。
「槍ヶ岳に登りたい」
そんなひとりのわがままな夢を現実に変えてくれた山の師匠、そして今回の山行をしっかりサポートしてくれた山の精鋭たちに。
そして最後までわがままを通した人に。
私もいっしょに連れてきてくれて、どうもありがとう。
いい山行を、どうもありがとう。
おやすみ。
2008年08月27日(水) |
横尾から槍ヶ岳山荘、そして山頂へ |
朝、4時に起床。
適当に朝食をすませて、5時半に横尾キャンプ場を出発しました。
テント撤収に時間がかかり、予定より30分遅れましたが、ま、誤差の範囲です。
よしとしましょう。
今日は、槍ヶ岳山荘を目指します。
山小屋泊なので、荷物も最小限に減らしました。
減らしたといっても、適度な重さが肩にくいこみます。
しばらくはあまり起伏の激しくない山道を歩きます。
起伏は激しくないけれと、昨日の上高地から横尾までの足の疲れが残っているのがわかります。
明らかにトレーニング不足。
今さら反省しても仕方がないので、自分の足を信じて一生懸命に歩きます。
途中、槍見河原から見えた槍ヶ岳の山容にも力をつけられ、また歩きます。
少し道が登ってきたところにある槍沢ロッヂで食べたきゅうりと、そこから見える槍の姿にも元気をつけられ、また歩きます。
そう、歩くしかないのです。
歩かないと、頂上には着きません。
ババ平のキャンプ場を過ぎ、大曲を越したあたりから、槍ヶ岳への別ルートである東鎌尾根の西岳がひょっこりと顔を出しました。
いつか、あのルートから槍ヶ岳を目指したい。
今回の槍ヶ岳登山の言い出しっぺは、途中からどんどん、どんどんとペースが落ちてきました。
ペースはどんなに遅くなってもいいから、山荘まではがんばってほしい。
そして、それはどの時点だったのでしょう。
水場を少し過ぎたところで、槍ヶ岳の山頂がひょっこりと顔を出しました。
その姿に再び元気をつけられて、昼休憩。
言いだしっぺさんは、どうも体調がすぐれない様子。
やっぱり、いきなり「槍」は無理があったのかも……。
ふと思ったけれど、今となっては仕方がありません。
ここまでくれば、山頂をめざすのみ、です。
さっきまで晴れていた山頂には、うっすらとガスが上がってきます。
そして、私の歩調も遅くなります。
最後のつづら折りの道をふらふらになりながらも、なんとか山荘にたどり着きました。
ふぅ。よかった。
ここまで来ることができただけでも、満足です。
言い出しっぺさんは、どうやら高山病にかかっていた様子。
今日の登頂はあきらめて、山小屋で寝ていてもらうことになりました。
まあ、明日がある!
そして、残りの4人で山頂へ。
岩のニガテな私は、まさに手取り足取りで山頂への道を進んで行きました。
そして、3180メートル。
すっかりガスが上がってきてしまい、あまりいい景色とは言えなかったけれど、でも、ここは山頂。
槍ヶ岳の山頂です。
その夜は、山の夜らしく、早々に寝ました。
心配なのは、高山病の様子。
一晩寝たら、すっかりよくなっていますように。
おやすみ。
上高地に昼過ぎに着きました。
昼ごはんに作ってもらった大きなおにぎりを食べて、重いザックを担ぎました。
これから3時間。
今宵の寝床「横尾キャンプ場」まで、てくてく歩きます。
予報に反して天気は晴れに近い曇り。
自然と足取りが軽くなります。
河童橋からは見事に穂高連峰が惜しげもなくその姿を現せています。
あした、登る予定の山はまだ見えません。
見えないだけにますます憧憬の念が増していきます。
まだ、歩き慣れたとはいえない道ですが、2年ぶりに歩く横尾までの道のりを楽しみながら、帰りのことをなるべく考えないようにして、梓川をさかのぼります。
明神岳のふもとの明神池を過ぎ、小説「氷壁」に登場する徳沢で休憩。
それから横尾。
ふぅ、疲れた。
テントを立てて、とりあえずビールで乾杯。
夕飯に作った鍋をつつき、明日の山について語り合います。
あした、私たちは槍ヶ岳に登ります。
山に登る者なら誰もが憧れる山。
その「穂先」と呼ばれるとんがった山のてっぺんに何があるのか。
槍ヶ岳から見える穂高はいったいどんな形をしているのか。
期待に胸を膨らませながら、明日、晴れますように。
おやすみ。
きのうの話には続きがあります。
小さな黒い「家族」が外に出て行ったあと、母がふらりと私の部屋にやってきました。
「10年ほど昔になるけど……」
どうやら昔話が始まる様子。
いきなり、いったい、なに?
「ある日、夕飯をひとりで食べていたら、テーブルの上を小さなクモがてくてくとやってきてん」
クモなんて、もう見ただけでも足がすくみます。
「で、そのクモ、テーブルの上にこぼれていた水を飲みだしてん」
ま、クモも喉が乾くだろうし。
「次の日も来て、テーブルの上を歩いててん。でもなんにもなかったから、わざと水滴を落としてみたん。そしたら、すすすっと寄ってきて、水を飲んでたん」
へぇ。
「それから毎日来るから毎日水をあげてたら、だんだんとなついてきてね」
……。
んなアホな。
「ホント、ホント。3ヶ月くらい毎日水とかおかずのかけらをあげてたら、クモもけっこう落ち着いて食べるようになって、いっしょに毎日クモと夕飯を食べててん」
クモと晩餐する母。
やはり、おそるべし!
そして、この話には後日談がありました。
ある日、父がいつもより早めに帰ってきたそうです。
父のごはんをよそいに母が席を立ったとき。
「お!こんなところにクモがいる。(バシッ)」
最後の音がなんだったかあえて語らず。
しばらく母は父と口をきかなかったとのことでした。
今さらですが、クモよ。
成仏しておくれ。
ちーん。
部屋の灯りを求めて、窓のほんのちょっとのすき間から、黒くて小さな虫が飛んで入ってきました。
正直に白状すれば、私は虫が大嫌いです。
虫というより、虫を殺すことが、どうもニガテです。
そのため、入ってきた虫の運命は、母にたくすことにしました。
まず、私の部屋の電気をすべて消して真っ暗にしました。
こうすると、灯りを求めて台所に飛んで行ってくれるはず……。
でも、もうずいぶんと体が弱っている虫は、なかなか光の方向に気付いてくれません。
そのため、洗面所の電気をつけました。
洗面所の灯りでおびき寄せ、ひとまず私の部屋から出て行ってもらう作戦です。
5分ほど待ったすえ、虫はひょこひょこと灯りのほうに歩き出しました。
やった!
さらに洗面所の電気も消して、母のいる台所の灯りだけが目立つようにしました。
……。
ひょこひょこ……。
やった!
作戦どおり、台所に向かって虫が歩き出しました。
ひと安心して部屋に戻り、電気をつけましたが、今度はどうも虫の行く末が気になります。
せっかく灯りを求めてやってきた虫。
残り少ない命のなか、やっと安心したところなのかもしれない。
などなど、いろいろ虫の気持ちを考えると、いてもたってもいられません。
こっそり台所に様子を見に行くと、ちょうど母の足元を虫がひょこひょこ。
あぁ、このままだと、踏まれてしまうかも……!
「虫、いるよ」と思わず私。
「どこ?」と母。
「足元」と私。
「あ……」と母。
「ど、どうするの?」とおそるおそる母に尋ねました。
「なんにも。せっかく入ってきた虫なんだから、家族と思っとき」
……。
……………。
母は、偉大だ……(汗)。
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