Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2009年09月26日(土) ヤロン・ヘルマンがそんなにいいのか。

“新しいピアニズムとの出会い。キース・ジャレット、ブラッド・メルドー そして・・・未来は唐突に訪れる。ヤロン・ヘルマン・デビュー。”
とかいって。去年からこのフレーズが踊るチラシがクラシック公演会場のチラシたばに紛れているのにイライラしてたんだ。
名刺代わりの低価格設定千円CDが5000枚売れたという。
ECMファンならぜったいハマるだと?なめられたもんだな。

Yaron Herman Trio - Coutances - Army of Me

おれに言わせればこんなのパットメセニーを聴いてた若者がその和音的展開の涼しさってものを引っ張ってきて、
・・・核心となる音はフレーズともいえないフレーズの一音目に持ってきただけの、

こういうたぐいの演奏はふつー、婦女子だましのジャニーズ手法であって、見識のある演奏家ならはずかしくてできねーもんだろ。
こういうのは明星平凡の表紙でにこっと笑ってなんぼの世界でやってくれ。

ジャズはカッコよくなきゃいかん。マンダム、オトコの世界だ。武士道だ。殺気だ。

クラシック・ファンにジャズがなめられるのはこういうことの積み重ねなんだよ。おいらご立腹。


2009年09月25日(金) Tony Malaby's PALOMA RECIO: "Obambo"

最初の数音でマラビーがわかるだろ。どんな力量、ヴァリエーション、いわば懐の深さ。格闘家ならそれくらい見切らないといけない。

Tony Malaby's PALOMA RECIO: "Obambo" 

Tony Malaby's TAMARINDO 

Stéphane Kerecki Trio Feat. Tony Malaby - "Pour J-F" 

Paul Motian & The Electric Bebop Band - Holiday For Strings - Chivas Jazz Festival - SP – 2003 


2009年09月23日(水) ヘンデル没後250周年記念公演 オペラ 《オットーネ》

ヘンデル没後250周年記念公演 
オペラ 《オットーネ》 日本ヘンデル協会コンサート・シリーズ vol.4 
北とぴあ・さくらホール 

指揮・チェンバロ:ローレンス・カミングズ 
ザ・ヘンデル・インスティテュート・ジャパン・オーケストラ 

ヘンデルに溺れる。古楽のオーケストラがステージの中央。序曲が奏でられるあいだに。響き渡った即座に、このアンサンブルを統率するチェンバロ奏者ローレンス・カミングズの圧倒的なこの音楽に対する見識の揺るがぬ深さといったものを感得する。それは、ワタシがこの演奏を鑑賞するという現象から、ワタシは即座にこのヘンデルの音楽に投げ込まれたという様相だった。

アンサンブルの響きの中庸。アンティーク家具を思わせるたたずまい。キンキンに磨き上げられた響きとか荘厳な揺るぎない響きとか、かくある表現なりを押し付けられるうっとうしさがない。ついうっとりと聴き入って数十秒の時間なのに、わたしは42年まえ小学1年生のときの木造校舎を思い出し、校舎のはずれにあった低学年用の広いトイレのコンクリートの肌触りや陽のあたる窓からどのような気持ちで外を眺めていたのか、(ぼくはおとなになってもこのけしきをおぼえているのかな)と思ったそのことを思い出していた。なんだ?この体験は。ヘンデルの音楽ってなにかひとの意識や記憶の深いところに届くちからがあるのだろうか?

チェンバロが向かい合わせになったアンサンブル、指揮をしながらチェンバロを弾くカミングスは上半身と頭の動きでヘンデルの音楽を揺らしている。このアンサンブルの一員となって奏でている心境とはどのようなものだろう。聴く者も、アンサンブルも。指揮者も。ヘンデルの音楽の下にいる。音楽はわたしたちを鳴らしている。

ヘンデルはメサイアや水上の音楽くらいしか知らないが。たしかジャレットも一時「ヘンデルは過小評価されている」と言っていた。

日本ヘンデル協会は没後250年のヘンデルイヤーの今年、この公演と、翻訳本を企画していたようです。
《ヘンデル ─ 創造のダイナミズム》 Cambridge Companion to Handel
(ドナルド・バロウズ編)の日本語版です。
藤江効子・小林裕子・三ヶ尻正 共訳 春秋社から7月末出版 A5上装 628ページ \5500+税

この公演も、アンサンブルの演奏だけをじっくり聴いてしまいました。

オペラの演出は、アンサンブルを囲むように設置された板箱の上を配役が衣装をまとって登場するのですが、配役が歩くたびに足元がギシギシと音をたてて、観る者はさくらホールの上で行われている意識から演劇世界になかなか飛翔しませんでした。


2009年09月22日(火) マラビーってこんな化け物みたいになっていたのかい!



おいおい。HMVさんよ。トニー・マラビーが入荷しないなら早く言ってくれよ、って、言われてたのか、おれ。

トニー・マラビーの名まえは10ねんまえに座間さんから45かいぐらい聞かされていたのだった。たしかえらく感動したCDもあった気がする。

You Tubeで最近のマラビーの動画を観た。おれ、マラビーって、初めて姿を見たし。
まじ、圧倒された!ぜんぜんCD追っかけてなかったよ!マラビーってこんな化け物みたいになっていたのかい!

そんで2002年6月にポール・モチアン&ジ・エレクトリック・ビバップ・バンドの『ホリディ・フォー・ストリングス』の国内盤ライナーを、こう締めくって書いていたのをさっき思い出した。

「さて、これまでヨーロッパへのツアーが多かったEBBBであるが、今年(2002年)2月22日にNYのニッティング・ファクトリーで、ほぼ売り切れ状態の熱狂的な観客の前でライヴを行った。ここではサックス陣がピエトロ・トノーノ(イタリア在住のためか?)に代わってトニー・マラビーが出演し、EBBBを牽引するような強烈な演奏で観客を圧倒したと伝えられている。本CDが記録した、誰かが独走したとたんにバランスを崩してしまう危うさは、どう変化しているのか。音楽は瞬間的なものであり、EBBBの次なる展開に思いを馳せることにしよう。」

コンポストの益子編集長のレビューを読んでHMVに注文を出しておいたのに。アマゾンをチェックすると在庫なしで出品者が3500えんも吹っかけていたりする。ディスクユニオン新宿店に電話する。トニー・マラビーだよ。最新作だよ。在庫をチェックしてくるだと?おまえらジャズでメシ食ってて即答できないのかよ。ないのか。いつ入るんだ。入ったら連絡よこせよ。予約だよ。そうそう。電話番号は。ぜったい電話しろよ。

ユニオンの通販サイトでサンプル音源が一部聴けた。いい!さいこーだぜ。


2009年09月21日(月) ライブ告知 沖 至(tp) vs アクセル・ドナー(tp) @白楽ビッチェズブリュー

音楽は次の日を迎えるための出来事。

杉田誠一が編集していたジャズJazz誌のバックナンバーで70年代を追体験したりするのもよいと思います。若いジャズファンのみなさま。
創刊号の表紙は富樫雅彦だったのか。
あ!杉田さんのブログなんてある。
リロイ・ジョーンズのコトバなんだ。「変わっていく同じもの(changing same)」というのは。
「ジャズはジャズを超えることでしかジャズたりえないわけ。」

杉田さんのお店のライブ告知です。

9月29日(火) 19:30 3,000円 東横線「白楽」下車5分@・BITCHES BREWビッチェズブリュー
※東横線白楽駅下車4分、六角橋商店街の坂下りパチンコ屋ガイヤの路地を左曲がる。うす明かりが点いていたら営業中。
西神奈川3-152-1プリーメンシャンオータ101
沖 至(tp) vs アクセル・ドナー(tp)
沖 至 from Paris、アクセル・ドナー from Berlin

スタンダードなトランペットの他に、ドナーが沖さんに制作依頼したユニークなラッパも吹くそうです。

現地でも滅多に(あるいは世界初演?)聴くことのできないコンビです。ドナーについては横井さんのコラムに頻出する、現在、ヨーロッパ随一のトランペット奏者です。アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハと高瀬アキさんのベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラで初来日しました。

おいらははずせない仕事があって行けないですが。
世界的レベルのトランペット2台によるインプロヴィゼーション。
なかなか聴ける機会はないと思います。


2009年09月19日(土) 『ジョー・マネリとハットロジー』



なんだこのイベントは!

『ジョー・マネリとハットロジー』  
日時9月 20日 (日), 14:00 〜 17:00 
『ジョー・マネリとハットロジー』   Modalbeats総力特集1   
ホスト 一級建築士 吉岡剛秀氏   
13:30開場/14:00開演  17:00終了予定   会費 1000円(2ドリンクオーダー)

四谷三丁目でこのようなイベントが。
以前から計画されていたとのことだが、はからずも追悼特集になってしまった。


渋谷メアリーでお月様におそわった。


2009年09月13日(日) ケマル・ゲキチ、スフィアン・スティーヴンス、大友良英



そういえばぜんぜん書いていなかったけど、さ、6月の終わりから、夏を過ぎても、今日も。

スフィアン・スティーヴンスSufjan Stevensの「カモン・イン・イリノイCome On! Feel the Illinoise!」が
ぼくのヒットチャートの1位を独走しているんだ。
(やっぱりきみもそう?なんてパソコンにつぶやいている富山の、そうだなあ、能登半島の上のほうに住んでいるアナタ、と、ぼくに、短波ラジオはつながるようだけど)

つまり、いま、立ちっぱなしの12時間労働なんかでへたへたになっている、
ワーキングプア階級のぼく、48光年。

週1の休みの日曜日に夜勤明けでお風呂で温まって10時間くらい眠って、ネットで大相撲初日と阪神と楽天の結果をチェックして、テレビをつけて作曲家・西村朗の解説でオッリ・ムストネンが指揮するシベリウス『交響曲第6番』を聴いてディズニーのアニメの世界を空耳して、光が丘公園のお風呂の王様へ行ってゆっくり高濃度炭酸泉と電気風呂、ああ、身体を持っているのってだるいなあ、くびからうえだけあればいいよ、なんて思いながらじぶんでマッサージしてすこしアタマへの血の流れが快調になったところで。

大友良英『Guitar Solo』
このギター・ソロ・アルバムに感動してしまって。何を書いたらいい?おいら、即興系の作品にはもう感動することはないんじゃないかと思っていたよ。デレクベイリーの『Notes』(incus)のLPをターンテーブルに乗せて動けなくなってしまった20年まえ、それ以来ぶり。1・2曲目ですでに泣けてしまっている。なんて自由になっているのだ?即興の新しいフェイズについてはPeter Niklas Wilsonが論文書いていたはずだ。おれはもう忘れた。どっかに和訳がないのか。英国即興主義を基盤とするインプロヴァイザーの暗黙の矜持みたいな演奏・聴取の作法が伝統芸能化していたのをおれはわかるのに数年かかったが。大友こそが革命家だったのだ。それはわかっていたのだけど、コレだ!とおいらが名指せる作品はこれだ。「ムード・インディゴ」の追加収録と曲順にも正しさと制作者の慧眼を見る思い。終曲「ロンリー・ウーマン」のエピソードにも。こういう奇跡のような音楽に出会えた今日。おやこれは、2005年発売・・・の、廃盤のようですが。おお、ダウトのカタログ1番なのか。すげーな。それがわかるおれもすげーな。即興の音楽史に載せなければならない作品。

6月のケマル・ゲキチのピアノの記憶と、スフィアン・スティーヴンスの「カモン・イン・イリノイ」と、大友良英ギター・ソロ。


2009年09月08日(火) 「砧」「羽衣」 観世寿夫 至花の二曲(2枚組)

あな、おそろしや。おそるべきCD復刻がなったものだ。

「砧」は、浮気をした夫を恨んで死んでしまう妻の亡霊が夫に呼び出される・・・。

秋の夜長。

つづみの打音。笛。はやしの声。

漂って聴いているうちによだれが出てきた。あしたしごとやすんじゃおかな。






2009年09月07日(月) 編集CDR 『 渚 』 20090816



法蔵館の仏教音楽辞典に付属しているCDで、ベストトラックを発見したぜ。
この金属音の叩き。

編集CDR 『 渚 』 20090816
01. Variation On W.Shorter / Miroslav Vitous 2009
02. A Road To South Dakota / All Night All Right Off White Boogie Band 1989
03. 云何唄・散華(曼荼羅供) / 大阪真言声明研究会 (7:27)
04. City City City / Derek Bailey, George Lewis, John Zorn from “Yankees” 1982
05. Harvest / Neil Young 1972
06. 小さな恋のメロディ / Blankey Jet City 1998
07. 僕は泣いちっち / あがた森魚
08. 東京の屋根の下 / 灰田勝彦 1949
09. Wake Up Dead Man / Maria Joan 2002
10. 渚  
11. 旅人 / スピッツ  1996

選曲としては露払いにどの曲を持ってくるか。ヴィトウス、プーさん。
あとの曲を何にするか。これはもう歴史的なヤンキースtrack1しかない!
すべてのトラックがつながって風景を作るのだな。
おれは即興選曲の神さまだな。


2009年09月06日(日) オレゴンのブログが開設されました!



オレコネさん!による、オレゴンのブログが開設されました!
みなさん、ぜひお気に入りに追加して定期巡回を願います。

ふ、深い・・・底なし沼のように。はじめて見るものばかりだし。
ラルフ・タウナー。
そいえば、おいらとハルさんでお台場へタウナーにインタビューしに行ったんだ。Musseeの記事、だれか持ってない?
あのテキストを復刻しとかないといけないよなあ。あれはヒットだったと思う。タウナーの謎に一瞬触れたんだ。


2009年09月05日(土) 12月6日(日)の山海塾「卵熱」公演のペア券を買ったので、こいちゃん、

東京丸の内までバティスト・トロティニョンBaptiste Trotignonを聴きに行って来た。さすがにひどい音響ではあったが。
3曲目の後半と4曲目のイントロ・ソロ部分にこのフランスのピアニストの才覚を聴いた。
マーク・ターナーを擁したクインテットで欧州ツアーをするこのトロティニョン、丁寧で真摯な音階の探求力は、相当なもんだろう。
技術的にはポスト・メルドウを聴き取ることが容易ではあるが、思考・指向はやはり一味もふた味も異なっているようだ。
このクインテットのライブ、期待の可能性は高いものとして想定しているが、はたしてそのライブは適切に録音されてわれわれの耳に届くことがあるだろうか。

本人のサイトのピクチャーズ>
でいくつか演奏が聴くことができます。左の段の上1・2番目がいいです。




12月6日(日)の山海塾「卵熱」公演のペア券を買ったので、こいちゃん、スケジュール空けといでください。


5月23日(土)に福島県いわき市で観てきた「卵熱」。
「葬式に出たときみたいに懐かしい。」
生死の未分化にある誕生しつつある意識が夢見たような風景があるとして(いや、それはたしかにあったのだ)、
それにかたちを与えたものとして山海塾の「卵熱」がある。

ワタシの生命は私個人の生のことではなかろう。おおきな生命の流れの中の、たまたま北海道砂川市で生まれ、日本語を話し、たまたまこの文化環境で生命維持活動をしている一形態に過ぎないという意識。無限の不自由さを自覚するあきらめ、と、そこから見渡す花鳥風月の立ち上がり。「卵熱」を観たあとに、確かに知っていたことではあったことを、わたしはもう一度知覚させられる。

そういうものであるとはつゆ知らずに観たいわきでの「卵熱」であったから。
そういう彼岸のものを告知するのが芸術だとおれは思う。

スピッツの「渚」のタイコの響き方にビーチボーイズの『ペットサウンズ』を連想したり、シャッグスが響いたり、
ジョーミークの胎内を自覚したり、スタンゲッツのトーン自体、タケミツトーン、
マークターナーの下降する刹那や。


Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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