西方見聞録...マルコ

 

 

「じぶん、まる! いっぽのはなし」響く声を持つ人 - 2023年12月19日(火)

おお、前回の日記が今年の1月、そして今は12月。これはまた行く年くる年。日記じゃなくて年記状態が進行中ですが、めげずに書き続けたいと思います。

最近はFBで公式に活動について報告することも多いんですけど、まあこっちは育児日記が始まりのプライベート空間ってことでね、シミシミ続けていきますよ。

そんでこの日は長年のお付き合いの畏友,YOKOさんこと社納さんにお誘いいただいて神戸映画資料館に「じぶん、まる!いっぽのはなし」

https://kobe-eiga.net/programs/1477/

を見てきました。

「じぶんらしく生きる」実践のそんなに簡単じゃない道のりが当事者の田中いっぽさんからていねいに語られます。いっぽさんは「えりちゃん」という保育士さんだった時代から今のいっぽさんという「なりたい自分」に至り,それを肯定するまでの道のりを語ります。いっぽさんは幼稚園児から学生さんまでいろんなひとに出前講座をしています。生まれた性と自認する性の不一致な人生を生きるとはどういうことなのか「個人として出会う」経験を通じて「普通」の意味を問い直し、自分の「普通」を人に押し付けない、誰もが自分の生きたい人生を生きる大切さを語ります。

 中学校での出前講座で、講演前に控室で出番を待っていると、会場に入ってきた中学生が「もうおかま来てんのか」という声を発したことがあったそうです。さざ波のように広がる「差別という暗黙の了解を共有する笑い」を控室で聞き、震えるように緊張しながらそれでもその中学生の前にたち、体験を共有し、「少数者との出会う」経験を中学生に共有します。






 説得力を持って相手に響く声を持て語ることができるマイノリティ当事者がマジョリティ社会の「当たり前」を相対化して見せる力というのは誰もが「生きやすい社会を作るための社会資源」なのだなと思いながら映画を観ました。

 この日ご一緒した社納葉子さんも藤尾まさよさんも、それから社納さんとご縁があって、この日真野小学校の研究授業前にぎりぎりまで待ってくれて、なんとか会うことができたキムシニョンさんもマイノリティ当事者として響く声・語ることばを持つ人です。

 社納さんと藤尾さんが声はどうやったら響くか、こうやったら動いてくれた、必殺オチがつく話術とか、細心の注意とかなり戦略をもって声の響かせ方を研究していて、そしてマジョリティの岩盤のような「普通」に風穴を開けていく話もなんかただで聞いちゃって悪いなあというくらい面白くて心に響きました。

 帰り道、社納さんが実践してみせてくれたシルバーシートで席を譲ってもらうべくお願いして謝意を表する実践とか、関西でエスカレーターの左側を歩かずに立つ実践はすごく興味深かったです。ヘルプマークを持ってる社納さんだからできる風穴明けなんだな〜と思いました。この日シルバーシートで自発的に席を立ってくれたお兄ちゃんは社納さんの「ありがとう〜」というのんびりとした謝意の声にちょっとうれしそうにしていて、きっと次も誰かに手を貸す人に、そして老人になったら席を譲ってもらって適切に謝意を表せる人になってくれそうだなと思いました。結構この「適切に」、って簡単じゃないよね。

社納さんの最近の仕事:」https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I033162751-00


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