英国人の彼女 6年間の遠距離恋愛の末、イギリスに嫁いできました。ロンドンで息子と3人で暮らしています。
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この1ヶ月の間にわたしとご飯を食べた人は、 漏れなくわたしの「もうすぐミソジでとってもブルー」という 言っても仕方のない話を聞かされている。 今日も、職場の同期に同じ話をしていたら、 何歳から誕生日がイヤになったのかと聞かれた。
誕生日がイヤなのは、年の絶対値がイヤだからではない。 30歳になるのがイヤなのではなくて、 30歳の自分のあるべき姿、30歳の自分がなりたかった姿と 現実の自分との間にギャップがあることが悲しいのだと思う。
そこで、 「まあ簡単に言うたら、AS-ISとTO-BEの間のギャップが 大きければ大きいほど、誕生日がイヤになるんやと思うねん」 と同期に言ったところ、 「その何でも分析するところが、コンサルっぽい・・・」 と軽く引かれてしまった。 ガーン。
でも今日は、誕生日がらみで嬉しいこともあった。
会社の同僚が、休暇に行ってしまう前にと、 バースデーカードをくれた。 とっても嬉しくて、 「ミソジは嬉しくないけれど、 誰かに祝ってもらえるのは嬉しいです。ありがとう。」 とメールを出した。
すると、返事にこう書いてあった。 「実は何日なのか覚えていなくて、 ○○くんにメールで聞いてみたの。 そしたら即レスで教えてくれたのよ。 やるね。彼。」
この同僚と、○○くんと、わたしは、 去年一緒に働いていたプロジェクトメンバー。 彼はものすごく頭が良くて、 もともとなんでも細かいことを覚えているタイプなんだけど・・・。
誰かに誕生日を覚えていてもらっていることで、 こんなに幸せになれるんだと初めて気づいた。 しかも本人は、先輩がもうすぐ誕生日だなんて、 僕はぜんぜん知りませんよ、という顔をして 今日もしらっとナナメ後ろの席で働いているんだよね。 わたしの誕生日は8月21日! ハ・ニ・イと覚えるように、と去年言ったときには、 この人ほんとにうざい・・・という表情をしていたくせに。
可愛いところあるじゃない。 もったいないから、本人には嬉しかったということは伝えないけれど。
わたしは直球しか投げない。
もともと嘘をつくのは苦手で、 苦手だと思っているうちに自分をごまかす嘘はつかなくなった。 もちろんそこはいい大人だし社会人なので 思っていても言わないこともある。 でも思っていないことは言わない。
どうやらこの性格は経営コンサルタントという仕事に あまり向いていないらしく、事あるごとに 「変化球を投げることを学べ」と上司に言われ続けてきた。 外資系企業がクライアントの場合は構わないけれど、 コテコテの日本企業には言っていることと 考えていることが違う人はずいぶんいるのだから、 もっとうまく世間を渡れ、と。
いまの上司になってから1年間 それについてずっと考えてきたけれど、 結局、変化球は投げないことにした。 変化球を投げた方が仕事はしやすいのかもしれないし 人生うまくいくのかもしれない。 でも、それはわたしの人生ではない気がする。 あまり親しくない目上の人からは生意気だと、 下の人からは怖い人だと思われているのも知っているけれど 親しくなれば、ただ単に不器用であることをわかってくれる人もいる。
直球しか投げないわたしは、 相手も直球を投げてきていると思いがちで 騙されやすいのかもしれないけれど、 これまでひどく騙されたことはないし、 なんとなく、人ってそんなに簡単に誰かを騙したりしないと思う。 言わなくてもいいことまで言いがちなので 面倒くさい人だと思われてもいるだろう。 友達は昔から少ないし 誰からも好かれる性格では、残念ながらないけれど そこを悩むにはもう年を取りすぎている。
だからわたしの言葉は、わたしの気持ちを映している。 でも、直球しか投げないわたしには、 ボールを投げ返してくれない人の気持ちが、よくわからない。
暑い暑い日曜日。 二日酔いの頭を抱え、返事のない携帯メールに そもそもなんでメールなんて出したんだと後悔しつつ 山手線に乗る。 本当にわたしは弱い。 友人とお酒を飲んで別れたあとの一人の寂しさに、 いつもいつも耐えられない。
汗を拭きながら坂を上り、 着いた先はダンス教室である。 30の誕生日を前に(!)、何か新しいことを始めようと この1ヶ月ほど週末のたびに いろいろな体験レッスンに足を運んでいる。 先週のフラメンコは楽しかったけれど、 教室がイマイチだったので (階段の踊り場で着替えるなんて、絶対にイヤ) 結局申し込まなかった。
今日はベリーダンス。 エジプトやトルコでベリーダンスを見る機会は 何度もあったけれど、 こんなに綺麗な動きだったっけ?と しばしインストラクターに見とれる。 ヒップスカーフやベールもすごく可愛くて しばらく通ってみることにした。 アラブ美女を目指そう。
家に帰り、造顔マッサージをしてから荷造りをする。 今週からしばらく休暇。 北アフリカへ向かう。
ストイックな人に憧れる。 わたしには、自制心の欠片もないから。
夏休みの宿題は、いつも8月31日にやっていた。 自由研究は祖母が作ってくれた。 試験は全て一夜漬けだった。 大学では午後の授業だけ取っていた。 ダイエットしようと決めた次の瞬間に何か食べている。 お金はあるだけ使ってしまう。 ジョギングも、ジムも、ヨガも三日坊主だった。 お酒がゆっくり飲めない。
好きな人にすぐにメールを書いてしまう。 すぐに電話してしまう。 すぐに会いに行ってしまう。 それが、別れ話の直後でも。
かつて、少しの間だけ付き合った人がいた。 4つも年下なのにわたしよりもずっと大人で、 これまでに出会った誰よりもストイックな人だった。 その人のことがわたしはとても好きだったけれど、 あまり感情をあらわさない人だったから、 彼が自分のことを好きなのかどうかわからなかった。 なのでとても苦しくて、 でも変なプライドのせいで苦しいことが言えなくて ある日突然、お互い不幸になるからもう止めようといわれたとき、 辛くて、悲しくて、ほっとした。 彼は最後に「必ず幸せになって下さい。心から祈っています。」 というメールをくれて、わたしはそれを見ながら号泣した。
普通はそこで終わりの話だれど、 自制心のないわたしは次の日我慢できなくなって 彼にメールを送ってしまった。
「わたしのことを、少しでも好きでいてくれたのでしょうか」
その返事の意味は、いまだにきちんと理解できていない。
「あなたのことが大好きでした。 本当に好きでした。 でも一緒にいると甘えてしまって、 頼りたくなってしまって、 自分が自分じゃなくなりそうで、 それが本当に嫌でした。 甘えればいいと言うかもしれないけれど、 僕は、自分の足でいつも走っていたいんです。」
半年間、週末も深夜も関係なく働き続けたプロジェクトがようやく終わり、 久しぶりにのんびりとした土曜日を過ごす。 友人とフランス料理をランチに食べ、ワインを飲みすぎ、 酔った勢いできわどい話をお茶とともにした後は、自宅のソファでダラリ。 夏休みの旅行先について、ガイドブックを読む。
やたらと外からドン、ドンという音がするのでベランダに出てみると 遠くの方で花火が打ちあがっているのが見えた。 去年まで住んでいたフラットからは隅田川の花火が、 そこから700メートル移動したいまのフラットからは江戸川の花火が見える。 親指くらいの大きさでしか見えないのだけれど、 それでもどうやらわたしは東京に来て、花火運が良くなったらしい。 なんとなく誰かと一緒に見たくなって、 近所に住んでいる会社の後輩に電話をすれども返答なし。 土曜日の夜だし、しかたないか。 冷蔵庫からビールを出して飲む。 音楽をかける。 ダーリンが近くにいればいいなと思う。
なんとなくこちらを更新。 自分の内面を書くことができる場があるのはいいな、と思う。 たとえ誰も見ていなくても。
この日記を書き始めてから4年が経つけれど、 わたしはいまだに同じ場所に立っている。 何度も違うところへ歩き出そうとして、 何度も引き戻された。 過去の日記を読むと、自分が幸せそうすぎて涙が出る。 いまはもう、あれほど純真に彼のことが好きなのか わからなくなっている。
もうすぐロンドンに帰る彼。 彼とのことを知っている上司に、 ロンドンの事務所に移動したかったら口を利いてあげるから 早めに言いなさいといわれたけれど、 決心がつかない。
このまま日本にいれば、同期の誰よりも早く昇進できそう。 いまのフラットがとっても気に入っている。 ロンドンに行っても、知ってる人は彼しかいないし。
・・・ってなに、これ。 ロンドンに移動できるかもしれないことが、 いまの仕事を選んだ最大の理由だったはずなのに。
先日友人に、人生の優先順位をつけろといわれた。 わたしにとって何が大切なんだろう・・・。 本当に、わからない。
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