Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2003年12月31日(水) NHK・CCCD・サップ×曙・今年のベスト

おおみそか。

昨夜はずっとNHKラジオを聴いて。「蛍の光」にはもともとお別れの意味はなかった、という歴史検証。
深夜になって、今年最後の特集は、ビートルズ。デビュー曲「ラブ・ミー・ドゥ」を久しぶりに聴く。ハーモニカのイントロ、ミディアム・テンポで下がってゆく旋律、の、まどろみに、その後の爆発的な栄光の“音圧”が聴こえる。LPレコードで針を落とすと、曲が始まる1周前の溝がイントロの音圧を拾うでしょ?、あれが聴こえる。
CD時代になって、LPからカセット・テープにベスト編集テープを作ることもなくなってたけど。

今後はSACD(スーパーオーディオCD)への移行は避けられないでしょう。
CCCDに目くじらをたてていたことが懐かしくなる時代はもうすぐです。とはいえ現在もCCCDには目くじらをたてているんですが、CCCDはちょっとしたセロテープがあれば外せることがわかったし、ぼくには、Jポップ・シーンにおいてCCCD採用で仕分けられるアーティスト群の図式のほうが面白い。
ばっさり言って、CCCD不採用である「つんくファミリー」「Mr. Children」「宇多田ヒカル」という三大勢力、と、CCCD採用のその他、です。これはもうクリエイテヴィティの差としか言いようがないのではないでしょうか。

NHKラジオのビートルズ特集。放送中の「シー・ラヴズ・ユー」でCDが音飛びしてしまい中断し、あわててアナウンスした「イエスタディ」のあとに「愛こそはすべて」がかかってしまうハプニング。でも、NHKラジオ深夜便、こそ、ここ数年ずっとぼくにとってのベストメディアであります。

おおみそか、なので、今年のベストCDを考えてみます。
『掌・くるみ/Mr. Children』、『sailing days・ロストマン/Bump Of Chicken』、『雪の華/中島美嘉』、『ペット・サウンズ/ビーチボーイズ』、ルーファス・ワインライトのセカンド、ハイラマズの新譜、FME初回限定ライブ盤、ブノワデルベックのピアノ・ソロ。
あ、今年はツェッペリンDVDもあった、ミスチルDVDもあったし。
ティム・バーン、藤井郷子、ジム・ブラック〜エラリー・エスケリン〜アンドレア・パーキンス、ミロスラフ・ヴィトウス、トルド・グスタフソン・トリオ、マット・マネリ・トリオ、渋谷毅ピアノ・ソロ、ONJQ+OE、マシュー・ハーバート、エヴァン・パーカー・エレクトロ・アコースティック・アンサンブルのサード、ロバート・ワイアット、ブッゲ・ヴァッセルトフトのライブ、…、ジャズもたくさん買った一年だったなあ…、あ!そういえばディスクユニオン御茶ノ水店に取り置きしてもらってるドン・チェリーのBBCライブ盤とマーク・リボーのソロを引き取ってねー。

ボブ・サップ×曙戦の前に、小柳ゆきが君が代を歌って、スティヴィー・ワンダーがアメリカ国歌をハーモニカで奏でた。ふたりとも素晴らしかった、ですね。カネかけてんなあ、猪木ぃー。曙が日の丸背負うのは違うとみんなが言っていた。試合のほうは、国技の価値を貶める残念な結果でした。応援に来ていた貴乃花親方は、何を想うのでしょう。部屋に所属しなくても、力士として本場所に出場できる、というのはどうでしょう。ミルコとボブ・サップ、幕内付け足し(新名称)で初場所に出場!とか。大相撲協会とは別に「S−1」とかいう相撲ルールのイベントを仕掛けるとか。殴る蹴るなんて、野蛮だよー、アジアは相撲だよー。

あ、有線で『Hero』がかかったー!うおおお。
昨年末に発表された『Hero』、11月に発表された『くるみ』。ロヴァ耳レコード大賞は2年連続でミスチルに持って行かれたことだけは確実です。

前妻がCDだらけになっている車に乗り込んできて「あんた、なんでこんなにCDばかりたくさんあるのよ、1枚あれば充分でしょ、これ全部売りなさいよ、そしてそのお金こっちによこしなさい」。
CDなんて1枚あれば充分。年末を締めくくるに相応しい名言だ。


2003年12月30日(火) 自衛隊はイランのほうへ

 イランの古都バムを襲った地震で、死者は4万人規模になるとか。略奪行為もあり、寒さにテントが足りない状況もあり。

 自衛隊がイラクに派遣されることになっている。行くのは、北海道・旭川駐屯地に勤務する陸上自衛隊第二師団だったか。どの師団が行くのか、には、それなりの合理的な理由があると思うけれども、政治的な判断だろう。北海道の師団なら、その家族・親族・友人たちは東京にあまり居ないだろう、という。
 そしたらさ、札幌雪まつりの準備で、札幌市と自衛隊との間が不協和音になっているというニュースも。なんでも札幌市は自衛隊のイラク派兵には遺憾の意を表明しているとのこと、北海道は昔から野党(民主党)が強いから、そうか。しかし、雪まつりの雪像って自衛隊のひとが大半を作ってくれているのだった。
 どうするよ。モノ言えば、サイフが寂しくなる、札幌市民。

 関東大震災のあとの日本人は、治安がほとんど機能していないのに略奪行為はほとんどなかったことを欧米メディアに驚嘆されていたけど、朝鮮人を殺したり、行商人を殺したりしていた。

 地震にまつわる音楽は?と、たしかヘンデルの曲に間奏のように「地震」というナンバーがあったのを思い出した。ヘンデルなのに、そこだけ思いっきり“パンク”しているんだよね。タイトルが思い出せない。


2003年12月29日(月) ヨシイ・ロヴィンソン「TALI」

イエロー・モンキーの吉井和哉(37)
ヨシイ・ロヴィンソン(YOSHII LOVINSON)

名前の由来は、アメリカの高級オーディオ・ブランド、マーク・レヴィンソンと、歌手、スモーキー・ロビンソンを合わせたものとか。
マーク・レヴィンソンはベーシストとして、ECMの総帥マンフレッド・アイヒャーと仕事をしていた事実があるのね。ECMファンは、この伊藤さんの指摘にぜひアクセス。
異端音楽振興会のサイト内のECMコーナーへ

吉井和哉がソロになって名前を「YOSHII LOVINSON」にして出したシングル「TALI」。
菊地成孔がバウンスのコラムで、“「本人一人録音作品」による自閉性が生み出す、奇妙な詞性”と、極めて明晰な分析をしていた。
「争ったり、身ごもったり…」
ソロになって、身ごもらせた育子に対して、「育子、ベイビー、アイ、ラブ」と、歌う吉井。

吉井は、このセリフが、銀座のデパートや郊外の遊園地や、夕暮れの商店街に有線で流れることを夢見たのだ、と感じる。オフィスの休憩室や、パチンコ屋の騒音の中や、誰も通らない薄汚れた地下道の暗闇に向かってこの曲が空気を揺らすことを夢見たのではないだろうか。

誰にも共感を求めないナンバーをマーケットに流す吉井の態度、に、身構える。


2003年12月28日(日) 閻魔大王とスマップ5人、だし>三上寛

仕事で千葉県流山市までドライブをすることになった。ミスチル友だちが同行。

「昭和の大飢饉予告編」、これは三上寛の名刺代わりの一曲。を、聴く。
『コンサートライヴ零孤徒〜三上寛1972』から。

…愛だの平和だのと、ぬけぬけ言ってやがる、
…オマンコに指突っ込んでそのタラタラした指でVサインつくって何になる、
と歌い始めると観客が喝采し「そうだー!」と掛け声がかかる。
運転しながら「うおー、そうだー!いけー!」とぼくだけが盛り上がる。

たしかに。何になる、って、何にもならないです。
これって、当時のジョン・レノンのベッド・インを揶揄したんでしょうか。

それはともかく、たしかに、来るのは昭和の大飢饉ではなく、平成の大飢饉だ。
じつは、かなりの予言者のままの三上寛のこの30年だったのかもしれないのう。

…地獄で待っているのは閻魔大王とそのほか5名

「この5名って、誰?」
「スマップ。」

哲学だの芸術だなんて
恐ろしいもんだぜ
表現だの創造だの、ヌケヌケ言ってやがる
たかが言葉のオリンピックじゃねぇか
たかが、たかがで、たかがじゃねぇか
藤純子や高倉健を
芸術で語ったところで何になる、何になる


2003年12月27日(土) 「夜と日時計/小沢健二」

今日、小沢健二のシングル・コレクション『刹那』が発売された。

1.流星ビバップ
2.痛快ウキウキ通り
3.さよならなんて云えないよ(美しさ)
4.夢が夢なら
5.強い気持ち・強い愛
6.それはちょっと
7.夜と日時計
8.いちょう並木のセレナーデ
9.流星ビバップ

おざけん自身が選曲、マスタリング。発売されるまで発売日が二転三転した(いつものごとく?)、クリスマスに間に合わないところが、いい(笑)

わかっちゃいたけど、改めて「夜と日時計」、素晴らしい。
「さよならなんて云えないよ(美しさ)」は、不朽の名作『LIFE』を一曲にぎゅっと圧縮したナンバーだったけど、そこで、“高い山まであっという間に吹き上がる、北風の中、ぼくは何度も何度も考えてみる”の突出した詩情、というか。
それを根拠付けてもいる、
「夜と日時計」の、“川から流れる凍りついた空気は屋根を登り、急にぼくの目を醒ますよ”。
この、魂の上昇、としか言いようのない世界。サウンド。

(おまけ)
氣志團のGIGの終わりに突如流れたのかー!>「強い気持ち・強い愛」
氣志團のCDにも、完全にこの曲リスペクトのナンバーがあったし。ほんとタダものではない綾小路。

ジャズ・ファンは「夢が夢なら」の故・川端民生のベースがサポートする自由度にちょっと注目。


2003年12月26日(金) 『クリスマスの約束』小田和正×桜井和寿

ゆうべの小田和正の番組に出た桜井くん。
小田・桜井、初対面の打ち合わせで、桜井は「タガタメ」を歌うリアリティと共演する意味を語り、
対し、小田はたしか「でも、エンターテイメントとして成立するように」なぞと言った。
これですでに決裂していたのだと思う。

桜井は小田に“会った”時点で、すでに共演は余儀なくなされるものと覚悟していた。
それを見越していた小田は、テレビ・カメラに向かって「このまま一緒にやらないという選択肢もあるんだよ」と、アーティストぶった。

わざわざステージのすそ(そで?はし?)に座ってしまう演出なんて、「ほら、ボクはね、こうやって桜井くんと話せるオヤジなんだよ」と若いOLたちのふとももに訴えかけたかった小田の野望が桶狭間を越えるような勢いで噴出したシーン。
ライブであの時いきなり言われたんだよ桜井くんはきっと。
ムカついて小田唱法ヴァージョン(モノマネ)を歌って披露して、あれはせいいっぱいのおちょくりですね。

「言葉にできない」〜「タガタメ」〜「Hero」と、メドレーしてふたりで歌った。
そんで小田の持ち歌「言葉にできない」を自分のものとして歌ってみせて、
自曲の2曲は、みじんも小田にバトンを渡すような演技をせずに、居座ってみせた感もあるような。
ミスチルのジェンが叩かないところでの桜井、を、はじめて聴いた。
「Hero」におけるジェンの不在、というよりミスター・チルドレンというバンドの価値を思い知らされたステージだった。

小田は思いっきり「Hero」を歌いたかったと思う。
でも、きっちり桜井はそうさせなかった。「視聴率をプレゼントするんだからさ!」と言いたげな小田に対する屹立だった。

”小田カラオケ”としか思えないこの企画、去年の「オートマチック(宇多田ヒカル)」なんかとっても良かったんだ、純粋に”小田カラオケ”の価値を見るべきである。


2003年12月25日(木) クリスマスに『収奪された大地』を読む

キリスト教が布教の過程でいかにおおくの人々をナニしたかについて、

『収奪された大地―ラテンアメリカ500年』
エドゥアルド・ガレアーノ(著) 藤原書店

これを読まなければなりません。この本をぼくに教えてくれたひとはとってもチャーミングなキリスト教徒の女性でした。とても誠実な態度だと思います。

クリスマスは、子どもたちにプレゼントを買う、というか、買うための出費を負担しなければならない、という立場でしか楽しんでいないけど、好き(何も考えてない)。

あに言ってっだ。おらたちのいつも考えてる、日本語で組み立てられてる思考の枠組みだってキリスト教がオリジンみてえなとこばっかだぜよ。

いちばん好きなクリスマス・ナンバーはフリッパーズ・ギターの「Slide」ですね。


2003年12月24日(水) 『DJ/佐久間駿・平岡正明(共著)』アートン

日記を書くというか、何を書くんだろ。

(1941年の『ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン』をかけて)
僕の耳にはね、「戦争やりてえな」って言っているんですよ。
(平岡正明)

『DJ/佐久間駿・平岡正明(共著)』アートン(ISBN:490100624X)

音楽本で、とにかく声を大にして宣伝したいのがこれなんですね。2年前の10月に出版されてて、在庫があるうちに!
http://www.artone.co.jp/

音楽を語り合う友だち、と、時間を過ごすこと、おざけん、みすちる、あとの音楽はおまけだな、とも思いつつCDざんまいに明け暮れるわたしにとって、この『DJ』における佐久間さんと平岡さんの語り合い、は、ちょっとしたあこがれです。あこがれる、なんてことは、めったにないんだけど。

これはFM東京が運営している衛星デジタル放送「ミュージック・バード」のジャズ8(チャンネル)で放送されていたお二人の番組「めし食ってます」(これはドルフィーのアウトトゥランチの和訳)をテキスト化したもの。

この番組で浪曲の広沢寅造の天才性に出会えたのは個人的な事件でした。

音楽なんて、語り合ってナンボ、な、もんです、あ、ちとぼうげん。


Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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