きまぐれがき
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雨が降るごとに深い緑となってきた樹木。
こんな季節には、レースのカーテンなど全開にし窓も開け放って、 さわやかな風を室内に誘い込む。なんて美しい季節なのだろう。
ところが梅雨時になると、うちの庭は毛虫やハダニの天下となる。 蜘蛛もやたらと大きな巣を張り巡らす。
犬たちを放す庭に殺虫剤を撒きたくはないので、害虫の発生を ただ見ているだけというか...仕方がないのだ。 害虫にとっては楽園だろう。
時々は、見つけた毛虫(その数たるや身の毛もよだつ...)を 割り箸ではさみ袋詰めにし、新聞紙に包んで潰してゴミに出す、 などという身体中が痒くなるような作業をしなくてはならないのが、 とてもイヤ。あぁ気持ちワル〜
さあ今!今!束の間の美しい季節をぞんぶんに楽しまなければ、と 庭に出る。
『シカゴ』!アカデミー賞6部門受賞作!見る。 ブロードウェイ版、日本版、どの舞台も大好きで劇場に 通い詰めて、30回は観ているはずだ。
その映画版。 冒頭ヴェルマ・ケリー(キャサリン・ゼダ=ジョーンズ)が 歌い踊る『オール・ザット・ジャズ』が流れてくるだけで、 ウキウキしてくる。楽しい。 愛がすべてだなんてウソぶくちゃっかり弁護士のリチャード・ ギアは、宝塚のような大階段で歌って踊る。 中年以降、重苦しくなったあの身体で軽やかにタップも踊って くれる。あ〜嬉しい。
日本人では、とても出せない女看守ママモートンの迫力。 惨めな夫のミスターセロファンには、ホロッとさせられたりもするが、 とにかくショービジネス界の、脂ぎったしたたかさのぶつかり合いが、 めちゃくちゃ楽しい。 フィナーレ、電飾がキラキラと眩しく輝く舞台で、ロキシーと ヴェルマが手にした物は? はは〜ん そうくるのね。 もうたまらない!最高!!
話し変わって、この頃のお茶の時間は..... 我が家では今頃になって満開のムスカリ。
この花を見ると、どうしてもムスカリとスノードロップ模様が 可愛いこのカップでお茶を...と言う訳で。
自宅に併設して美容院を営んでいるNちゃんは年中多忙。 そのNちゃんから、久しぶりに電話がかかってくる。
お客さまに70代とおぼしき、とってもおしゃれなおばあちゃんがいら っしゃるのだけど.....と、Nちゃん。
ふんふんと訊いている私。
そのおばあちゃんから、「短歌教室で知り合ったおじいちゃんに、恋の 告白をされた」とパーマ液をかけている時に訊かされて、Nちゃんは 一瞬手が止まってしまったのだとか。
あら素敵!と私。
おじいちゃんは80歳ぐらいらしいのだけど、お互いにお連れ合いを すでに亡くされているので、その点は問題ないでしょ。 で、近々お二人で旅行に行かれるとかで、お洋服はどれにしたらいい かしら?アクセサリーは?靴は?と、とっても楽しそうで、いきいき されているのよ〜 Nちゃんの声も弾んでいる。
おじいちゃんって日本人?と、一応訊いてみる私。
そうだと言う。 それならば私の関心は、そのおじいちゃんの見た目!そう!容貌! その一点のみとなる。
80代の男性.......? う〜ん...塩爺(財務大臣ですね〜)に...中曽根(元総理ですね〜)に ...森繁...丹波哲郎... ..... 昭和天皇も亡くなられた時、80代でいらしたかしら? 頭の中を勢いよく「大正生まれ」が駆け周リ出したが、恋のイメージに 合う80男が思い浮かばなくて、私の脳内はパニック状態(何やってんだか)
そして受話器にむかって叫んでいた。 あたしはイヤダーーーーーー!!
人の恋路について、とやかく言ってはいけないと、わかってはいるけれど。 私だって、何歳になっても胸がキュ〜ンと痛む恋心を持っていたいとは 思うけれど.....だ。 私には、どうしても恋する80代の男性を思い描けない。 かなり無理をして「ダンディな〇〇〇〇〇卿との恋」なぁんていうのを 想像してみたが、現実味に乏しすぎる。
Nちゃんは「べつにアナタの恋の話じゃないでしょ」と笑っている。 それにしても、高齢者が元気でいられるということは喜ばしいことだ...と、 Nちゃんの大切なお客さまに対して、失礼なことを口走ってはいけないので (とっくに口走ってますね)急いで無難なことを付け足した私。あぁ〜
N家の子犬たちにも、やがて恋の季節が?
2003年04月09日(水) |
シェイクスピアが教えてくれたこと |
日経新聞によると、ロンドンのナショナル・シアターで上演された 蜷川幸雄演出の『ペリクリーズ』が絶賛の嵐をあびたそうだ。
運命の残酷さに翻弄された主人公の王が選んだのは、報復ではなく 寛容だったことが、強行に始まってしまったイラク攻撃に対して、 割り切れないものを感じていた人々の心に感動をよんだらしい。
ベルファストで行なわれた米英首脳会談は『イラクの戦後処理は 国連主導』で合意したが、ブッシュがそれを強調すればするほど、 アメリカ主導でいくぞと言っているように思えてならない。 戦死した兵士、爆撃の犠牲になった民間人の家族にとって、戦後処理 という言葉ほど、虚しいものはないだろう。
『貴方は、太陽はブリテンにしか照らないようなことをおっしゃる。 ................ ブリテンの外にも、人々はいきていますのよ ―シンベリーン―』と いうシェイクスピアの台詞は、現代でもずしりと重たい。
今日は雨。昨日のこと、春風にさそわれてママチャリで、我が家周辺の 桜の咲き具合を見てまわる。 なんだか定年退職して、家でブラブラしているおじさんみたいだ。 ほぼ8割の開花。
うちの庭の桜はまだ2・3の蕾しか花開いていない。 土壌が悪いのか肥料が行き届いていないのか、どの樹木も花も成長が 遅いし、開花も世間とは当り前のようにずれる。
子供の頃、勝海舟の伝記を読んですっかり虜になってしまった私は、 父に「海舟の銅像を見てみたい」と言ったことがある。 すると連れて行かれたのが上野公園だった。 階段を登りきったところにある銅像は、犬を連れた西郷隆盛ではないか。 たちまち不機嫌になった私は「この人じゃない」と抗議したが、父は 「同じ時代に生きたのだから」とまったく取りあってくれなかった。 とっても繊細な心遣いをする父親だったが、私に対してはこんなふうに 大雑把なところがあったなぁ。
この時も桜が満開で、すこしだけ汗ばんだ首筋を生暖かい風が撫ぜて いったのを思い出す。
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