初恋、片思い、好きな人・・・・とはちょっと別なカテゴリで、 あたくしの中には「憧れの人」みたいなものがあって、その中には男女を問わず、 本当に色々な人が登場してきた。
例えば高校時代。 時代錯誤な応援団の中に在っても、1年生の時に見た3年生の先輩の姿というのは 正に「憧れ」みたいなものがあった。 半分くらいは「脅威」なんだけど(爆)、それでも男子の先輩・・・・特に団長や 女子の先輩でも、厳しいことを言うわりにキャラがフェミニン・・・・という人にも出会っているので、 そういった人々が、あたくしに少なからずの影響を与えていった。 特に女性の影響というのはこの頃にとっては顕著で、立居振舞や話し方なんかにも そういう人たちをトレースした部分が見え隠れしていたなぁ・・・・などと、今となっては懐かしい。
この時代から後になると、恋愛要素が色濃く混ざり合ったりして、 本当の意味での「あこがれの君」というカテゴリの中だけで納まりきる人というのがめっきり減った。 恐らく、あたくしの中にある自我が凡そ形成されきったあとの出来事だからかもしれない。 それでも、女性に関しては色々なタイプの人々と出会うたびに、生き方美人、物腰美人が 次々にエントリーされていった気がする。 もっと後の時代になり、隣にステディがいる時期なんかは、男性に対しても同じ感情を持つようになるが、 ステディがいなくなると、途端にそれが恋愛感情に変わることもあって、 自分でも少々持て余し気味になったりしたこともあったけど(苦笑)。
実は、この日の夜。 旧友・リエから電話がかかってきて、2時間半も喋り続けていたのであるが(こらこら)、 懐かしさ故から、話題が当初の本題から随分かけ離れたところにも波及して、
「実は私、あの頃、●●先輩のことが『こういった意味で』好きでね」
なんてことを初めて彼女に吐露した。 その当時、もうここにも何度となく書いてきたけれど、あたくしには中学入学当初から片思いしていた 特定の少年がいて、そのことはリエの方が詳しすぎるくらいによく知っているのだけど、 彼女は知らなかったはずの話題が、ここに来て、またひとつ顕になった(笑)。
あたくしにとってこの先輩は、何でかちょっと特別になってしまった先輩だった。 当時、自分が好きだった少年への恋心とは明らかに別物だったのだけど、 恋が思うように進展せず、加えて14歳という最も不安定な時期でもあり、 受験までにはまだまだ時間があるものの、肉体的にも精神的にも疲弊してしまったそういう隙間に、 ちょっとした笑顔を添えてくれる、素敵な人だった。 先輩の悪友が剣道部だったから、彼らが部活を引退してから何かとニアミスすることが増えて、 そうこうしているうちに、いつの間にかおしゃべりをするような関係になれた・・・・というか ホント、きっかけはあんまりよく覚えていない。些細なことすぎて、記憶力に自信があるあたくしにも 思い出せないくらい、小さな小さなきっかけだったと思う。 その上、恋には発展しなかったものだから、都合よく「あったかい思い出」として 心の中にしまっておくためだけのものになってしまっていた感も否めないけれど(苦笑)。 とにかく後年になってもこの先輩のことを思い出す時は、とてもあったかい気持ちになれるのだった。
そんな良き思い出なのだけれど、これをリエに吐露することによって、今まで自分も知らなかった 先輩にまつわる新事実までもが明らかになるとは、正に予想外だった。 あたくしだけが知っている事実と、リエだけが知っている事実を重ね合わせると、 実にグロテスクでえげつない相関図が出来上がり、ナーバスな気分になってしまった( ̄∇ ̄;)
まずは、あたくし側が当初から知っていた事実を列挙してみることにする。
(1)あこがれの先輩、A男先輩のことは小学生の時からよく知っていた。 実は、小学校の時の応援団で一緒したことがあって、実際はそこでの接点しかなかったのだけど、 あたくしが中学2年の時に、ひょんなことから結構よく喋る間柄になり、仲良しにもなった。
(2)それとは別で、A子先輩のこともよく知っていた。 リエと同じクラブにいた頃、この先輩も同じクラブにいて部長だった。 あたくしのことを特に可愛がってくれたのは別の先輩なのだけど、部長ということもあり、 面識もあって、普通に話をする程度。中学に上がってからは特に接点はなかった。
(3)A男先輩は自分と同級生のB子先輩のことが好きだったらしい。 彼は高校受験を前にして、当初は工業高校に行くつもりをしていたらしいが、急遽進学先を変更。 全く偏差値が足りないらしかったけど、B子先輩と同じ高校に入るため、もんすごい努力をしていた。 まぁこれら関連情報は、本人からではなく、本人の悪友である先輩から吹聴されたのだけど、 実際、A男先輩がかなりB子先輩にご執心であるということくらい、見てりゃわかった(笑)。 まぁ、そのことも全部ひっくるめて、A男先輩&B子先輩というセットで憧れていたフシもある。 あたくしも調子に乗って、「同じ高校にいけるといいですね~♪」などと、 彼の悪友である先輩なんかと一緒に、少々からかった覚えもあったりなかったり・・・・(爆)。
(4)中学に入って初めて、A子先輩が彼と連れ子同士の兄妹であることを知る。 まさか同じ学年に、血の繋がらない兄妹が同籍しているなど、考えも及ばなかったが、 たまたま名簿か何かを目にした時に、まるっきり同じ町名同じ番地が記載してあることに気付き、 彼らをもっとよく知る友人に聞いてみたところ、実際に一つ屋根の下で暮らしていたことが判明。 真相を聞いた時は、ビビったというよりも、生活感が全く漂っていない2人の関係性が奇妙であった。
(5)B子先輩はその当時、若い英語教師との恋仲の噂が生徒の間でも先生の間でも囁かれていた。 コレはどこまで真相なのかはわからないけれど、職員室でも物凄い信憑性のある噂として、 堂々と語られていたので、程度は計り知れないが先生の方がどうやら傾倒してB子先輩に 入れ込んでいたようだ。根も葉もない噂ということはわかっているが、 彼女が英語の弁論大会に出場する際、この先生が遠征の引率だったことが、そもそもの根源らしい。
と、あたくしがA男先輩周辺について知っていることはこの程度。 (3)と(5)の情報については、リエはあまりハッキリとは知らなかったらしい。 しかしリエは、小学5年から高校3年までA子先輩と同じ場所にいた人間だ。 A子先輩のあまりの激しさを彼女は事ある毎に目にしてきたと語った。 そして、あたくしの知らないもうひとつの側面をそっと教えてくれた。
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今、同じように箇条書きしようとしたのだけど、自分が関っていないことについて、 一方的に書くことによって、それが誹謗中傷になってしまうことに気付いた( ̄∇ ̄;) あたくしは、特別にA子先輩のことを嫌いでもないし、それ以前によく知りもしない。 想像と創造で、一人の人間を決め付けちゃいけないなぁ。 A男先輩のことは、自分がきちんと会話したことで、彼の気持ちや彼の良さみたいなもの、 その他、雰囲気等々その時感じたものが記憶にあるので、それを素直に書いてしまえばいいし、 実は、B子先輩というのは同じ町内、実家が目と鼻の先同士で、それこそ A男先輩と出会うより前、うんと昔から良く知っている。 小さい頃から溌剌としていた彼女に、A男先輩やあの英語教師のみならず、 きっともっと沢山の人たちが傾倒したことだろうなぁ・・・・と容易に察しがつくし、 事実、歳を重ねるごとに、彼女はどんどん美しくなっていったのであった。 近所で見かけるたびに、こっちが嘆息を漏らしてしまうような、そんな女性になっていき、 地元を離れ、西方の大学へ進学していったらしいことは風の噂で聞いた。
学年が違うので、そんなに詳細に渡って知っているわけではないのだけど、 A男先輩と他愛のないお喋りをしていた頃なんかは特に、 「あの2人がうまくいってくれないかなぁ・・・・♪」 と、ささやかに祈っていたものだ。 2人が進学していった高校に、あたくしの友人も何人か進学していき、 挙句に、あたくしが18になる頃には、あたくし本人がその高校の少年と交際するようにもなるのだけど、 もうこの2人の噂は聞こえてはこなかった。 あたくしが興味を向けなかったせいもあると思うけれど、彼らが高校3年間で過ごすうちに、 きっと色んな出来事が彼らを変えたのもあるかもしれない。
今、あの先輩はどうしているのかしら・・・・と、思いを馳せると、同じようにあったかい気持ちになれる。 できれば最上級に幸せになっていてほしいな・・・・そんなふうにも思う。 恋愛感情を全く抜きにして、異性の先輩に対しそういうふうに思えちゃうのは、 正に純粋な「憧憬」のなせる業なのかな・・・・勝手にそう解釈してみるけれど(苦笑)。 たった1つの年の差も、中学時代の間は重き1年。大きな大きな壁みたいに立ち塞がるのだけど、 そういう環境の中で、はにかむように「恋する少年の表情」を見せてくれた、 あの先輩の素直さそのものに、あたくしは憧れたのかもしれないなぁ。
肝心のB子先輩の気持ちの向きに関しては、あたくしは結局知らないまんまなんだけど、 A男先輩を素直に応援したかったからこそ、あえて知ろうとしなかったのかも(笑)。 ただひたすらに、彼の気持ちが届いていればいいな・・・・♪ と願っていたことは本当だけど。 青春時代の小さな憧れは、今でもきちんと心の奥に根付いている。
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