これが現実

誕生日の出来事だったけど、書き忘れたのでここで書いておく。


誕生日、桜木町から横浜市営地下鉄にのって踊場へ帰るとき、阪東橋から吉野町の間あたりでドアの所に立っていた女性が突然倒れたんです。
そして、倒れたまま痙攣し始めて、車内が一瞬騒然となる。

その時車内は結構込んでいて、空間があったのはドア付近くらいしかない状態で。
私達はドアから割と近くの座席の前に立っていたわけですが、倒れた女性のすぐ近くにいた別の女性がすぐに反応していた。
私は確か車内にこういう時のための非常ボタンがあったはずだと思い、人ごみを掻き分けてすみっこに行ってみたけど、あったのは「非常停止ボタン」。
いや、これじゃなくて確か急病人用のボタンが確かあったはずだ・・・と思ってあたりを見回すと、先ほどの女性が「そのボタン押してください!」と別の方向に向かって叫んでいたので、私は大人しく元いた場所に戻った。
ちょっと空回り。

倒れた女性は少しして意識を取り戻し、周りの人に「大丈夫です、大丈夫です」と申し訳なさそうに言っていた。
しかしその顔は真っ青だ。本当に血の気が無かった。大丈夫なわけないだろ。


次の駅で、「車内で急病人がいらっしゃるため、しばらく停車いたします」というアナウンスが流れ、駅員さんがすっとんで来た。
介抱していた女性はその駅で下車していった。倒れた女性を最後まで気遣いながら。
とりあえず意識を取り戻していたので、そのまま出発。
「皆さんには大変ご迷惑をおかけしました。また、ご協力ありがとうございます」というアナウンスとともに、何事も無かったかのように走り出す電車。




・・・何事も無かったかのように?
さっきそこで倒れた女性は、ドアの端に自分の体を抱きかかえるようにしてふんばって立っている。
そして、周りはもう、その女性に関心を示すことは無い。

誰も、席を譲ろうとしない。
私の目の前に座っている女性は、何事も無かったかのように眠り始めた。
倒れた女性が寄りかかっている座席に座っている女性も、席を譲ろうとしない。



何が全席優先席だ。
これが現実なんだよ。
目の前で一人の人間が倒れて、痙攣している様を見ても、誰も席なんか譲ろうとしない。
立ち上がって「大丈夫です、大丈夫です」と意地を張って席を譲ってもらおうともしない。
これでまたこの女性が倒れて、次は打ち所が悪くてそのまま死んじゃったりしたらどーすんのよ?

そんな話をネコさんとしていたら、目の前で座って眠っていた女性がチラチラとこちらを見てくる。

何、なんか文句でもあるんですか。こっち見るくらいなら席譲ってやれよ。





倒れた女性は、上大岡で降りていった。
最後まで唇を引き締めて、うつろな目をして、体を抱くようにして立っていた。



これが現実なんだよ。
他人がどうなろうと誰も関心を持たない。
偽善的行為は平気で行うくせに、本当の善行は誰もしない。
本当は座りたくて仕方ないのに、席が空いてても座らない。
他人の好意に甘えることを恥ずかしい、迷惑な行為だと勘違いしてる人間もいる。

混雑している時に、席が空いたから近くにいる年配の方が座るだろうと思ってよけていても絶対座らないもんね。


結局優先席とかそんなん関係ないよ。
座りたいヤツが座ればいい。
だから私も目の前の席が空いたら、他の人に取られる前に座る。



ぶっちゃけ、席を自分が確保してたほうが、目の前で誰かが倒れてもすぐ座らせてやることが出来るし。


#偽善都市横浜万歳
2004年06月04日(金)

ありのままに、赤裸々に。なんつって。 / おかぷぅ