大変なのはみんな同じ。 |
人は、自分があまりにも大変だと狭い視点でしか物を考えられなくなるんだ。
最近の私を見て『PDなのに元気そうでうらやましい。』という人がいる。 仕事だってしてる、長距離の運転も出来る、薬も飲んでない。 自分の方が、もっともっとずーっと大変だと愚痴る。
自分が病気をしてその大変さが身にしみている人は、こんな事は言わない。 みんなそれぞれ、その人なりにすごく大変で頑張っていて。 誰が一番大変だとか、優劣をつけるものではないと思う。
私は会社に車で通えている。 でも、いつも車に乗る前は緊張している。体調を観察している。 発作を起こす事もある。 もう7年以上週に2日通い続けて、通いなれた場所になっているから、 だから具合が悪くなってもなんとか帰って来れたり、 不安になる回数が減ってきたりしてる。 こんなに長い年月をかけて、自分にすり込んできたんだ。
だからと言って、私がどこへでも車で出かけられるわけじゃない。 慣れていない場所は、たとえ友達が待ってる場所だって、 すごくすごく会いたい人のいる所だって、行けないでいるんだ。
薬の事だって、色んな葛藤があって今は止めてるんだ。 将来、また飲み始める事だって充分ありうる。 それに今だって、たまには飲む事がある。
『元気そう』 こう言われるのは悪いことではないと思う。 生気がない、ボロボロの自分でいるよりも。 でも、あまりに自分との違いを力説されると悲しくなる。 私が、なんの心配もなく何でも出来る健康な人だと思ってるの?
すると、普段はあまり口には出さない事も言いたくなる。
私はもう20年もPDと付き合っている。 高校時代の青春も、大学のサークルも、就職も、 どれ一つとして心配なく楽しめたものはない。 毎日が発作との戦いだった。
結婚したって、ずーっと子供なんて無理だと思ってた。 今だって、ものすごく怖いし自信はない。 でも、やっと少しは可能性の灯りが見えてきたから、 だから、葛藤しながらも取り組んでるんだ。
その私のどこが、健康体に見えるの? 20年PDと付き合ってきて、やっとうまくやっていける、 折り合いのつけ方が少し分かってきただけなのに。
私はあなたの事を、大変じゃないなんて言わない。 苦しんでないなんて言わない。 PDの発作の波に襲われることが多い時期は、 ほんとに辛いものだと思う。
きっとあなたは自分の事で手一杯で、周りの事を考える余裕がないんだよね。 自分以外の人が、元気そうで楽そうで羨ましくなっちゃうんだよね。 それはすごく分かる。 だから私は何も言わない。 あなたがほんとうの自分を取り戻せる日が来るまで待ってるから。
みんなそれぞれに大変で、それぞれに幸せなんだよ。
|
2004年06月30日(水)
|
|