Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2009年12月23日(水) |
『それでも子どもは減っていく』 本田和子 ちくま新書 2009 |
テレビで子どもの貧困が特集されてた。21日の夜だったかな。 給食しか食べられない子ども。朝食なし、夕食なし。まいにちしんどい、と、子どもの文字。
『それでも子どもは減っていく』 本田和子 ちくま新書 2009 ■ これまでの少子化論を俯瞰しつつ、歴史的な事実を織り交ぜつつ「母性」と「子ども」の既成概念を揺らがせる論述が見事だ。本田和子(ほんだますこ)さんは31年生まれの第一人者だ■ メモっときたいのは3点。 18世紀のパリでは21000人の子どもが生まれ、母親に育てられたのは1000人。大半が里子に出されたり乳母に育てられ、なおかつ当時は高い乳幼児死亡率であり、多くの子どもは母親と再会できずに短い生を終えていた。 1901年(明治34年)に東京市が行った「職業別の最低年齢」では、「紙巻煙草巻」「藁縄」「足袋甲馳(こはぜ)縁嵌」の三種は満五歳児が従事していると報告されている。 ユニセフが2007年に調査した「30さいになったころ高い技術や資格の要る職業に就きたいとは思わない15さいの比率」という調査では日本がタントツの50.3%(28カ国調査中最下位)。アメリカ14.4%、イギリス35.3%、フランス41.2%。 おれの両親の世代は兄弟が7にんとか9にんとかだし、おれは2にんから4にんくらいだし、今の若いひとは0にんから3にんくらいか? これからの少ない子どもは、彼らなりの価値観とか政治体制とかでおれの想像つかない日本を作るんだろうな。
『満州「被差別部落」移民 あの南天の木はまだあるか』 麻野涼著 彩流社2007 ■ 日米開戦したあとにも被差別部落民が満州移民という夢に動員されていってた。集団自決に終わる彼らの運命。それはもうヤンガルバレクECMが音楽を担った映画『ジャーニー・オブ・ホープ』みたいな物語だ。つい最近の日本だって国策だか笑顔の帝国主義だかで派遣労働者法案が成立して新しい労働者層ができて毎年の自殺者がほぼ1万人増えて毎年3万人が自殺している。小説としては、どうなんでしょ、リアルな記述は史実に基づいているからで、エンディングはだから現在も抵抗しなきゃならんのよおれたちは的なもので良かとね。60年代のフリージャズを熱くなって聴く、に、似ている。おれはね、子どもに対する想いの一点で泣けた。
この2さつを交互に読むなんとも不思議な一夜でした。
『ロンバルディア遠景』諏訪哲史著、 『ジャック・デロシュの日記―隠されたホロコースト (海外文学コレクション)』ジャン・モラ著、 読んでしまいましたが、なんじゃいこりゃ!と図書館の床に叩きつけたくなった2さつ。
2009年12月22日(火) |
『Apti / Rudresh Mahanthappa’s Indo-Pak Coalition』 |
もうおいらCD買わない!いやCD買えない、と、宣言していた翌日にディスクユニオン新宿店になんぞ行ったこと。 半分後悔しています。コニッツ入りヤコブ・ブロは買って良かったんだけど。
『Apti / Rudresh Mahanthappa’s Indo-Pak Coalition』 (innova 709) 2008 1曲目のアルトサックスの出だしのトーンにのけぞる。「いったいナニをしようとするのだ?」この音程のたどりは強力に魅惑的。 しかし、サックスのコントロール能力ががさつというか解像度低し、かなしきかな。 じき、タブラとギターが入ってきて、(あ、なんだインド音楽とのジャズか・・・)と枠組みがわかってしまうと、じつに不自由な旋律運動でしかないもので、このインド系アメリカ人のサックス奏者のふたつのアイデンティティの相克を想像してみたりもするが、つまんないものはつまんない。 ECMにもこういうのあったな、ガルバレク、マクラフリン、ザキール・フセインの『Making Music』だな、これは演奏力自体で音楽は高度に支えられている今聴いても楽しめる名盤だと思う。それに比べると、まず下手、そして一本調子。 ずいぶん評価高くない?>■
はー。こゆのに2000えんなにがしを支払ったかと思うと、じつにめげる。
2009年12月21日(月) |
ヤコブ・ブロの新譜『Balladeering』 |
日記再開。 日記でも書いておかないとおれは生きていなかったことになるみたいだぜベイビイ。 この3週間、微熱と断続的な倦怠感、それになによりも「ごほごほせき」と「たん」の発作!で、いよいよ初老チューニングかよ。 気管支炎、肺炎のうたがい、はいがん、とにかくタバコが吸えないと音楽が聴こえないんだからさ、たのむよ。
月光茶房でエイハブ船長とお月さまと3にんでCDやLPをかけまくっていたら コニッツの入ったヤコブ・ブロの新譜『Balladeering』なんてのに出会ってしまう! コニッツって何歳だい?27年生まれ!スタン・ゲッツとジョー・マネリと同じ生年!82さいですって? タイコのモチアン31年生まれ、78さい。
ここ20年というものはポール・モチアンが拓いたフィールドで、共演を通じて若手がどんどん化けていってて、 この浮遊するタイム感覚、即興の可変領域の複次元化、個の生成・成長・消滅を含んだサウンド色彩・図式の多様、 なんてフレーズがするすると書いてしまうような雲のような状態のもの:クラウド・コンピューター、 瞬時瞬時にプレイヤーが持ち込む体臭なり言語なり引用なり雰囲気なり態度なり現代性なりに 聴く者がふらふらになってしまう事態というのが「ジャズの特別な価値」であったりするのではないだろうか。
Jazz Tokyoの年間ベストが発表された。おれが『ニューヨークデイズ』を挙げておかないと誰も挙げないだろ。 今村さんが『カートグラフィー』を挙げている。そうだよ、これがあるんだったら、おれもこれだ。
品川の長女と三鷹の長男を連れて武蔵小山温泉へ行く。中華料理屋でレバニラ定食をたべる。 シーサイド品川のジャスコでみかんや食料品の買い物をする。 長女にピンクのトミーフィルフィガーの腕時計とセラミックくだものナイフとルミネの防寒くつした。
ディスクユニオン新宿店に行くと怪人四浦兄が「これからアルトかもしれませんぜ」とおすすめCDを出してくる。 まー30年も通っているとおいらが喜びそうなアイテムをするすると出される境地になるもので、さすがプロだなあ。 トニーマラビーのクリーンフィールドの新譜はまだ入荷してないとのこと。
コンポスト編集長益子博之さんのNYシーンを紹介する講演@四谷いーぐるは 1月16日(土)に決定したとの報せを受ける。現代ジャズを受信する最大の情報源である氏の講演は聴き逃せない。
2009年12月20日(日) |
ターナーとコニッツのクインテット! |
ターナーとコニッツのクインテット!が、NYイリジウム・ジャズ・クラブで12月17日〜21日で公演という。
Lee Konitz/Mark Turner Quintet with Ethan Iverson, Ben Street and Albert 'Tootie' Heath ■
そりゃ、あるわな・・・なんて冷静でなんていられるかい! たのむスタジオ録音なんてしなくていいから、そのライブ、DATで録ってそのままリリースしておくれ!
ベン・ストリートというベース奏者はお月さまに教わって、とりあえずマークしなければと思っていました。 あ、アルバート・ヒースって、こ、この伝説のドラマー?■、31ねん生まれ!
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ハインツ・ホリガーと仲間たち、スイス・チェンバー・ソロイスツ■ なんて公演が水戸であります。
エリアーデ幻想小説全集 第1巻 1936−1955 ソラリス(スタニスワフ・レムコレクション) 妻と僕−寓話と化す我らの死− 西部邁 鳴滝日記・道−岡部伊都子随筆集−(講談社文芸文庫 おS2) 晩年のスタイル エドワード・W.サイード 大橋洋一
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