株式会社JOYWOW
椰子の実日記【JOYWOW】
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2003年11月21日(金)


決断した背中

 雨の福井。仕事で急にペンが必要になったので、
ホテル近くのファミリーマートに寄った。風はない。
土地により同じファミマでも品揃えが違うのが興味深い。

 子供の声。視線を飛ばすと五歳位の男児だ。
時刻は夜8時半。何かと話しかける母親は香水ぷんぷんの
二十代前半とおぼしき若さ。かかとの高いブーツと毛皮
だ。どう見てもお水。乾き物とソフトドリンクなどを選び、
レジへ。

ぼくは後ろに並んだ。ト、子供が、レジに置いてあった
サンプルのケーキにかぶせてある透明のケースを上げ、
指に取ってなめた。昭和の子供ならともかく、平成のこども
がそんなことするかあ? と驚いた。驚くと同時に彼の一帳羅
の服装に気がついた。そうか今日は七五三だったんだ。
母のキメ服も、それか。レジの声。「20,017円になります」
ナニ、二万円? コンビニで二万円?
母は茶封筒から一万円札を三枚出した。
「3万円からでよろしいでしょうか」
しげしげと見た。決断した女の背中だった。
さっき息子が指でケーキをなめた理由もこの封筒でわかった。

 

2003年11月20日(木)
VRで紫禁城を探検する

凸版印刷 I氏の粋なはからいにより、印刷博物館内
VRシアター
http://www.printing-museum.org/jp/information/floorplan/vr/index.html
にて、同社が中国故宮博物院と共同で進めているデジタルアーカイブ・
プロジェクトの一端を見ることができた。
紫禁城太和殿を自在に、なめるように観る。
VRの面白さは、リアルならまず行くことができない場所
まで手に取るように観ることができる点だ。
天井とか、屋根の上の飾り物など、実際に紫禁城に行った
ところで、クレーンにでも乗らない限り、無理だ。
VRの出来の素晴らしさには、感動した。cliche、ありきたりな
言葉だが、まるでほんものである。しかも、太陽の日差しも、
時刻によって変わるという。これによって、リアルでは閉館して
しまってまず観ることのできない夜の紫禁城を散歩することも
可能なのだ。
また、VRは画像だけを提供するわけで、映画ではない。
だから、画像に合わせて物語るストーリテラーによって、スクリーン
の絵がいかようにも姿を変えるという。まさに弁士の復活である。
人間とVRとの合体が、新しい知を生んでくれる、そんな予感がした。

*ちなみに故宮博物院のVRはまだ一般公開されていません。

 

2003年11月19日(水)
便秘の治し方

便秘がいっぺんに治る方法を教えます。
ゴルフボールを用意してください。
ツーピースでも糸巻きでも構いません。
中古でも可。
椅子に座って裸足になってください。
そして、足裏をゴロゴロしながら、本でも
読んでいてください。
10分もやっていると、あちこち痛いはずです。
指の付け根あたりは、特にひえーーーと
なるくらい痛い。でもがまん。
3時間後には、ぐるぐるぐると来るのを
請け合いましょう。

 

2003年11月18日(火)
豆を齧るというが実か

韓国在住の某氏から、昨日の日記で
「珈琲豆を齧りながら」と書いてあるがあれは
比喩かそれとも実(まこと)か、との打診メール。
実です。工業製品珈琲豆は齧ったことがないので
わからないが、昨日の豆は職人さんが手塩にかけ
自分で焙煎した豆なので、やわらかく、塩でも
ふりかけたらそれだけでビールのつまみにでも
なりそうな香ばしい味だ。
ブラジルで有機栽培された珈琲直送だから旨い
のである。その珈琲は、人間も食べられる大豆を
肥料にするという、贅沢な育ちかたをしている。
珈琲を淹れる際には、豆を自分でガリガリとミル
で粉にするのを楽しみにしている。その指先に
来る感触も、工業製品とは違って、柔らかい。
昔、ゴルフボールで糸巻きのパットの柔らかさを
愛していたが、そのイメージだ。
豆をいちいち遠いところに買いに行く。
そして、それが、いいのである。

 

2003年11月17日(月)
「昔」の真似

鎌倉の谷は秋の真下にある。十一月の日が、眼に入る
野と林を暖かい色に染めた中に、人は寝たり起きたり
している。十一月の日は静かな谷の空気を空の半途で
包(くる)んで、じかには落ちて来ぬ。と云って、山
向(やまむこう)へ逃げても行かぬ。風のない村の上
に、いつでも落附いて、凝(じつ)と動かずに霞んで
いる。その間に野と林の色が次第に変わって来る。

と、漱石の一節をパロディしたくなるような秋の鎌倉。
珈琲豆を齧りながら、歩いた。
ちなみに真似した文章は「永日小品」内「昔」冒頭部分。
若き芥川龍之介はこの作品を全部諳んじて朗読していた
という。

 

Kei Sakamoto |株式会社JOYWOW