『思考の整理学』(著:外山滋比古)ちくま文庫 より
グライダー人間 VS 飛行機人間
グライダー人間は綺麗に飛ぶことができる。 ただし、飛び立つには引っ張ってもらわなければならない。
飛行機人間も綺麗に飛ぶことができる。 ただし、飛び立つのも自分の力でできる。
与えられた枠の中で物事をこなすことは出来ても、 枠を作り出す発想力や行動力に欠ける人間は多い。
あなたはグライダー人間か? それとも飛行機人間か?
俺は昔から人間は「自分勝手」で「自己中心的」だ、それを認めないと相手のことを思いやることなどできない。見せかけの思いやりを目の辺りにすると、無性にむかつくといいつづけてきた。
だが、ここで俺は言葉の選択を間違えていたと思う。
やはり「自分勝手」「自己中心的」ではうまく俺の言いたいことが表現されていない。俺は、勝手で人に迷惑をかけようといっているのはないし、自己中心的で自分さえ良ければ他人は良くなくてもいいなんても思っていない。
俺は、自分が自分であることを意識し、自分の気持ちを素直に受け入れられる自分であること。人に気に入られる前に、自分が気に入る自分であること。そういった意味で言ってきた。
最近読んだ本の中にこれをうまく表現してくれる言葉に出会った。
「自分本位」
■[本位]の大辞林第二版から
ほんい ―ゐ 【本位】 (1)考えや行動などの基本になるもの。基準になるもの。「国民経済を―とした政治」「自分―にものを考える」 (2)貨幣制度の基準。「金―」 (3)もとの位置。もとの位。「―に復する」 (4)勲位に対して普通の位。文位。「又―ある人、これを兼ねたるも有るべし/正統記(後醍醐)」
■[勝手]の大辞林第二版から
かって 【勝手】
(名・形動)[文]ナリ
(名) (1)台所。「―道具」 (2)様子。事情。「―がわからずまごつく」 (3)便利。便宜。「―の悪い家」「使い―がよい」 (4)生計。家計。暮らし向き。「―が苦しい」 (5)弓を射る時、弦を引く方の手。右手。⇔おし手[日葡] (名・形動)[文]ナリ 自分に都合のよいように振る舞う・こと(さま)。わがまま。「―なことを言う」「―に他人の物を使う」「―にしろ」「―は許さない」 [派生] ――さ(名) ――が違・う
慣れないことで様子がわからず、具合が悪い。面くらう。 ――な熱を吹・く
いい気になって、言いたい放題なことを言う。「てんでに―・く」
俺は自分本位に生きる。
的を射るために集中する。
精神を統一して、弓を引く。
力は強すぎず、弱すぎず。
動作は速すぎず、遅すぎず。
足はしっかりと地を踏みしめ。
矢が飛んで行くであろう軌跡を思い浮かべる。
落ち着いた精神の中に、一瞬の決断。
矢が飛ぶ。
後は自分の力ではどうにもできない。
その場で出来ることはやり尽くした。
矢が弧を描く。
瞬間の感触で全てを感じる。
そこから次へのステップは始まる。
矢が的を射ぬく。
的をはずそうが、命中しようが、そこに結果はある。
一瞬の決断がなければ命中もしなければ、はずれもしない。
結果よりもプロセスを。
それは単なる評価の対象ではない。
そのものが目的なのだ。
的を射よ。
射つづけよ。
人生を。
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