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子どもの頃、夢中になったディズニーの『シンデレラ』以来、継子物語には惹かれるものがあります。そういえば、『はちかつぎ』も子どもの頃の愛読書でした。タイトルは忘れてしまいましたが、やはりその頃大好きだった童話に、心の優しい継子はしゃべると口からダイヤやルビーが、それを妬んだ継母家族は口からカエルとかヘビが出てくるというのもありました。(※)
※原典をネットで調べてみると『地の果ての井戸』というイギリスの話らしい。
私は高橋真琴さんの絵本で読んだ気がします。
参考サイト http://enkan.fc2web.com/minwa/cinderella/15.html
いじめられていた継子に訪れる劇的なハッピーエンドは、平凡な子どもの日常にはあり得ないカタルシスを与えてくれました。以来、継子物語を愛するようになったのです。高校生の時に知った『落窪物語』は、落窪と共に私も一緒に、いじめに耐えて耐えて、そして継子(の恋人)の反撃が始まると、継子(の恋人)と共に一緒に心躍らせる。継母への仕返しは、多少悪趣味でもあるが、今まで落窪と共に堪え忍んできたのだから、黒い喜びも快く味わえます。(落窪自身は心優しいので、心痛めていますが…)
ロマンス小説では、ジュリア・クインの『もう一度だけ円舞曲(ワルツ)を』も、思いっきりシンデレラ物語を楽しむことができます。
貴族の庶子のヒロインと子爵の家柄のヒーローの物語。ヒーローのベネディクトはアルファベットA〜Hまで8人兄弟(姉妹も含む)の2番目で、シリーズ化されている。(つまり8作で完結)
最近、他にこれと言った継子物語も思いつかないなあと考えていた時に偶然知ったのが、『住吉物語』でした。これも『落窪物語』と同様に有名な古典の名作(らしい。私は知らなかったけれど。)早速、図書館で探したけれど、口語訳本はなくて、対訳が載っている本を借りてきて、さっくりと読んでしまいました。しかし、この物語、ヒーロー(もちろん、身分も高位で眉目秀麗)がうじうじして、何か颯爽感がなくてちょっとうっとおしくて、何だか腹立たしさすら感じてしまう。もちろん、ハッピーエンドなんだけれど、すっきり楽しめない微妙な感じが残ってしまいました。
ただ、まあ、きちんと古文の方を読むと、情感があって文のやり取りの中で詠まれる短歌も味わい深く、スルスル読めるし、ヒーローも雅な感じで女々しいという印象で無かったのが面白い。そうなると、古典も(古文で読むのも)いいなあと思ったのが、おおきな収穫。
さらにもう一つ収穫だったのが、一緒に収録されていた『とりかえばや物語』がかなり面白かった。話はよく知っているのに、オリジナルをきちんと読んだことはなかったので、これもまたいい勉強になりました。(もちろん、対訳を読んだのだけど…)で、これに飽きたらず、田辺聖子訳の『とりかえばや物語』、氷室冴子の『ざ・ちぇんじ』を(やっと今になって)読みました。実は『住吉物語』よりお奨めです。
もやっとした気分の時、継子物語は結構、効きます。(シィアル)
『舞え舞え蝸牛 新・落窪物語』田辺聖子 / 文春文庫
『落窪物語 マンガ日本の古典 』花村えい子 / 中公文庫
『もう一度だけ円舞曲を』ジュリア・クイン / 竹書房
『住吉物語・とりかへばや物語』 (新編 日本古典文学全集) 小学館
『とりかえばや物語』田辺聖子 / 講談社
『ざ・ちぇんじ 新釈とりかえばや物語!〈前後編〉』氷室冴子 / 集英社文庫(コバルトシリーズ)
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管理者:お天気猫や
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