Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2006年07月31日(月) 下河辺美知子著『トラウマの声を聞く 共同体の記憶と歴史の未来』(みすず書房)



昨年の高野山参詣。

偶然にアメイジング・グレイスを弾いていたのだろうか。ぼくは45さいになった。
「恋もキスもセクシーも 少し待って きみとぼくは そして DOWN DOWN DOWN そう思うだろう?」
Hくんから借りたヘビメタのチャリティCDのケースに一緒に入っていた誰かの個人的な編集CDRでパット・メセニーの曲に出会った。
「魔法のことば 二人だけにはわかる 夢見るとか そんな暇もないこの頃 思い出して おかしくてうれしくて また会えるよ 約束しなくても」

トラウマの記憶はわれわれを出来事の起きたその瞬間に立ちもどることを要求し続ける。(下河辺美知子)

下河辺美知子著『トラウマの声を聞く 共同体の記憶と歴史の未来』(みすず書房)を読んでいました。



敗戦当時12才だった日本は、東京大空襲、広島・長崎、というオトナのクールな視線で下されたジェノサイドを、21世紀になって大人になっても議論に乗せられない。

晩年のフロイトが死の淵で禁書覚悟で書いた『モーセと一神教』。ユダヤ教、ユダヤ人。
エジプト人だったモーセを虐殺したユダヤ民族としてのトラウマ構造の類似。

キリスト教。キリスト教というのは宗教の名ではなく、ヨーロッパやアメリカを動かしている、いや、ヨーロッパやアメリカそのものと言っていい、ひとつの人格。日本がアメリカの属州である、というより、すでにその人格の一部。

普段の生活の中で、理路、とか、約束(契約)、とか、フェアープレイとか、最大利益とか、リスクとか、考えとか、コンセプトとか、戦略だとか、合理的な説明とか、言うときに。すでにその人格が備わってしまっている自分だったりする。

したがって、こうして納豆としいたけのだしのみそ汁とかつおのたたきとなすときゅうりの漬物を食べるときに、
こんな考えかたしかできないぼくは、昔の日本人が味わっていた本来の味を味わえていない、という、のか。

え。養老天命反転地に行くのか?まじで?この暑いのに?
夏は海だろ、海水浴だろ。


2006年07月30日(日) 09. ダニー・ボーイ / 渋谷毅&森山威男 (2001)



09. ダニー・ボーイ / 渋谷毅&森山威男 (2001)
>日本音楽史の至宝・渋谷毅が弾く「ダニー・ボーイ」。このCD録音の報せを聞いたのは、芝浦で東京ザヴィヌルバッハのライブを待っている時だった。徳間ジャパンの福井亮司さん、この方はトリオ・レコード時代に栄光の「モダン・ミューザック・コレクション」というトレイシー・ソーンやホルガー・シューカイ、アネット・ピーコックと並べてスティーブ・ライヒ、エブリマン・バンド、メレディス・モンクなど(このあたりのラインナップはうるおぼえ・・・)を国内盤でリリースした(お、ここに記述あり!>)ことでECMファンやパンク世代には有名ですが、「すごい録音しちゃったー!」と。
「渋谷毅と森山威男がデュオぉ〜?音が想像できませんー」「いやー、それがねー・・・」。
この『しーそー』は芸術祭優秀賞(文化庁)とジャズ・ディスク大賞日本ジャズ賞(スイングジャーナル社)をダブル受賞。
歌伴をさせたら付け入る隙の完璧に無い渋谷さんのピアノ・ソロに!・・・な、なんと、森山威男が伴奏してしまっている驚異なのである。ど、どうやって渋谷さんの後ろで叩けるのか!断じて不可能!科学的には立証できないタイコでのバッキング!
こ、こんな演奏が、可能なのか。
ある意味、このありえなさに爆笑である。唖然である。そして奇跡である。そして感動である。


2006年07月29日(土) RVMM認定即興演奏家世界ランキング



「RVMM認定即興演奏家世界ランキング」1位は渋谷毅、2位ポール・ニルセン・ラブ、3位今井和雄、斎藤徹、5位ジョー・モリス、6位林栄一、7位ジョン・ブッチャー、8位ミシェル・ドネダ、9位ローレン・マザケイン・コナーズ、10位バリー・ガイ、11位フィリップ・ヴァクスマン、12位ポール・モチアン、13位ブルーノ・シュビヨン、14位クリスチャン・ムンデ、15位・・・あ、いけね、ジョー・マネリ入れるの忘れてた

05. Lonely (Amy's Theme) / The Lovin' Spoonful (1967)
>ジョン・セバスチャンが奏でる哀愁のハーモニカを聴く。グリニッジ・ヴィレッジの残り香がくすぐる(どゆ意味なの?)態度がキッチュでもあった短命4人組、という、ラヴィン・スプーンフル、ちゃんと聴きたいなあ

06. そして僕は途方に暮れる / 大沢誉志幸 (1985)
>ハナレグミ(永積タカシ・ながづみたかし)のカヴァーを聴いて、あらためて図書館を捜して音源ゲット。

07. Sick as a Dog
08. Nobody's Fault / Aerosmith (1976)
>ハード・ロック史上屈指の名盤『ロックス』、の、B面の1・2曲目。「バック・イン・ザ・サドル」「ホーム・トゥナイト」が聴きたくなっていてもたてもいられなくなる。LP時代はB面の1曲目というのは注目のポイントでした。今はCDで、A・B面がないのでさびしいです、あ、だからCDというのか・・・


2006年07月28日(金) 「伝えなくちゃいけないだろう?何よりも先に。燃えてゆくあの空が夜に消えて行く前に。」(綺麗な首飾り)



アンナー・ビルスマとケラー弦楽四重奏団の『J.S.バッハとクルタークの室内楽曲集』、これほしー!



平和台駅前ダイクマのポイントカード。行くだけで来店ポイント100円。4回まで来店ポイントが獲得できて、1000円以上買い物をすると、また4回の来店ポイント獲得権が復活する。つまり、1000円以上の買い物は実質400円引きになる。毎日通勤の途中に来店して、4日に1回1000円以上の買い物をするのだ。

報道ステーションの特集
『日系ドミニカ移民の悲劇 祖国に裏切られた50年』
こんな話があったのですねえ・・・。で、ドミニカ共和国って、どこにあるのー?あ、キューバの隣なのか。へええ。

そいえば。
92年に国際モーリス・ラヴェル賞に輝いたフランスの作曲家ベッツィー・ジョラスBetsey Jolas (1926 -) のCD、どこかにないですか?



1993年のブランキー。最高傑作アルバム『Metal Moon』で、浅井健一が歌ったとき。
「夕焼けの色が本当の世界の色だとしたら、すべての小さな子どもたちに、今すぐそのことを。
伝えなくちゃいけないだろう?何よりも先に。燃えてゆくあの空が夜に消えて行く前に。」(綺麗な首飾り)

90年代のJポップ。フリッパーズ、ブランキー、町田町蔵、スピッツ、ミスチル・・・、の、創作。

80年代後半にジョンゾーンやヘンリースレッギル、ペルト、シュニトケ、グバイドゥーリナあたりを世界音楽の最先端と妄想認知していたリスナーとしてのわたしは、たじろいだ。
95年だったか、ジョー・マネリとブノワ・デルベックの発見、そしてECM『the sea』を耳にしたことから、
「今すぐこのことを伝えなくちゃいけないだろう、何よりも先に。」という気持ちになったのだった。

それはまさに『LIFE』小沢健二、のような、スタートダッシュだったのだ。

「誰がこんなにしちゃったのかは知らないけれど、とにかく私は何のはずみか、たまたま現場に居合わせてしまった。居合わせた以上は、私がなんとかするしかない」と考える人たち(たとえ少数でも)を糾合して、とにかく手持ちの使える限りのリソースを動員して、できるかぎりのことをするしかない。」
と、内田樹さんは書いている。

ぼくは手持ちのリソースで編集CDRを作ることをするしかない。
で、それが何の意味があるのだ?・・・わからなくてもいいや。

編集CDR『ほうきぼし 恋もキスもセクシーも少しまってきみとぼくはそしてDOWNDOWNDOWNそう思うだろう?』CD1

01. 天国と白いピエロ / EGO-WRAPPIN' (2006)
>エゴラッピンはピンときたことがない。ジャズにつながっているとも思わない。音楽創作の基本能力が非常に安定した感じが、不安にさせたりスリルを感じさせたりしない。でも、この曲の完成度!仕上げの目配りに、そんなわたしの嗜好を塗り潰すちからを感じた。

02. 箒星 / Mr. Children (2006)
>環境設定の動線に従ってプログラムされていてもいいじゃないか、こうして体を動かしている快感。「でもねぼくらは未来の担い手 ひとのかたちしたひかり」、でもね、と、いう3文字が救いのない現実に強制リセットをかける。「箒星」はミスチルにとってのフリッパーズ・トリビュートである。DVDの主人公たちの身動きを見ると、これは「カメラ!カメラ!カメラ!」のミスチル版だ。歌詞の、大風呂敷で盗みに行く、という構図は、盗賊となるフリッパーズ「恋とマシンガン」にリンクする。フリッパーズ・ギターの登場でバンド活動に危機感を抱いた桜井くんが、渚ゆう子の「京都慕情」で旋律と叙情の優位を確信して研鑽し始める推進力を得たわけだけど、そういう感謝のオマージュをぼくは感じる。また、ミスチル史の主題変遷としては「旅人」を想起させるところがあり、こっちは“ふたり”になったんだねー。

03. Groove Tube / The Flippers Guitar (1991)
>CDRのサブテーマ(笑)「恋もキスもセクシーも少しまってきみとぼくはそしてDOWNDOWNDOWNそう思うだろう?」はこの曲の歌詞です。「グルチュ」とファンから呼称されるこの「グルーヴ・チューブ」、震える管、つうか、「さあ、グルーヴ・チューブを!」と彼女にねだるわけ。意味わかるよね。て、おれ、今回わかった。それでも、「少しまってきみとぼくは」と言うんだよね。言いたいんだよね。

04. 虹をわたって / 天地真理 (1972)
>「きれいな虹のことだけ言えば、わたしの想い、伝わるかしら」。うおおお、おれならわかるぞ、真理ちゃん!深いぞ。天地真理は初期アイドルとしては日本青少年に対して母親の原像である。麻丘めぐみは、西洋人形・メルヘンだな。アグネス・チャンは幼児プレイ・おむつごっこだな。南沙織はシンシアだな。どれもこれもエロくもなく、女性の匂いもしないではないか。日本歌謡史におけるアイドルの出現は、すべて畸形から始まっていたのか。Hitomiが登場するまで日本人はあと20年待たなければならなかったのである。


2006年07月27日(木) 『en-taxi』、「五感の採譜録 カントリー・ローズ・アンド・アザー・プレイシス」は必読



うおおー。海水浴に行きたいぞー。関越トンネル抜けて新潟・・・8月2・3日なら長岡の花火大会があるんだけどねー。

乙女心のけいまよ、D軸端点もわからんのか。4さいのときにマージャンといっしょに教えただろ。
・・・6月にはたまたま父の日に行ったのであって、7月はたまたまおれの誕生日に行ったのであって、他意なし。断じて他意なし!・・・父の日に、「父親の醍醐味を味わわせてやるー」とこぞって買い物攻撃をするのはやめてほしい。
なに、作家になりたいだと?作家とはなるものではない。作家は生まれつき作家なのだ。それ以外にはなれないのだ。
文芸雑誌『en-taxi』ぐらいは知ってるのか?

『en-taxi』、中山康樹さんの連載が面白い。
「五感の採譜録 カントリー・ローズ・アンド・アザー・プレイシス 〜白人ジャズ・ミュージシャンのもうひとつの系譜」
これ、ずばり、バートン、ジャレット、メセニー、ECMを斬って解明している。ここで論考される音源は、すべて聴いている。しかし、こうはつなげられなかった。ああ、そうかー、と、こうべを垂れる。数学コンテストで、あまりにも鮮やかな解法を見せつけられる思いがする。論考の枠組みをどうひらめいたのかはおおよそ実感できるけども、それは知ってしまったあと知恵で思うわけであって、この天才には追いつけない。

ぼくのこの日記は『DJ/佐久間駿・平岡正明(共著)』ではじめましたが、平岡正明の耳の存在感、これに匹敵する存在が中山康樹のアンテナである。数年前にはミュージクバード(東京FM)に出演する中山氏の発言におおいに感化されてました。耳の良さ、鋭さにかけては、この世代いちだと思います。

この記事を読む前に、ぐうぜん、カサンドラ・ウイルソンの「ウィチータ・ラインマン」ジムウェッブ作曲を選曲していたんだ。

これって、シンクロニシティ?

編集CDR『ほうきぼし 恋もキスもセクシーも少しまってきみとぼくはそしてDOWNDOWNDOWNそう思うだろう?』CD1
01. 天国と白いピエロ / EGO-WRAPPIN' (2006)
02. 箒星 / Mr. Children (2006)
03. Groove Tube / The Flippers Guitar (1991)
04. 虹をわたって / 天地真理 (1972)
05. Lonely (Amy's Theme) / The Lovin' Spoonful (1967)
06. そして僕は途方に暮れる / 大沢誉志幸 (1985)
07. Sick as a Dog
08. Nobody's Fault / Aerosmith (1976)
09. ダニー・ボーイ / 渋谷毅&森山威男 (2001)
10. ペルシアン・ラブ Persian Love / ホルガー・シューカイ Holger Czukay (1979)
11. Rainy Day Women #12 & 35 / Bob Dylan (1966)
12. Needle In The Hay / Elliot Smith (1995)

編集CDR『ほうきぼし 恋もキスもセクシーも少しまってきみとぼくはそしてDOWNDOWNDOWNそう思うだろう?』CD2
01. Riverbed / Ron Sexsmith (1999)
02. Don't Blame Me / Lennie Tristano (p), Billy Bauer (g), Tommy Potter (b)
03. Daybreak / Pat Metheny (1979)
04. 風に乗る船 / Salyu (2005)
05. Wichita Lineman (Jim Webb) / Cassandra Wilson (2002)
06. ヤード / Tokyo No.1 Soul Set (1996)
07. You Gatta Chance 〜ダンスで夏を抱きしめて〜 / 吉川晃司 (1985)
08. ウルトラQ - メインタイトル(M-1T2) (1966)
09. ウルトラQ -異世界への扉(M-119B) (1966)
10. Hourglass Part-2 / Keith Jarrett (1976)
11. Moonlight Serenade / Glenn Miller and His Orchestra

編集CDR『ほうきぼし 恋もキスもセクシーも少しまってきみとぼくはそしてDOWNDOWNDOWNそう思うだろう?』CD3
01. 月に帰る / スピッツ (1991)
02. Dedication 青春に捧げるメロディー / Bay City Rollers (1976)
03. Longing / Sigh Boat (2005)
04. ラヴェル:ヴァイオリンとピアノのための演奏会用狂詩曲〜ツィガーヌ / 庄司紗矢香 (2001)
05. Groove Tube part2 / The Flippers Guitar (1991)
06. Groove Tube / meg (2003)
07. Mojo Rising / Whit Dicky Quartet - Joe Morris (b), Rob Brown (as), Roy Campbell Jr. (t), Whit Dickey (d) (2004)
08. Appletree / Erykah Badu (1997)
09. Zhivago / Kurt Rosenwinkel w/ Mark Turner, Jeff Ballard, Ben Street (2001)
10. バランス / FLIP FLAP (1999)

うおお。小谷美紗子Trio(この表記は圧倒的に正しい!)のライブに行ったのかよー!
耳の仲間の元気ぶりに。おれも負けておれんね。


2006年07月26日(水) 編集CDR『ほうきぼし 恋もキスもセクシーも少しまってきみとぼくはそしてDOWNDOWNDOWNそう思うだろう?』CD3



境港にできた鬼太郎の石像だって。

電気でできている長女、乙女心でできている長男、ハッタリでできている次男、勢いでできている次女。元気か。

ぐーぐるまっぷで、通っていた天使幼稚園(北海道空知郡砂川市砂川天使幼稚園)の地図を見てうっとりするの。ここに井戸があって。ここに湧き水があっておふくろがせんたくをしていた!のだったな。砂川神社。うらの村山木材。このあたりで水あそびをしていた。ここに住んでいた。・・・夢のような時間。

3枚目だけアップ。
このねえ、選曲する、決定する瞬間、の、流れの読み、つーか、展開が確定してゆくときに、自分でも意識しなかった世界ができてるのねー、ほんと、驚くわけ、かー!ここでこうクルのかー!やばい、やばすぎー、って。やっぱ、ジャズ!

編集CDR『ほうきぼし 恋もキスもセクシーも少しまってきみとぼくはそしてDOWNDOWNDOWNそう思うだろう?』CD3
01. 月に帰る / スピッツ (1991)
02. Dedication 青春に捧げるメロディー / Bay City Rollers (1976)
03. Longing / Sigh Boat (2005)
04. ラヴェル:ヴァイオリンとピアノのための演奏会用狂詩曲〜ツィガーヌ / 庄司紗矢香 (2001)
05. Groove Tube part2 / The Flippers Guitar (1991)
06. Groove Tube / meg (2003)
07. Mojo Rising / Whit Dicky Quartet - Joe Morris (b), Rob Brown (as), Roy Campbell Jr. (t), Whit Dickey (d) (2004)
08. Appletree / Erykah Badu (1997)
09. Zhivago / Kurt Rosenwinkel w/ Mark Turner, Jeff Ballard, Ben Street (2001)
10. バランス / FLIP FLAP (1999)

ウィット・ディッキー・カルテットはね、ジョー・モリスがベースなんすよ、ウイリアム・パーカーばりではないけど重くて硬いんだわ、きゃーステキ!
聴き応えありすぎな構成の終曲は、なぜにかフリップ・フラップだったりする。B級の極みのような作品レベルなんだけど、「バランスをとろう」の発音の妙が捨てられないでいるうちに、つい恋に落ちちゃった、ってかんじ?

庄司紗矢香のツィガーヌを飛ばして聴くなよ!

そいえばへいへいへいで吉川晃司が新曲を歌っていたのを見た。吉川晃司は終わっている、つうか、なんなの、この落ちぶれたやーさんの手下が番組にねじこんで歌っているような不健康で不穏で不吉な、それでいて表現のしょぼさ。いかにこの業界がだめだめになっているかを象徴するようなもんだった気がする。おおげさな話じゃなくて、深刻な話。


2006年07月25日(火) 『中世ヨーロッパ放浪芸人の文化史 しいたげられし楽師たち 』(明石書店)



んぐ。まった、おもしろそな本めっけてしまた。たっ、たけえ。

『中世ヨーロッパ放浪芸人の文化史 しいたげられし楽師たち 』(明石書店)



師匠が書いている。
「菊池成孔のつまらなさは、マイケル・ブレッカーのつまらなさとそっくり。上手くても知識が豊富でも頭が良くても出てくる音が春風亭小朝の落語みたいに旨み成分がほとんど無いものは、聴く価値なし。志ん生のようでなくてはいけないのだ。UAと組んだスタンダードジャズ集なんて興味も湧かないよ。」
ううむ。ちょうど志ん生をBGMに昼寝をしていたのじゃが・・・。
UAはAJICOは良かったし、『SUN』も『うたううあ』も良かった。
ところが『Breathe』は、なぜにか1回聴いている途中で止めたまま押入れ行きになってしまっていた。つまらない、と、断言したり、分析するいとまも、ぼくは持たずに、放置してしまった。UAはコンセプトちっくなまとまりには合わないような気がする。あざとさをどうニヒルに味わうのか。忘我に至るまで、は、表現にジャンプ(踏み越え)が必要なのだ。
さて、『cure jazz』、・・・不安である。それでもやっぱり聴いてみたいぞ、坪口昌恭のピアノが聴きたいぞ。

師匠あてに編集CDR『ほうきぼし 恋もキスもセクシーも少しまってきみとぼくはそしてDOWNDOWNDOWNそう思うだろう?』(3枚組!近日曲目アップ予定)の荷造りをする。わはは、タイトルは魅力的だろ。フリッパーズの歌詞だけどね。
9月号のミュージックマガジンの特集はフリッパーズ・ギター!

おれ、ビートルズの一員になった夢は何度か見たことあるけど(一度はサージェントペパーズロンリーハーツクラブバンドを歌ってたぞー、そういう同類の方いませんかね)、フリッパーズになった夢は見たことないなー。ジャズファンだと、アートブレイキージャズメッセンジャーズの一員になったり、アートアンサンブルオブシカゴの一員になったり、ウィレムブロイカーコレクティフの一員になったり、ジョルジュグルンツコンサートジャズバンドの一員になったりするんすかね。


2006年07月24日(月) 『Charlie Parker with Lennie Tristano Complete Recordings』 (Definitive Records)



『Charlie Parker with Lennie Tristano Complete Recordings』 (Definitive Records)

ケニー・クラークが電話帳を叩いている。それをバックにチャーリー・パーカーとレニー・トリスターノが演奏する。録音機が回っている1951年8月、ニューヨークはトリスターノの自宅。この冒頭2トラックを聴ければ、それは、これまでパーカーを知って彼方に視てきた、トリスターノをリスペクトしてきた、あまたのジャズメンたちの夥しい演奏、が、意識の中空にツリーのように連鎖と旋回が万華鏡。「おれも遠回りしてきたな」と、ジャズがこのように聴こえるまで。

キラ星のごとくの黄金期ジャズメンたちが、執拗なまでの直線定規トリスターノ・メソッドに制圧されて青白い炎をたてている3から19までのトラックは1947年のラジオ番組そのまま収録(サラ・ヴォーンが1曲歌ってます)、アナウンスの時代がかった雰囲気もさながら、どうしてどうして、ビリー・バウアーのギターが聴きもの。ことに17トラックのバウアーは、あれだね、ピカソ・ギターを手にしたパット・メセニーが半世紀前に居たのか、という。

20から24トラックは、トリスターノが率いるその名も「メトロノーム・オール・スターズ」指揮者付き1949年の録音、そしてこのメンツ、よりによってメトロノームとは眩暈がしないか?究極のクール・ジャズ、ドリーム・チームだろうか。それにしても、ここでもおれの耳はバウアーのギターに、そのバッキングはなんだ、高柳昌行を知っていたのか、ついジョー・モリスやカート・ローゼンウィンケルに置換してまで聴いてしまう。なんて楽しいんだ、ジャズは。ジャズ史が夢になって響くこのCDをどうぞお聴きください。


1.2.
Charlie Parker (as), Lennie Tristano (p), Kenny Clarke (brushes on a telephone book)
3.〜11.
Charlie Parker (as), Dizzy Gillespie (tp), John LaPorta (cl), Lennie Tristano (p), Billy Bauer (g), Ray Brown (b), Max Roach (ds)
12.〜19.
Charlie Parker (as), Fats Navarro (tp), Allen Eager (ts), John LaPorta (cl), Lennie Tristano (p), Billy Bauer (g), Tommy Potter (b), Buddy Rich (ds), Sarah Vaughan (vo on 14. only)
20.〜24.
Metronome All Stars : Dizzy Gillespie, Miles Davis, Fats Navarro (tps), Charlie Parker (as), Jay Jay Johnson, Kai Winding (tbs), Buddy DeFranco (cl), Charlie Ventura (ts), Ernie Carceres (bs), Billy Bauer (g), Lennie Tristano (p), Eddie Safranski (b), Shelly Manne (ds), Pete Rugolo (conductor)

1. All of Me - Charlie Parker, Lennie Tristano
2. I Can't Believe That You're in Love with Me - Charlie Parker, Lennie Tristano
3. Ko Ko
4. Hot House
5. I Surrender Dear
6. Fine and Dandy
7. Ko Ko (Theme)
8. On the Sunny Side of the Street into 52nd Street Theme
9. How Deep Is the Ocean?
10. Tiger Rag
11. 52nd Street Theme
12. 52nd Street Theme
13. Donna Lee
14. Everything I Have Is Yours
15. Fats Flats/Hot House
16. Tea for Two
17. Don't Blame Me
18. Groovin' High
19. Ko Ko into Anthropology
20. Overtime [Short Take] - The Metronome All-Stars
21. Overtime [Long Take] - The Metronome All-Stars
22. Victory Ball [Short Take 1 -Rare-] - The Metronome All-Stars
23. Victory Ball [Short Take 2] - The Metronome All-Stars
24. Victory Ball [Long Take] - The Metronome All-Stars


2006年07月23日(日) 成分分析



成分分析>

多田雅範の49%は不思議で出来ています
多田雅範の32%は知恵で出来ています
多田雅範の8%はミスリルで出来ています
多田雅範の8%は理論で出来ています
多田雅範の3%は心の壁で出来ています

(わたしの長女)の83%は電力で出来ています
(わたしの長女)の9%は利益で出来ています
(わたしの長女)の6%はミスリルで出来ています
(わたしの長女)の2%は成功の鍵で出来ています

keith jarrettの99%は大阪のおいしい水で出来ています
keith jarrettの1%はカテキンで出来ています

paul mccartneyの89%は罠で出来ています
paul mccartneyの7%はスライムで出来ています
paul mccartneyの3%はマイナスイオンで出来ています
paul mccartneyの1%はミスリルで出来ています

joe maneriの97%は呪詛で出来ています
joe maneriの3%は果物で出来ています

manfred eicherの86%は欲望で出来ています
manfred eicherの7%は白い何かで出来ています
manfred eicherの7%は濃硫酸で出来ています

小沢健二の69%は希望で出来ています
小沢健二の18%は着色料で出来ています
小沢健二の5%はミスリルで出来ています
小沢健二の4%は心の壁で出来ています
小沢健二の4%は成功の鍵で出来ています

谷川俊太郎の90%は罠で出来ています
谷川俊太郎の9%は波動で出来ています
谷川俊太郎の1%は言葉で出来ています

my bloody valentineの99%は夢で出来ています
my bloody valentineの1%は時間で出来ています

the beatlesの99%は宇宙の意思で出来ています
the beatlesの1%は魂の炎で出来ています


2006年07月22日(土)




テーブルの上で半馬身差ゴールのあゆの塩焼き2種、いずれも小ぶりなれど。

4さいのひかるくんが母親に向かって「奥さん」と言う、に、爆笑する。

あ、いけね。MステでSalyu観るの忘れてた。
おいけいま、「to U」買ったんだろ、焼いといてくり。
4日はみんなでどこへ行くのか決まったのか?箱根彫刻の森美術館でいーか。

いつになったら梅雨は明けるのか。明けなくていい、んだけど。


2006年07月21日(金) 「イエスタディ」がナポリ民謡に酷似しているとイタリアの作曲家・リッリグレコ氏が指摘



送電線を飛び回る夢をみていた。

師匠からの編集CDR『魔法のコトバ』に、自信を失う・・・。最初の3曲、の、展開。こう選曲できる達人は地球にはおるまい。
おれ、『サタニック・マジェスティーズ』聴いてねーし。ロルフ&ヨアヒム・キューン・カルテットがここまでアルティメットな大文字的な演奏になってたのも知らんし。

どうも自作の編集CDR作成にトリガーがかからん。とっかかりが必要なのだ。
ウルトラQのテーマ、とか、エアロスミス「ホーム・トゥナイト」、吉川晃司「You Gatta Chance」・・・では役不足だし・・・。

あ、でも吉川晃司の「RAIN-DANCEがきこえる」はいい曲だったよなー・・・

東京新聞夕刊で、「イエスタディ」がナポリ民謡に酷似しているとイタリアの作曲家・リッリグレコ氏が指摘、との記事。
小林亜星が服部克久を盗作で訴えて事実上勝ってしまった事案を連想しますなー。
ぼくはこの意見に注目>

図書館から借りていた『ジョゼ・ボヴェ―あるフランス農民の反逆』(柘植書房新社刊)、とっくに返却していたと思ってたのに。どこにあるんだ、ジョゼ・ボヴェのほんー。
・・・お。2007年のフランス大統領選挙に出馬するのか。おれならジョゼ・ボヴェに一票だな。ジダンに勝てるのか?

磯田さんのピンポイントフォーラムに。

《音は振動(だけ)で聞こえるのではなく、波動(物質波)によって伝わるのだと寺垣さんは力説する。波動って何ですか?と、尋ねると、物質を構成している分子の振動ということだった。寺垣さんに言わせると、空気を振動させることにより音は伝わるという定説がまず、間違っているということだ。これにはクリビツテンギョウするしかない。
寺垣説を見事に証明しているのが寺垣さんの開発したスピーカー。
何と、スピーカーの前を遮っても全然音がくぐもらない。
空気を振動させているのであれば、その空気の流れを阻まれたら音が変化する。
ところが、寺垣スピーカーは全然音が変化しない。これは衝撃的。》

SACDの音質がLPの水準を凌駕しつつある、と感じているのだけど、ううう。
音質にこだわる耳のモードにスイッチを入れてしまってはいけない、と、自分に言いきかせて。
現在のしょぼい聴取環境でこれだけ感動しまくっているのに・・・、というか、いい音を聴いたことがある体験によって、無意識に補正をかけて聴いているから感動しまくっているのかもしれないけども、
しかしながら、やはり実際にいい音に耽溺できる環境にあったならば、ほんとうにすごいものが聴こえてしまうのだろう。


2006年07月13日(木) 「アメイジング・グレイス」という曲を作曲したのは、強欲な奴隷商人(!)だった、という。



写真は朝5時の空。市ヶ谷。

午後7時の練馬は、夕立の気配のままに夕暮れの放射光が街を覆い。風景は黄色いフィルターをかぶせたようになっていたのだった。

コーヒー豆栽培をいっしょうけんめいに日夜働いても働いても我が暮らし楽にならずや、日に日に生活が苦しくなってゆく家族を抱えた農夫の気持ちになって。

今日も「箒星」に救われてるなあ。

奥田恵二著『「アメリカ音楽」の誕生―社会・文化の変容の中で』(河出書房新社)を読んでたら、
「アメイジング・グレイス」という曲を作曲したのは、強欲な奴隷商人(!)だった、という。よくアメリカ人の葬儀で歌われるという「アメイジング・グレイス」だけど、アメリカの因果つうか、業というか、ねえ。
中島美嘉はわかって歌ってたのだろうか。
あ、このサイトでも書かれてた >



編集CD−R sumita’s selection 2006.07,05
『 風待ちジェット 』
01. ブライアン・イーノ&デヴィッド・バーン/アメリカ・イズ・ウェイティング (1979) 
02. ボブ・ディラン/ライク・ア・ローリングストーン(1966英国マンチェスターライブ)
03. マリーザ・モンチ/ヴィラレージョ(2006)
04. のこいのこ/パタパタママ(1977)
05. のこいのこ/はたらくくるま(1972)
06. ザ・バンド/禁断の木の実(1976ニューヨークライブ)
07. 坂本真綾/風待ちジェット(2006)
08. ソニック・ユース/リーナ(2006)
09. ブライアン・ウィルソン/キャビネセンス〜カラオケヴァージョン(2004)
10. 小谷美紗子/雪でもいい(2006)
11. ブルース・スプリングスティーン/ウィー・シャル・オーヴァー・カム(2006)
12. サンタナ/ネシャブールの出来事(1973日本公演)
13. ブライアン・ウィルソン/サーフズ・アップ(2004)

小谷ファンがどんどん増えててうれしいです。4さいになったひかるくんがアルバム中まっさきにメロディーをくちづさんだという「雪でもいい」は、「は、は、」という部分がきっと彼の琴線にひびいたのだろうと思います。


2006年07月12日(水) 今日のぼくのたからものベスト5



ドミニク・プライア著『スマイル』 丸山京子訳 日本版監修・萩原健太 K&Bパブリッシャーズ

『波のあわいに―見えないものをめぐる対話』 三善晃・丘山万里子 春秋社

あがた森魚『星繁き牢獄の提督たちへ』
1. オー・ド・ヴィ~Ending~ 2. 太陽コロゲテ46億年 3. Song Cycling 4. シャドウレス・ア・ポカリプス 5. 太陽のラルティーグ
6. 珊瑚魔術師の弟子 7. 風光る朝 8. 二十四時間の瞳 9. マッチ工場とあじさい 10. 河童 11. 碧緑サルガッソウ
12. ラム酒の大楽隊 13. 航海V 14. ノオチラス艦長ネモ 15. バス通りには朽葉色

久保田麻琴著『世界の音を訪ねる―音の錬金術師の旅日記』 岩波新書

選曲CDRプレイリスト 『Beautiful』
01. 季節 / Polaris from "Home"(2002)
02. 空飛ぶサーカス / サニーデイ・サービス from"MUGEN"(1999)
>スガシカオの歌だよ、これって(笑)。そうかー、スガシカオはサニーデイ・サービスで曽我部恵一だったのかー。
03. hanson / control freak!! from "Sunset Strip"(2006)
04. Title And Registration / Death Cab for Cutie from "Transatlanticism"
05. Slow Down / SAKHALIN TV from "Slow Down"
06. Everything Means Nothing To Me / Elliott Smith from "Figure 8"
07. Longing / Sigh Boat from "Sigh Boat"
08. 不思議なイト / ANATAKIKOU from "sweet montage A"
09. 桜はまだ咲いている / Plane from "桜はまだ咲いている/どう思う?"
10. ポンポコだぬき / ベベチオ from "左右対称のダンス"
11. Snowscape / the band apart from "K. AND HIS BIKE"
12. 瞬間と永遠 / 曽我部恵一 from "瞬間と永遠"
13. Beautiful / bonobos from "Beautiful"
14. (What a) Wonderful World / Art Garfunkel from "Watermark"
15. Tears Are In Your Eyes / Yo La Tengo from "Prisoners Of Love
"A Smattering Of Scintillating Senescent Song 1985-2003""


2006年07月11日(火) イスラエルの国歌『ハティクヴァ』



6月12日の日記で、イスラエルの国歌『ハティクヴァ』を聴いたことがない、と、書いて。その後、その曲を図書館で捜せなかったわけですが、エンピツメールでバーブラ・ストレイザンドさんが歌った『ハティクヴァ』がイスラエルの学校のサイトにあることを御教示いただいた。ありがとうございます。

イスラエルの国歌『ハティクヴァ』

イスラエルの参考>


2006年07月10日(月) おおおー!横山剣が「おとうさんスイッチ」に実名で出てたのかー!



おおおー!横山剣が「おとうさんスイッチ」に実名で出てたのかー!

今月の子どもたちのケータイ4台使用料金は¥27795えん。4人の子どもに所持させたいのでまとめて契約したんであるが、学割・家族割使って年間30まん以上になるの、って、おれはケータイのために何日働かなくてはならないのかの。

毎日新聞夕刊記事より。
《11日付の英紙タイムズは、読唇術の専門家の話を紹介し、マテラッツィ選手がジダン選手にイタリア語で、「テロ売春婦の息子。くたばれ」と言ったとした。ジダン選手はイタリアのチームに所属していたこともあり、イタリア語を理解するという。》

このドイツ大会は差別撲滅がテーマだったわけでしょう?
(ドイツにとっては、自国でこのテーマで開催して、晴れて戦後初めて「愛国心」でゲルマン!と絶叫できたわけです)
ジダンがその場の激情に駆られて頭突きをしたのではないことくらい自明すぎて話にならないです。
人種差別に起因する暴動で激するフランスの、今後、大統領になるべきジズーであるからこそ、ワールドカップごときの、サッカーごときの、名声を賭けてでも、地球レベルで、心臓へのストレート頭突きをする必要があったわけでしょう。

地球は合併し、地球大統領としてジズーは君臨するのである。

国家運営はサッカーチーム形式。

監督、ジズー。
キーパー、ローマ法王。
ディフェンス、ミルコ・クロコップ、ジャック・ニコルソン、ボブ・ディラン。
ミッドフィルダー、ビル・ゲイツ、横山剣、空海、スラヴォイ・ジジェク、菅谷梨沙子。
フォワード、草野マサムネ、桜井和寿。おお、ほんとにツートップだー!

感動で泣けるおそるべき11さいの歌唱


2006年07月09日(日)

「おもむろに頭突きを見舞って一発レッド」

速報の記事が見事な俳句になっている、ところも、さすがだ、ジダン!
優勝したイタリアの戦いかたは、それはそれで世界一でいいよ。
でもフランスの美しさを見たかい。
ヒーローはジダン。ジダンにしかできないワールドカップ決勝での怒りの頭突き。2000年のチャンピオンリーグで5試合停止をくらった頭突きをここで再現させるのかジダン。ジダンが怒るんだから、ジダンが正しい。
サッカー界の高倉健。中田もかすんだ。
・・・ああ、もう、ジダンのプレーは観ることができないのか。
職場で「昨年のアガシ・カットに続いて、ジダン・カットにしてくる!」と宣言するも「うちは丸刈り禁止になりました」と常務。
・・・ううむ・・・社則違反まではできまい・・・
そうだ、怪我をして、ジダン・カットを正当化できるのではないか。どうだろう。


2006年07月08日(土) ボブ・ディランの「アイドンビリーブュー・・・」「ユアーライアー」



師匠からの編集CDR『風待ちジェット』を聴く。
CDRの1・2曲目の走り出しはことさら重要なのだけど、さすがの選曲構成に耳がとろけそうになる。

ボブ・ディランの「アイドンビリーブュー・・・」「ユアーライアー」と発音する、このちからの入れ方、タイミングが見せる心情。
たしかに、なるほどこれはパンキッシュなのだ。知ると、がぜん“聴こえ”が変わってくる。

今日もまた耳にかかりまくるミスチル「箒星」の旋律はすごいと思う。
桜井くんだけの旋律三連結構造つうか、フツーの曲のサビ部分を3つくらい数珠つなぎにしてしまう、「気持ちいい」の二転三転ポップザウルス横綱相撲。

つきあってる彼女から、子どもの頃の写真を見せてもらうことほど、人生のスケールが武蔵小金井駅から日本アルプスまで見渡せてしまうような気持ちになることはない。「山河あり」と、口をつく。

すると富田勲が作曲した「新日本紀行」のテーマが聴こえてくるのだ。(わはは、おれも意味わからん)

遠くに下降するフルートの音色と旋律に、「日本」を感じる。「日本」は「新日本紀行」の映像の総体と措定される。
リズムは木でできた樽をたたいている音で、日本のお祭りを象徴している作用だ。

下降するフルートのよるべなさ、西洋音楽の伝統にからみとられない・仲間にしてもらえていない・外部としての、
は、武満徹のオーケストラ作品で彩られているフルートのよるべなさ、に、容易にリンクする。

ぼくはそういう耳を持ってしまった世代、だ。


2006年07月07日(金) ミスチルの新曲「箒星(ほうきぼし)」レビュー



7月5日発売、ミスチルの新曲「箒星(ほうきぼし)」。

いい曲だー。仕事をしていても、どのシーンでもこのBGMのおかげで、元気な気持ちになれるんだよー。

「でもねぼくらは未来の担い手 ひとのかたちしたひかり」

ひとのかたちをしたひかり、・・・シンプルかつ本質な。これは哲学的にも科学的にも正しかったりするのでは・・・。

でもね・・・。
さえないメガネくんとメガネさん、清掃作業員とレジバイト、推定時給880円。
都内ではアパートを借りて共働きをしても子どもを育てるのはなかなかたいへんだと思う。家賃2DKを8まんとして、子どもを保育園に預けるの5・6まんかかるよ。軽自動車と車両保険、駐車場代、カソリン代、出せるのかな。シフトによる収入減リスク高いし。有給休暇は事実上使えない勤務先だし。しかも二人とも転職する気もできる可能性もないし。

そういう若いふたりに。

PVでは複数の主人公たちがシンクロして踊るんだが。悩んだり、希望を持ったり、足を組んだり。それはいわば、檻に囲われた動物たちが調教の果てにプログラムされた痛々しい踊りに見える。

ぼくらは希望を持ったり、ひとを愛したり、音楽を聴いたり、失望したり、地下鉄に乗ったり、怒りを表明したり、エンピツ日記を書くことまで、環境設定の動線に従ってプログラムされている。わかりきったことだけど。疑問を持つことだけが希望だ。

いわば、その希望に浮遊できるのか、を問う楽曲なのである。

ミスチルの高度な仕事だと言わざるをえない。


2006年07月06日(木) 若い友人nishi9raくんの編集CDR『瞬間』感想ノーツ



両国橋にあるこのオブジェはいったい何というものなのですか?どういう役割があるのでしょうか?
「ヴァン・ヘイレンだよ!」って、ちがうじゃん・・・




だれだって、ひとは、ちょうどいい時季にいるものです。(ジョン・ケージ)

品川駅近くで18の長女をひろって大井町のイトーヨーカ堂へ。気に入ったものが買えたようで、後部座席でうきうきしているのがわかる。おまえがバターとチーズをさがしているあいだに、子どものお菓子コーナーをみたら3さいのおまえがじっと迷ってお菓子をながめている映像が見えたよ。

夜食はシャケの切り身を焼いたのと酢漬けのこはだの切り身。

大阪で9月にミスチルとスピッツと奥田民生が出るフェスがあるときいて、しかもチケット代安いんで思わず行きたくもなるけれども。図書館通いの初老のじいさんライフがすっかり板についてしまって、20キロ程度のドライブですら今はパスしたい。

ラヴィン・スプーンフルの「ロンリー(エイミーのテーマ)」。1967年。不思議なことに当時の映像の記憶が見えてしまう。

若い友人nishi9raくんの編集CDRを今日は紹介する。中村一義の「Honeycom.ware」が服着て歩いているようなまぶしい若者である。

編集CDR『瞬間』  ライナー・ノーツ>

01. 初終 / 100s from "Honeycom.ware/B.O.K"
>外でカラスの鳴き声が聴こえていても大丈夫な音楽(すごい!)。なぜが最終音がモンゴルのホーメイになってない?(すごい!)
02. Neighborhood #2 (Laika) / The Arcade Fire from"Funeral"
>一転してインしてくるサウンドは、2005年のブライテスト、ケベック出身のアーケイド・ファイア。トーキング・ヘッズ、ミーツ、ポーグス、つうのかな。ヴォーカルのひねくれた高音域が魅力的だ。
03. Let The Cool Goddess Rust Away / Clap Your Hands Say Yeah from "Clap Your Hands Say Yeah" 2005
>へたれている態度がカッコいい。ヴェルヴェッツやペイヴメントを思わせるような、“醒めたサウンド”、とは、なるほど。
04. Hey Bulldog (degital remaster) / The Beatles from "Yellow Submarine"
>宣伝相ゲッペルズとの声質の類似性を言われるジョン。このミックス、エコーかかり気味だし、ギターの前面せり出しが無いよね。やっぱリンゴのタイコはすごい!久しぶりに聴いてどきどきしました。
05. Me And Julio Down By The Schoolyard / Paul Simon from "Paul Simon"
>諸星大二郎のマンガのタイトルになるのはいいけど、山崎まさよしのなぞりには目をおおいたくなりました。ぼくとフリオと校庭で。
06. Title And Registration / Death Cab for Cutie from "Transatlanticism"
>ふふ。デスキャブいいよね。秀逸なロック・サウンドにすべからく潜んでいる“野性”がフォークや微分音に由来するものであることは自明だし。間奏というかちょこっと入る鉄琴の音がめっちゃ琴線をくすぐる。
07. Torture Me / Red Hot Chili Peppers from "Stadium Arcadium"
>レッチリってばかにされがちなのかもね。ぼくは気に入ってます。
08. The Big Jump / The Chemical Brothers from "Push The Button"
>これは2005年の曲なのか・・・ケミカルブラザーズは90年代を越えられなかった気がするんだけど・・・。
09. Count Five Or Six / Cornelius from "FANTASMA"
>コーネリアスは今もCMに使われているのね。小山田は終わってるけど、この曲は、このCDRの曲順的にすごくいいです。
10. ひとりの求愛者 立春編 / Lantern Parade from "ランタンパレードの激情"
>おおお。ズレたリズムボックス的タイコ、だるそうなピアノ、ふくよかなオルガンのゆりかご、それらのサウンド変調。
この世界にたった独りで宇宙を背負って求愛する、いわゆるコクる、いわゆるそれは宇宙の開闢(かいびゃく)、ビックバンへのジャンプ、踏み越え、もはやアナタは女性でも固有名詞でもなく、もはやボクは男性でも固有名詞でもない、そこには光があるのだろう、そういう確信と、宇宙が消滅するような絶対零度の46億年の不安、の揺れ。
11. Who Found Who's Hair In Who's Bed? / Owen from "I Do Perceive."
>ポールサイモンとアートガーファンクルが一人に合わさって歌っているような感じ。やっぱアメリカか?、うんうん。
12. Falling For You / Longview from "Mercury" 
>イギリスのビューティフル・サウスを透明にした感じかな。このロングヴューはフルアルバムを聴きたいですね。
13. Beautiful / bonobos from "Beautiful"
>なんとなくハナレグミ、ポラリス好き御用達って感じでしょうか?
14. ひこうき / FISHMANS from"空中 ベスト・オブ・フィッシュマンズ"
>前曲に引き続きレゲエアレンジで攻め上がってきております。
15.&16. "瞬間Introduction" "瞬間" / Polaris from "Polaris Presents Continuity #5 & #6" 
>むかしのプログレやフュージョンを聴いている気分になる、悪い意味じゃなくてね。ポラリスを抜けた坂田学さんの今後は?


2006年07月05日(水) うお、ミケランジェリってアッシジの聖フランチェスコの末裔の家系なのか!



いやあ、いいゲームでしたね、ドイツ、イタリア。
エバーハルト・ウエーバー対カルロ・アクティス・ダート、
ホルガー・シューカイ対デメトリオ・ストラトス、
ヴィルヘルム・バックハウス対アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ
それくらいすごいハイレベルなサッカーでした。

うお、ミケランジェリってアッシジの聖フランチェスコの末裔の家系なのか!

国別ミュージシャン代表イレブンを考えよ。
キーパー、三善晃。
高橋悠治、あがた森魚、川端民生、筒美京平、広沢寅造、渋谷毅、草野マサムネ、沢田研二、
そしてツートップが、桜井和寿と小沢健二、である。
ベンチ控えがピエール瀧、菊地雅章、三上寛、横山剣、菅原洋一、菅野邦彦、・・・

「たいようが しだいに ちかづいてきてる」


小沢健二の「天使たちのシーン」というのは、日本史における空海が開いた高野山に匹敵する人民の世界観に安寧をもたらす表現なのである。(Cただまさのり)

ジャケはコニッツ〜マーシュ。とくに意味なし。いい写真でしょ!サウンドはもちろん極上。


2006年07月04日(火) ミスチルファンたちよ!山下邦彦編著『ウェザー・リポートの真実』が発売されるぞ!



山下邦彦編著『ウェザー・リポートの真実 JOE ZAWINUL on the creative process』が発売されるぞ!
【山下邦彦 プロフィール】
1957年、大阪生まれ。音楽雑誌編集者を経て、現在フリーランス。主な編・著書は「坂本龍一・全仕事」「坂本龍一・音楽史」「ビートルズのつくり方」「チック・コリアの音楽」「Mr.Children Everything -天才・桜井和寿終りなき音の冒険-」「楕円とガイコツ」「キース・ジャレット 音楽のすべてを語る」「キース・ジャレット インナービューズーその内なる音楽世界を語るー」「甦れ!ユーミン」など。そのほか、楽譜集「キース・ジャレット《ケルン・コンサート》」「坂本龍一 /04」「坂本龍一 /05」の制作にも携わった。

ミスチルファンたちよ!『Mr.Children Everything -天才・桜井和寿終りなき音の冒険-』はちゃんと読んだか?



ぐえ。予定よりも10日も早く家計がマイナスに転じた・・・。というより、支払いを来月に繰り越さなければならない項目も出てきた・・・。これは由々しきことである・・・。
それにしても・・・なんでや?
たしかに、今月は馬券には当たらなかったし、本を6冊も買ったし、CDも16枚ばかり入手してしまった。しかし、これは天下統一のための必要経費である。
・・・、そや、あいつだ、けーまだ。
あいつと回転寿司に行ったときに、ぱたぱたぱたと金の皿と銀の皿を並べたのだった。
おれは正直者のきこりだから、白い皿や黄緑色の皿を控えめなペースで食べていたのだ。
池の中央から神さまが出てきて「おまえの食べる皿は金の皿と銀の皿と白の皿と、どれじゃ?」ときかれて、
あいつは「金の皿と銀の皿!それぞれ5枚!」と答えた強欲なきこりだったのだ。
・・・なるほど。
であれば、神さまはこのわたしに、夏の函館・札幌開催では重賞完全制覇というごほうびをくれるに違いない。


2006年07月03日(月) 刊行したての『ドン・フェルナンドの酒場で―サマセット・モームのスペイン歴史物語』



午後9時すぎ、中田引退の報せが事務所じゅうに連鎖していった。

ヘイデンとモチアンの「フォー・ア・フリー・ポルトガル」が聴こえる。

刊行したての『ドン・フェルナンドの酒場で―サマセット・モームのスペイン歴史物語』を読み始める。白昼夢と歴史の深みをもぐってゆく読書体験。旅行に出かけているような気持ち。

いま持ち歩いている本は、藤枝静男の『異床同夢』と泉鏡花の『日本橋』。


2006年07月02日(日) 今回は大沢誉志幸オリジナル「そして僕は途方に暮れる」、これはもう80年代名曲、これを収録するぞ。



ミスチル「箒星(ほうきぼし)」、いい感じではあります、が、
ぼくにはどうしてもフリッパーズ・ギターの「カメラ!カメラ!カメラ!(ギター・ポップ・ヴァージョン)」PVを連想して。

6月30日の日経1面は“日米同盟「地球規模」に”。プレスリーの真似してみせて、輸入牛肉再開を快諾し、血液製剤によるC型肝炎の薬害責任を控訴する小泉首相。
牛肉は国産だけにしてるし、フェアトレイドのコーヒーだし。少子高齢化には十分に反抗したし。おれができるのはそこまで。
マルエツ田柄店でサンマが1尾68円。
あとは編集CDRの選曲を考えながら光ヶ丘図書館と光ヶ丘公園で。

今回は大沢誉志幸オリジナル「そして僕は途方に暮れる」、これはもう80年代名曲、これを収録するぞ。
ボブ・ディランの『ブロンド・オン・ブロンド』の1曲目・・・好きなんだよねー。
天地真理の「虹をわたって」
虹の向こうは「まりちゃん!」晴れなのかしら「まりちゃん!」・・・、どうだ!聴きたいか!
麻丘めぐみの「芽ばえ」はどうだ!

イギリス国歌、インド国歌、インド国旗、ヒンドゥー教、寡婦殉死とぐぐってこんな本に着きました
『インドの女性問題とジェンダー サティー(寡婦殉死)・ダウリー問題・女児問題』
1987年に18才の結婚したばかりの少女が生きながら焼かれていた、と。

東谷護著『進駐軍クラブから歌謡曲へ―戦後日本ポピュラー音楽の黎明期』(みすず書房)

奥田恵二著『「アメリカ音楽」の誕生―社会・文化の変容の中で』(河出書房新社)


2006年07月01日(土) チャーリー・ヘイデン好きとしては、かつてポール・モチアンとのデュオ曲「For A Free Portugal」

うおお。イングランドとポルトガルの試合が始まった。
イギリスの国歌ってかっこいいねー。
スコットランドを打ち破れ、と、国歌の歌詞にあるのね。今、知ったです。



チャーリー・ヘイデン好きとしては、かつてポール・モチアンとのデュオ曲「For A Free Portugal」に深く、深く、ポルトガルの人民の苦悩の歴史を知ったわたしなのですが、夜食はイングランドに賭けてしまいました。

『クロースネス / チャーリー・ヘイデン』 >なんやこのジャケ、耳なしレビューは!・・・やっぱこっち>
青春盤に相応しい、ヘイデンと、ジャレット、オーネット、アリスコルトレーン、モチアンとのデュオを収録。
モチアンとの「フォー・ア・フリー・ポルトガル」の演奏には戦場のサウンドがコラージュされており、遠くに聴こえる哀しみが静かに重たい。この作用が音楽ではないと当時は評論家が得意げに書いていたのだが、なんて小せえのかの。

CDを取り寄せてみて驚いた。え?パーカーとトリスターノのトリオ演奏?



1951年8月にレニー・トリスターノとチャーリー・パーカーとケニー・クラークがトリスターノん家で録音した
1. All of Me
2. I Can't Believe That You're in Love with Me
ケニー・クラークは電話帳を叩いている、というトリオの自宅録音。別段なんでもないところがすごい。パーカーは最盛期とは言えないけどさすがに速いし、トリスターノもなにげに星一徹ぶりである。
何も生まれないと悟ったこのトリオだったのか、しかしパーカーもトリスターノも、何かが生まれるのではないか、と、演ってみたのは確かなのだ、何気ない演奏なのだけど、録音状況も悪いけど、電話帳を叩いている演奏なのだけど。

わたしの耳には、パーカーが開いたジャズの領野やら、トリスターノに由来する音楽たちやら、が、このしょぼい録音に対して無数に反応しまくって、息が詰まる。

ぼくは、純粋に音だけを聴く、という文言(もんごん)の意味がいまだにわからないでいる。


Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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