椰子の実日記【JOYWOW】
2003年08月23日(土)
y=ax
養老孟司教授の著作から非常に強い示唆を戴いた。
事実とは何か、情報とは何か。 何かfactがあったとする。同じようにそのfactを inputしても、outputは人によって違う。人のみならず 生物によって違う。ここでは何をもってfactとするか、 の議論はおいておく。信号と言い換えても良い。
たとえば、珈琲店の店先でよい香りがしたら、人間 であれば「おお、いい香り、ちょっと寄って行こうか」 となるが、犬猫なら知らん顔である。
inputされるfactをxとすれば、動物の脳(身体)に 入ると、そこに何らかの係数aが関わり、「ax」となる。 これがoutput。問題は、この「a」である。 ブランド論における「ポジショニング」はまさにこの 「a」に向けてのメッセージ発信であって、「とんがり」 はこのためにある。 「affinity」も、「a」に関わる活動だ。
一方、aは文化や言語活動、社会規範によって左右され ているので、たとえばぼくは自分の著作『スロビ』の ハングル語版を読んでも、「a=ハングル」が自分の 中にないので、原作は自分でありながら、「a=0」 だから、積「ax」はゼロ、という結果になる。
話せばとても長くなるのだが、詳細はいずれSurfin'で 続けよう。
2003年08月22日(金)
ダサい
久しぶりに太陽が顔を出してくれたので、海辺に出かけた。 限りある日光を慈しむ気持ちは北欧の人みたいである。 木曜日(昨日のことなので)午後、足の裏に砂の感触を 感じながら歩くことのできる幸せをしみじみ感じた。
夜、テレビを見ていたら、某デベロッパーの提供で、 その会社が経営するビルに入居しているコンサルティング 会社の女性スタッフが「セレブ」として紹介 されていた。サテンだかタイシルクだかの高級そうな スーツを着て、きれいなオフィスで仕事する。 休日には東京湾をクルーズして、甲板でグラスを傾け る。これが「セレブ」の生活! というわけだ。
ダサい。
お金にあかしてクルーズしたり高級オフィスにいたり 高級スーツを着たりするより、砂浜で海をのんびり 見ているほうが、よほど楽しいと思うのだが、まあ 人、それぞれだからなあ。少なくとも、ぼくには ダサく、果てなく貧乏臭く見えた。
2003年08月21日(木)
スモールビジネスだからこそ、コンプライアンス
スモールビジネスにとって一番重要なことは何か。 顧客の情報を漏らさない、ということだ。 オンライン・ショッピングでは顧客情報のかなり 深いところまで店側は入手することになる。 カード番号、住所、推測すれば家族構成や名前、 年齢までわかる。カード番号の流出による不正は インターネット上で流れる情報をハッカーが途中で 盗むことより、店員や社員がこっそりあらぬ ところに販売したり自分で不正に使ったりする ことのほうが圧倒的に多い。ある統計ではカード 情報漏洩の95%が社員によるものという。
スモールビジネスだからこそ、コンプライアンス 経営をしっかりやれ、とは起業家に常にアドバイス していることだ。大企業は、たとえ不祥事があっても 生き延びることができる。しかし、スモールビジネス の場合は、一つ何かあったら、それでアウトだ。 そして、経営者は家屋敷を抵当に入れたりしている から、個人としての人生そのものもアウトになってしまう。
スモールビジネスだからこそのコンプライアンス。 affinityを蓄積するのは時間がかかるが、 失うのはたった一本のメール、たった一言の 間違った言葉の使い方だ。くれぐれもご用心。
2003年08月20日(水)
空を舞うパフォーマンスin vain
渋谷を歩いていたら人の顔がみな上を見ている。 「あ。あれは何だ。鳥だ、飛行機だ、いや、スーパー マンだ」のノリで、皆、同じ方向の上を見ている。 何だなんだと見たら、ビル屋上の看板に人が二人 垂直にぶらさがり、サッカーをやっていた。 要するに、広告パフォーマンスである。 暑いのに、ご苦労さん。あれでいくらもらうのだろうか。
「観客」たちは一様に携帯のカメラを向ける例の ポーズを取っている。距離を置いて見ると、 一種の宗教儀式みたいで、不気味である。 十代とおぼしき女学生たちが「キャー、何あれ」 と騒いでいたが、基本的にはみな、だまって 携帯を向ける。繰り返す。不気味である。
ぼくのマーケティング理論でいうと広告の三原則は 「達・親・測」である。
達:広告メッセージを伝えたいターゲットに達すること ができているか? 親:「親しみ」(affinity/まいど)が積みあがる内容か? 測:結果を測定できるか?
さて、あの広告パフォーマンス、上記の三つを満たしている だろうか。
残念ながら、答はノーである。そもそもぼくは、どこの 企業の広告だったか、忘れてしまっている。 金をドブに捨てる、とは、こういうことを言う。
2003年08月19日(火)
一度、めしでも
独立したばかりの頃はよく騙された。
E社社長秘書からメールがきて、『ブランド・マインドセット』 を読んだ社長がいたく感激し、是非弊社のブランド戦略の コンサルをお願いしたい。当時ニューヨークに住んでいたの で、日本に出張の折、わざわざ大阪・淀屋橋のE社へ出向き、 社長と面談した。
「いやー。いいお話でした。おつかれさまです」
E社製品のマウスとパソコン鞄を土産に渡され、それで 終わり、である。「また連絡します」とあったが、4年 たったいまだに連絡はない。
M通信。ここも5人ほど出てきて、なんだかんだと自社の 悩みを聞き、話した。「すばらしいお話をありがとう ございます。またご連絡します」その後2年になる。
R社社長室。「晩飯でも」とプロジェクトメンバー全員と 食事し、悩みをきき、アドバイスして、おわり。
ソフトを売る会社を独立・創業する人へ、はなむけ として必ず言う助言は、「一度めしでも」「コンサルを お願いしたいので一度顔合わせでも」というオファには 必ず課金せよ、だ。これは自分自身の苦い経験から きている。
それにしても、ここにあげた三社、いずれも大阪の 会社である。概して日本人はソフトに価値を見出さない が、大阪は特にその傾向が強いようである。 同じ関西人として、残念だ。
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