株式会社JOYWOW
椰子の実日記【JOYWOW】
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2003年09月02日(火)


Xの悲劇

ぼくが本を好きになったきっかけの一つに推理小説がある。
中学一年の頃創元推理文庫が全盛で、エラリー・クイーン、
V・ダイン、クロフツなど、読み漁った。特に好きだったの
がクイーンのドルリー・レーンものだ。「X」「Y」「Z」と
「最後の悲劇」。X、Yは新潮文庫で、Zと最後は創元文庫で
読んだ。理由はよくわからない。「最後」は、創元にしか
収録されていなかった。「Z」には、サム警部の娘が
出てくるが、これは「最後」への伏線となっている。見事に
計算されつくしたシリーズものだ。

ニューヨークに住んでいた頃、これら愛読した小説の舞台が
マンハッタンだったことを思い出し、いまとなっては原書で
も読めるはず、せっかくハドソン川ほとりに住んでいるのだ
からムードを味わおうと、バーンズ&ノーブル書店で探した
が、ない。あのような古典はなかなかないのかもしれない、
と、amazonでもいろいろやってみたが、なかった。非常に残念
である。ではせめて日本語でも、と、昔読んでいた文庫は紛失
しているので書店で探したが、マンハッタンの日本語書店にはなく、
日本出張の際探した。あるにはあるのだが、困ったことに、
現在のぼくには字が小さいのである(笑)。

結局、マンハッタンの現地で楽しむ、というプランは実行できず
じまいだった。重ねがさね残念だ。

ドルリー・レーンものこそ、立派な装丁、大きな文字で復刊を
希望したい。文庫では哀しい。
手に取るだけでも幸せになれるような、そんな本こそがふさわ
しい。ネタバレになるのでこれ以上はいえないが美本こそ、
「最後の悲劇」にもつながる。

 

2003年09月01日(月)
古本屋は大きな意義を持っている

本がまるで生鮮食料品のような扱いを受けていることが
現代日本の知に非常な危機を与えている。版元は社員の
給料をまかなうためがんがん本を数出し、書店は本の
包みを右から左へ流す。書棚に並ぶのはせいぜい二週間、
ひどいときには3日で消える。書店はスーパー、本は
生鮮三品、卵か牛乳か野菜である。

図書館は著者の大切な印税にマイナスの影響を与える
からけしからん、と訴訟を起こした作家がいたが、ぼく
の意見は違う。そもそもいまの日本で、印税だけで生活
できる著者なんて、実質ほとんどいない。これは出版に
ともなうさまざまな問題が理由である。それは簡単には
変わらない。で、あれば、前向きに捉えたらどうか。

昨日、
塾生が週末起業で始める古本屋
に行ってきた。そこで古本屋の深い意義を再確認した。
「知」のスローな流通は古本屋と図書館が担っているの
である。昨日店頭で出会ったフロム『自由からの逃走』
『世界の名著』などは、新刊書店の書棚で発見すること
は難しいが、だからといって不要な本ではない。

知の強迫観念的な大量生産、大量消費の間違った現状に
ブレーキをかける、古本屋と図書館に、大いにエールを
送る。

 

2003年08月31日(日)
読書体験

坪内祐三『新書百冊』(新潮新書)を読む。
著者はぼくと同い年、新書との出会いから始まる。
ぼくが新書に出会ったのは中学生の時、国語担任の先生
から戴いた『人間にとって科学とは何か』と、もう一冊、
湯川秀樹先生とどなたか(お名前を失念!)の対談集だった。
担任の先生は、ぼくの作文を高く評価してくれた。
おそらく教育上の方針から、わざと実際の実力以上に持ち上げ
てくれていたのだと思う。子供はそういうところは、実は敏感に
感じ取るものである。それでも、「期待にこたえなければ」と
がんばったのだから、先生はさすがお見通しだったのだ。

『科学』のほうは、たしか、だれか外国人(ロシア人だった
か?)が著者だった。中学生には難しかったが、しかし、
「知」の世界にはこんな光り輝くものが待っているのだよ、
早くこちらにおいで、と言ってくれているような、非常に
刺激的な体験だった。

新書をがんがん買い出したのは大学生になってからだから
77年以降になる。坪内氏と重なる。彼が読んだ本もかなり
ぼくと重なっているので、読み方が似ているところでは
嬉しくなるし、違う読み方は、「ほう、こんな捉え方も
あるのか」と面白い。渡辺昇一氏『知的生活の方法』で
坪内氏が「ざらつき」を感じた箇所はぼくも同じくざら
ついたので、非常に親近感をもつことができた。

いつか自分も、このように、読書ノートを書くことが
できたら、きっと楽しい仕事になるだろうなあ。
でも、難しいかもしれない。なぜなら、ぼくは本を
どんどん捨てるので、手元に残っていないからだ(笑)。

 

2003年08月30日(土)
Bスクェア

阪本塾卒業生の倶楽部活動『軽音楽部』バンド「Bスクェア」
初顔合わせ。ブルースハープ、キィボード、ベース、ギター、
Didjeridu(オーストラリアのアボリジニの笛)、ボンゴ、
パンディロ、タンバリン、ギター、バイオリン、がこの
バンドの手持ち楽器だ。はてさてどんな音になるのやら、
とりあえず、今日は第一回目の音出し。

学問所開設お祝いパーティで披露しようということ
になっているので、リハーサル期間は二ヶ月しかない。
かつ、みんな忙しい。リハーサルは土日のどちらかを
使うほかなく、各自手帳とにらめっこで、リハ日程を
8日、確保した。それにしても8日「しか」リハできないの
である。人生劇場の場合、全員が自由業なので、やろうと
思えば平日の昼間でも可能だが、Bスクェアではぼくを
除く全員まっとうな会社勤めの身、そうはいかない。
とりあえず今日は課題曲と各自のだいたいのパートを決め
るにとどまった。次回実際に音を寄せてみると、いろいろ新しい
課題が出てくるだろう。スタジオ受付のスタッフが「あれ?
今日は違う(バンド)んですね」と驚く。たしかに「浮気」
の気分である(笑)。

明日は学問所開設お祝いパーティのプロジェクトメンバー
と打ち合わせ。いよいよ学問所が前進を始めた。
気持ちが引き締まる。

 

2003年08月29日(金)
認識の面白さ

友人がアレルギー反応検査をしたとき、「あなた、
アルコールに弱い体質ですね」と言われた。
それ以来、酒が一滴も飲めなくなった。それまで
は、強くないまでも、たしなむ程度は飲んでいたのに。

ストレスを感じたとき、日本人はたいてい胃が痛くなる。
米国人は頭痛だ。
フランス人は背中が痛くなる。
オランダ人は腕が痛くなる。

聞いた話だが、「肩こり」を知らない外国人に「肩こり」
という言葉を教えると、肩こりに悩むようになったという。

人間の認識能力とは、かくも面白い。

 

Kei Sakamoto |株式会社JOYWOW